大人も子供も楽しめるおすすめのドイツ児童文学・絵本5選

皆さんはドイツ文学を読んだことはありますか?ドイツの児童文学には、おすすめ作品がたくさんあるのをご存知でしたか?暗く悲しい歴史を抱えるドイツは、新しい時代に希望を伝え、そして託す手段として、素晴らしい文学が数多く生まれてきました。また寒く厳しい大地を持つドイツは、ユーモア溢れる想像力豊かな作品の宝庫です。ここでは、日本でも手に入るおすすめの児童文学を5作品紹介します。

ドイツ映画に関してはこちらです。

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ドイツの児童文学とファンタジーについて

児童文学はファンタジーというジャンルが多いと思います。そのためファンタジーは子供のためのものと思われがちですが、ファンタジーの始まりを辿ると、『オデュッセイヤ』のように大人のための娯楽でした。
ここで取り上げるものは大人も十分楽しめるおすすめの作品です。コーヒーのお供にじっくり本と向き合い、読書を楽しんでみてはいかがでしょうか。もちろんお子さんに読み聞かせて、親子でも楽しめますよ!

『飛ぶ教室/Das Fliegende Klassenzimmer』(エーリヒ・ケストナー作、新潮文庫)

(あらすじ)
キルヒベルクのヨーハン・ジギスムント寄宿学校では、生徒や周りの大人たち、隣の学校も巻き込んでてんやわんやな毎日。5年生の生徒たちがクリスマス会に自分達で作った「飛ぶ教室」という劇を準備する中、ある日マルティンのもとに両親から手紙が届く。そこにはクリスマスに帰省させるための電車賃が工面できなかったと書かれていた。それぞれの生徒が悩みながらも成長していくストーリー。

第二の前書きより、ドイツ三大児童文学作家の一人でもあるケストナーの言葉を引用します。
「子供も悲しみと不幸を味わっている。人生に大切なのは、何を悲しんだかではなくて、どれほど深く悲しんだかということだ。不運をしっかり見据えてほしい。うまくいかないことがあっても、たじろがず、運が悪くても、しょげないことだ。元気出せ!打たれ強くあることを覚えてほしい。ボクサーが言うところの「ガードをかためる」。パンチを食らっても、もちこたえるすべを学びとる。」
作者の力強い言葉に励まされませんか?読み終える頃には温かい気持ちで胸がいっぱいになる素敵な作品です。映画化もされていますよ。

『ちいさな ちいさな王様/Der König Dezember 』(アクセル・ハッケ作、ミヒャエル・ゾーヴァ絵、講談社)

(あらすじ)
この世の中のことは全て本当のことなのか?僕の人差し指サイズの小さな王様。王様の世界では大きく生まれて成長するにつれ小さくなり、しまいには見えなくなってしまうという。長きにわたって愛されてきた30万部突破のドイツのベストセラー小説。「いま、大人が読むべき絵本」と柳田邦男氏推薦。

この本は講談社から出版されています。

哲学的な要素が強く、でもどの言葉もすごく心に響くもので、生きていく上で大切なことを教えてくれている気がします。そして、お砂糖を投げて駄々を捏ねてみたり、グミベアをたらふく食べたりと、人差し指サイズだからこその王様のわがままが可愛いです!ミヒャエル・ゾーヴァの挿絵がリアルなので、まるで本当に王様がいるような錯覚をしてしまいます。

『ふしぎなエレベーター/DER AUFZUG1』(パウル・マール文、ニコラウス・ハイデルバッハ絵、ほるぷ社)

(あらすじ)
ある夜、両親が出かけてお留守番することになったローザはエレベーターの音が気になって、玄関からエレベーターを覗き込んでみた。そこにあったのはいつものエレベーターではなく、洒落た小さな部屋。その中のソファーに座っていた小さな男から早くエレベーターに乗り込むよう急かされ・・・

ぽるぷ社から出版されている名作です。

いつも乗っているエレベーターが不思議な世界に繋がっている、という発想が素敵だと思いました。けして可愛らしいとはいえない絵ですが、味わい深いユーモアさと魅力があり、思わず隅々まで眺めてしまいます。絵本ですが、大人でも十分楽しめるのでおすすめですよ!

『笑いを売った少年/Timm Thaler oder Das verkaufte Lehen』(ジェイムス・クリュス作、未知谷)

(あらすじ)
3歳で母を亡くし、12歳で父を失ったティム少年は天性の明るささえも失いかけていた。父の葬儀の帰り道、自身のかけがいのない「笑い」を謎の紳士に売り渡し、代わりにどんな賭けにも勝つ魔力を手に入れる。莫大な富を得たものの、笑いを失ったことで、それは富よりも大切なのだと気付き、笑いを取り戻す壮大な旅に出る。

未知谷より出版されています。

ドイツ三大児童文学作家の一人であるジェイムス・クリュスは、戦争で故郷のヘルゴランド島を破壊され、悲しい経験をしました。どうすれば二度と戦争が起こらず、みんなが仲良く、平和に、幸せに暮らせるのかを考え続けた彼は、未来の子どもたちが寛容の精神と共生の心を育む必要があるという結論に至り、作家への道を歩み始めました。本作は国際アンデルセン大賞に選ばれた長編作品で、まるで大河ドラマのように壮大です。人間の持つ感情の一つ、笑うということが私たちの生活にどれほど大切なことなのか、様々なシーンを通して何が大切なことなのかがわかる、素晴らしい作品です。また、物語の魅力にも改めて気づかされます。

『モモ/ MOMO』(ミヒャエル・エンデ作、岩波少年文庫)

(あらすじ)
町外れの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気もちになるのでした。そこへ、「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります・・・・・。「時間」とは何かを問う、エンデの名作。
(岩波少年文庫の作品紹介より引用)

ドイツ三大児童文学作家の中でも日本で一番知名度があるミヒャエル・エンデの作品です。本作はドイツ児童文学賞を受賞しており、NHKの100de名著や絵本雑誌MOEでも特集が組まれるほど、日本でも注目を集めています。
ふと自分自身の生活を振り返ると、自分も時間どろぼうに時間を盗まれているなと、ぎくりとさせられました。作品を読み終えた今、これまで以上に自分の時間を大切にしようと気づかせてくれる作品です。

 

おすすめの作品はいかがでしたでしょうか。読んでみたい作品は見つかりましたか?文学を通して心を豊かに、毎日を楽しんでくださいね!