【チェコの大学ランキング表】入試、出願の際に参考になるチェコで高評価の学部を紹介

日本の大学進学を考える際は偏差値を参考にしてどこの大学に行けるか検討します。では海外へ大学留学したいと思った時は何を参考にするでしょうか。

知名度で言えばアメリカのハーバード大学やイギリスのオックスフォード大学は日本でも有名ですが、例えばフランスの超名門大学であるソルボンヌ大学は日本人でも知らない人が沢山います。

ましてやチェコの大学ともなると、恐らくはほとんどの日本人が知らないでしょう。そこで世界大学ランキングを基準にチェコの大学の評価を順位づけて見ていきたいと思います。

チェコは入試があり、基本的に国立大学の方が私立大学より難しく出願期限も早くなっております。そのため、チェコ人の傾向としてまず国立大学に出願し入試を受け、落ちた場合に私立大学を検討します。

[word_balloon id=”6″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]チェコ歴4年の井上です。チェコの大学を卒業した経験をもとに、チェコで評価の高い大学をまとめていきたいと思います。[/word_balloon]

チェコの大学偏差値

ヨーロッパでは基本そうですが、チェコにはそもそも大学偏差値という考え方はありません

留学を考える上で、留学先に既に友達や知り合い、情報を教えてもらえる人がいればその国の大学のレベルや知名度も分かるでしょうが、例えばヨーロッパ各国にそういう知り合いがいる日本人はほとんどいないでしょう。

そういった情報を集める上で一つの指標になるのが世界の大学ランキングです。

[word_balloon id=”2″ position=”R” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]ヨーロッパには日本と違い「偏差値」という概念がないのよね。プログラムなどを自分で見て、どこの大学が適しているかを決めるの[/word_balloon]

[word_balloon id=”6″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]とはいえ、有名大学、評判のよい大学のリストや基準というものは存在し、その一つが「大学ランキング」です[/word_balloon]

世界大学ランキングは幾つかあり、そのランキングは評価方法が様々で単純にどの大学が一番かや、どこどこの大学は違う国の大学に比べて良い悪いは甲乙つけ難いところがあります。

そこで指標の一つとなる世界大学ランキングを基準に見ていきます。

今回QS世界大学ランキングで順位づけをしたいと思いますが、その前に大学ランキングについての説明から入りたいと思います。

そもそも世界大学ランキングとは

折角なのでこの世界大学ランキングについて少し触れておきたいと思います。上でも書きましたが世界大学ランキングなるものは幾つかあり、指標にはなるものの全てを網羅し客観的に評価したものではありません。

有名な大学ランキングは評価基準を公開しており、何を基準にして順位づけしてるかを表しています。

これは何故かというと、大学の規模や仕組み、そして順位づけは国の教育システムによって左右されやすいからです。

例えば上海交通大学が作る世界大学学術ランキング(ARWU)も有名ですがこちらの評価基準を紹介します。

項目 配分 詳細
1 受賞卒業生の数 10% ノーベル賞もしくはフィールズ賞を受賞した卒業生数
2 受賞スタッフ数 20% ノーベル賞もしくはフィールズ賞を受賞した教員数
3 被引用研究者数 20% 21の領域分野において引用率の高い研究者の数
4 ネイチャー誌とサイエンス誌論文数 20% 両雑誌に発表された論文数
5 論文引用数 20% ISIの自然科学論文引用インデックスと社会科学論文引用インデックスの被引用論文数
6 規模 10% 上の5つの指標の総合スコアをフルタイムのスタッフで割った数

上にあるように世界学術ランキングは科学系に重点を置いており、ノーベル賞や数学のフィールズ賞など実績というより賞に評価基準を置いています。

こちらのランキングに注意しなければならないのが、大学の規模が大きければ大きいほど評価が上がってくる点です。

極端な話、日本の国立大学が統合すれば他の大学より評価が高くなりますし、少人数制などのエリート大学は評価を落としがちです。

今回用いるQS世界大学ランキングの評価基準も公開されているのでご紹介します。

項目 配分
1 各国学者のピア・レビュー 40%
2 雇用者の評価 10%
3 学生一人あたりの教員比率 20%
4 教員一人あたりの論文引用数 20%
5 外国人教員比率 5%
6 留学生比率 5%

 

今回用いるQS世界大学ランキングは、1番目の評価基準である各国学者のピア・レビュー(原文ではAcademic peer review :Based on a global survey of academics)に重点を置いているのが分かります。

そしてもう一点独特なのが2番目の評価基準である雇用者側の評価です。

産業界がどこの大学の卒業生が優秀かが評価基準に含まれているので、学問的な評価だけでなくビジネス的な側面や労働力としての点も見られるのが特徴です。

[blogcard url=”https://uueuro.com/cost-europa-study/”]

大学ランキングの注意点

世界大学学術ランキングにもQS世界大学ランキングにも共通して言える点は、教授の講義の評判が判断基準では無いということです。

QS世界大学ランキングは1番目の評価基準についてこれ以上公表されていないのではっきりとは言えませんが、大学ランキングが高いからと言って講義が分かりやすいか、講義の質が高いかは関連性はあまり無いでしょう。

質の高い論文を書き優秀な教授だからと言って、講義が同じように質が高かったり分かりやすく面白いとは限りません。世界大学ランキングに入っていない大学でも分かりやすい講義、質の高い講義を行なっているところはあるでしょう。

更に言えば大学の設備やアクティビティ、学生へのケアなども評価基準になっていないので注意してください。

[blogcard url=”https://uueuro.com/europa-recommend-university/”]

チェコの大学の順位

前提の部分が長くなってしまいましたがここからチェコの大学の順位について見ていきます。

先に言っておきますと、チェコの大学からは5大学がランクインされていて、5校だけだと少ないので他の大学ランキングなどで上がる比較的評価の高い大学も入れておきます

  1. Charles University (カレル大学)世界ランク317位
  2. Czech Technical University in Prague(チェコ工科大学)世界ランク531位〜540位
  3. Masaryk University(マサリク大学)世界ランク571位〜580位
  4. Brno University of Technology 世界ランク651位〜700位
  5. Palacký University in Olomouc 世界ランク651位〜700位
  6. Czech University of Life Sciences Prague
  7. Ostrava University
  8. University of Chemistry and Technology Prague
  9. Technical University of Liberec
  10. Technical University of Ostrava

他のランキングでもそうでしょうが、QS世界大学ランキングではチェコの大学はあまり高く評価はされておりません。早稲田大学、筑波大学が200位台、広島大学と神戸大学が300位台に当たるのでカレル大学の317位というのは日本の地方国立大学辺りになります。

500位台は日本では東京農業大学、岡山大学、長崎大学など、650位台は首都大学東京、新潟大学、岐阜大学と同程度の評価になっています。

[word_balloon id=”2″ position=”R” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]この記事でもまとめているけど、基本的に中欧のトップ大学って、西欧基準で言うと中堅以下であることがほとんどなのよね。[/word_balloon]

[word_balloon id=”6″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]そうそう、なので中欧や東欧の学生で本当のエリート層はその国のトップではなく、アメリカやイギリスに留学してしまうんだ[/word_balloon]

チェコの大学の評判

ここからは私見も交えてチェコの大学の評判についてお伝えしたいと思います。

工学部系

チェコは伝統的に工業が盛んで、工学部系は評価されています。少し話はそれますがこれは歴史にも繋がりがあります。

近代史を見ると、チェコは第一次世界大戦後、オーストリア=ハンガリー帝国が解体されチェコスロバキアとして独立します。しかしチェコスロバキアにはドイツ系住民がたくさん住んでいました。

これに目をつけたナチスドイツのヒトラーは第二次世界大戦前夜、チェコスロバキアに住んでいるドイツ語系住民の自治、保護を口実にしズデーデン地方(チェコスロバキア領)の割譲をヨーロッパ列強に迫ります。

チェコスロバキアにドイツ系がいたのは事実ですが、1930年代には既にチェコスロバキア領であるボヘミア、モラビアでは工業が盛んで、ヒトラーはこの工業力も狙っていたと言われています。

実際ボヘミアではポーランドと違いナチスドイツによる都市の壊滅というのは行われませんでした。ソ連のスターリンも同じ様にボヘミア、モラビア地方の工業力に目をつけ第二次世界大戦後は独立国として存続はしつつも共産圏に組み込まれる運命を辿りました。

おかげでプラハは第二次世界大戦と、冷戦という苛烈な時代にも旧市街などの古くからの街並みを守ることができたのです。

現代に目を通しても、チェコには多くの日系企業が進出しており、特にメーカー系が多くきている理由の一つがチェコの工業力です。

[word_balloon id=”6″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]チェコで工学系を勉強する学生の数は最近でも増えていますね。日系だけでなく、中国、韓国系の企業も最近ではチェコに進出し始めており、優秀な技術者の確保が喫緊の課題のようです[/word_balloon]

IT系

実はIT系もチェコでは盛んです。ロボット工学や人工知能、情報通信技術、モビリティ分野ではチェコは力を入れており多くの学生がチェコでITを学んでいます

経済学の教授はチェコの就職トレンドの一つにこのIT系があると言っており、チェコの大学で情報学を学んだのちドイツで就職するチェコ人の割合が多いと言っていました。

チェコには日系企業を含め多くの外資系企業が進出しており、Microsoft、Amazon、Google、IBM Watson、OracleなどたくさんのIT関連企業がチェコにオフィスを持っています。

[word_balloon id=”6″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]IT系の学部も実はチェコでは有名。チェコの大学を安く卒業し、ITの知識を活かして西欧に移住、みたいな話はよく聞きますね[/word_balloon]

[word_balloon id=”2″ position=”R” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]ウクライナやルーマニアのような国の学生も基本的にITを勉強することが多いわ、国を問わず使える知識で、移民に適しているから[/word_balloon]

医学部・歯学部

興味深いことに医学部や歯学部も高い教育水準を持っています。特に医学部は英語でのプログラムがあり日本人もチェコで医学部に通っている方がいます。

日本人がチェコの医学部で学ぶ大きな理由の一つが学費です。1年間の授業料が約一万ユーロなので日本の私立大学で学ぶより圧倒的に安くなります。

日本人以外にも北欧の学生もチェコの医学部に通っていたりします。北欧の大学は大学ランキングにも入るほど高く評価されていますが、問題は医学部などを学べる大学は非常に限られています。

例えばノルウェーは総人口が500万人と規模が小さい分大学の数も少なく、医学部への進学は日本の国立医学部同様困難を極めます。そこで自国で医学部に進学できなかった学生はハンガリーやポーランド、チェコなどの医学部に通い医者を目指します。

EU加盟国+ノルウェーやスイスなどの自由貿易圏では医師免許はどこでも認められるので卒業後は自国に戻ったり、またポーランド人医師などは逆に西欧や北欧の病院に勤めたりと言ったケースも見受けられます。

ちなみに私はチェコで歯医者にかかりましたが、英語で対応してくれて丁寧に治療をしてもらえました。

ただ最後の治療の時は麻酔があまり聞いておらず、虫歯を削る際激痛を伴い死ぬかと思いました。

[word_balloon id=”6″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]チェコの医学部には、外国人の生徒の数が本当に多い。ドイツ、フランス辺りの大学に入り損ねた層がわんさか来ています[/word_balloon]

まとめ

日本にいるとチェコの情報はあまり入ってこず、ましてやチェコの大学について詳しく知っている人は多くありません。

西欧や北欧は評価が高いですが、旧共産圏であるチェコも評価されている点があります

私は私立文系なので上記の点には一つも当てはまりませんが、私のクラスメイトは大学を卒業後イギリス、デンマーク、イスラエルなどの世界大学ランキングでもトップ100に入る様な大学の修士課程に進学した人がたくさんいます。

必ずしも私立大学やランキング外の大学だからと言ってその後名門大学院に入れないとか有名企業には入れないということはありません。

なので極端にランキングに拘る必要もありません。

今回は一つの指標として大学選びの参考にしてみてください。