ドイツは、アメリカやイギリスと比較して留学費用が安いという特徴があり、ドイツ語専攻だけでなく英語専攻の学生にも人気の留学先です。しかしながら、特にまだ海外へ出たことのない学生にとっては何が正しい価格なのか分かりません。
親御さんも海外素養がなければ相場の知識もあまりなく、判断が難しいところ。そこで今回は、ドイツ留学の各費用の相場感と、そこからさらに踏み込んで安く済ませるための秘密を紹介します。
大前提として知っておくこと
留学をすると様々な費用が発生するため、旅行代理店に一任すると正直言ってとても楽ちんです。それにまだ大学生である皆さんは、自分で海外渡航をオーガナイズした経験なんてない人ばかり。
そうなると、トラブルに発展するリスクも考え、一括で支払うから業者に丸投げ、というのも理解できます。それでも、バイトして一生懸命貯めたお金で留学する学生もいたり、割と自分で何でも挑戦したい、とやる気のある人もいると思います。そんな方のために少しでも費用を安くする秘密を伝授します。
ドイツ留学に必要な費用一覧
何はともあれ、まずは結論からです。ドイツ留学にあたりどんな費用が発生し、相場がいくらで、工夫するとどれくらい安くなるのか見てみましょう。
費用一覧 | 相場 | 工夫した価格 |
学費(授業料) | 0円 | 0円 |
渡航費(往復) | 10~20万円 | 7~8万円 |
家賃 | 月7~10万円 | 月3~4万円 |
電気・水道・暖房費 | 月1.5~2万円 | 月0円 |
保険 | 月1万円 | 月1万円 |
食費 | 3~4万円 | 2万円 |
携帯 | 3000円 | 2000円 |
生活用品 | 3000円 | 3000円 |
交通費 | 1万円 | 0円 |
交際費 | 2万円 | 1万円 |
いかがでしょう?こうして比較すると、ひと手間加えるだけで10万円以上の差が生まれるものもあれば、そうでもないものもあります。ここから細かく説明していきますので、可能な範囲でコストを抑えてみましょう。
学費
学費に関しては状況に応じてかなり変化します。一番メジャーなのは、公立の提携校への語学留学で、その場合は授業料は無料です。これは提携しているから無料なのではなく、ドイツの国公立大学の授業料がどこも無料なのが理由です。
ただし、諸費用として半年ごとに25,000~40,000円程度かかりますが、それだけです。この費用に対してはこれ以上の工夫はありません。
ただし、大学とは関係なく民間の語学学校に入る場合は、月々45,000~55,000円程度の授業料がかかります。
渡航費
渡航費は、どの航空会社を選ぶか、そして直行なのか乗継なのかに大きく左右されます。たとえばJALやANA、Lufthansaといった大御所の航空会社を使って直行で飛ぶのが一番高いです。逆にFinnairやKLMを使って乗継して行くと合計で3~5万円安くなります。
価格が高い | 直行 | ANA、JAL、Lufthansa、Emiratesなど | 10~25万円 |
価格が安い | 乗継 | Finnair、Aerofloat、KLM | 時期次第で7~9万円 |
海外へ行くのが初めての方にとっては、乗継に不安を感じる人もいるはずです。慣れてしまえば電車の乗り換えと同じくらい、なんてこともないのですが、万が一トラブルが発生した時、日本語が通じない環境で対応できるか不安、という気持ちも分かります。
ですから、自身のお財布と相談して、節約を取るのか、お金で安全を買うのか決断しましょう。個人的な見解としては、つたない英語でも空港のスタッフが優しく対応してくれるため、乗継で数万円でも節約するのが絶対的にオススメです。仮に迷ってしまうなど不測の事態に陥っても、学生のうちから経験値を得るというポジティブ思考もできるはずです。
ちなみに、価格が安くてもAerofloatは飛行機の質、空港の質、接客の質、全てにおいてオススメはできません。KLMやFinnairはコスパ最強と言えますが、当然JALやANAは価格が高いだけあって、食事や映画が充実しています。
家賃
留学生であれば、何はともあれまずは学生寮に入れる可能性を探りましょう。学生寮であれば、町によって差はあれど、家具付きネット付きの環境で月4万円~6万円程度ですみます。
もし一般的なアパートを借りるとなると、最低でもその1.5倍は高くなりますし、何より見つけるのが大変です。
1人暮らしのアパート部屋 | 9~10万円 |
シェアハウス | 7~9万円 |
学生寮 | 4~6万円 |
ちなみに、ドイツの中でもミュンヘンやハンブルクは家賃が高いことで有名です。また、西ドイツと東ドイツでも家賃に開きがあり、イェーナやハレ、エアフルトといった街への留学であれば、家賃を抑えられる可能性が高くなります。
電気・水道・暖房代
学生寮であればこの辺は込みで計算されているため、プラスアルファで考えておく必要はありません。そういった意味で最初の一覧では0円と書きました。
シェアハウスの場合は、条件次第ですが、諸々まとめてくれるところが多いです。
仮に一人暮らしで別途自分で払わなければいけない場合は、次のような相場感だと認識しておくとよいでしょう。
電気 | 月4000円程度 |
水道 | 月3000円程度 |
暖房代 | 月3000円程度 |
家賃に込みで支払っている場合は、「使いたい放題」という意味になりますが、それでもあまりにも使用量が大きいと、おそらく次の年から基本料金が上がることになり、次の年の学生が悲鳴を上げることになるかもしれません。ですので、いずれにせよ無駄遣いはしないのが親切でしょう。
また、日本人がドイツ人より使い過ぎてしまうエネルギーには特徴があります。例えば電気。ドイツ人は目の色がブルーやグリーンと明るい色で、少し暗いところでも電気を付けずに作業ができます。日本人が同じ部屋にいると暗く感じるため昼間でも常に電気をつけることになり、電気代がかさみます。
水道も注意が必要で、日本人はシャワーや入浴が大好きな生き物。ドイツ人はそうでもないので、日本感覚でお風呂に入ると、大変なことになります。
保険
保険に関しては、一概に安ければいいというものではありません。安ければ安い分、保険適応範囲が狭まり、何か起きたときに結局自腹、なんてことも想定しなければなりません。そのため、保険に関しては常識の範囲内の価格であれば加入しておきましょう。
食費
食費は月3~4万円程度が相場です。もちろん、自炊だということを前提としていて、外食は含んでいません。実は、ロシア・ウクライナ戦争が原因で物流に滞りが生じていて、ヨーロッパ全体で物価が上昇しるため、スーパーに並ぶ商品も軒並み値上げされているのです。
それでも少しでも安くする秘訣は、スーパーを選ぶこと。少しでも安いスーパーに行くと、月換算で1万円以上支出に差が出るはずです。オススメはPennyやALDIといったディスカウントストアです。ただし、当然ですが価格と品質はある程度比例しており、ReweやEdekaといったスーパーの野菜は品質が良いという強みもあります。
価格が安いスーパーランキング
- Penny
- ALDI
- Lidl
- Rewe
- Edeka
携帯
学生にはプリペードがオススメです。様々なプロバイダーがありますが、プリペードで限定的な使い方をするのであれば、どの会社を使っても大差ないでしょう。月々15€から、EU内電話し放題で3GBまでネット使用可能、といったカードがあります。
個人的な感触ではO2は田舎へ行くと電波の入りが悪くなることが多いため、しいて言うならテレコムがオススメです。街中の携帯ショップで店員さんに相談しても優しく教えてくれます。
生活用品
忘れてはならないのが、生活用品のコストです。トイレットペーパー、タオル、化粧品、マスク、掃除用品など、なんだかんだ言って月々3000円程度は出ていくものだと考えておきましょう。
交通費
学生が公立の大学へ通う場合、Semester Ticketという紙が支給されます。これで街中のバス・トラム・電車は無料で乗り放題です。近隣の街へも鈍行であれば無料で行けることが多く、カードの有効エリアをぜひ確認してみてください。
もしSemester Ticketが支給されないような個人の留学の場合は、月々50~80€程度のマンスリーチケットを購入する必要があります(都市により様々)。留学中に色んな街を旅行したいという方は、BahnCardの購入も検討するとよいでしょう。
交際費
せっかくの留学なので、色んなパーティーに顔を出したり、小旅行をしたり、飲みに出かけるのも勉強の一環です。しかし、そうなると交際費が発生します。そこで、各交際費の相場を以下にまとめました。
- レストランで食事:20€程度
- 居酒屋でビールだけ飲む:4.5€/杯
- ケバブ:4~5€
- バーでカクテルを飲む:10€
基本的に、ドイツの学生はお金をほぼ使いません。学生は勉強するもの、という概念が強いため、バイトをしている人も限定的で、日本とはライフスタイルが全く異なります。
バイトをしていないためお金もほとんどなく、レストランで豪華に食事をするといったこを嫌煙するため、意外と交際費は安く済むでしょう。
また食事に対する価値観も異なり、ドイツ人は食にこだわりがありません。外へ飲みに出かけるときも日本であれば必ず食事を頼んだりおつまみを頼みますが、ドイツでは食事は家で済まし、完全にドリンクだけ注文という光景も当たり前です。
そういった観点からも交際費は割と安く済むでしょう。