ヨーロッパの大学は日本と違い、入学するよりも卒業する方がよっぽど難しいと言われています。
ただスウェーデンは教育レベルも高く世界中から学生が集まる面もあり、入学も一筋縄ではいきません。
[blogcard url=”http://uueuro.com/swedish-university-number-of-applicants/”]
では実際スウェーデンの大学を卒業するのはどれぐらい難しいのでしょうか?統計、および私の経験からスウェーデンの大学を卒業する難易度を見てみたいと思います。
[word_balloon id=”4″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]スウェーデンの難関大学院を卒業した森本です。今回は、僕の経験×統計資料を使用して、スウェーデンの大学(院)を卒業する難しさを紹介していきたいと思います。[/word_balloon]
統計が示すスウェーデンの大学を卒業する難しさ
スウェーデンでは情報や統計を広く公開しており透明性の点において非常に進んでいます。
今回はOECD iLibraryとSwedish Higher Education Authority (UKÄ)から統計上での大学中退率や科目の履修率について見ていきます。
単位を落とした学生全員の原因がプログラムの難しさというわけではないでしょうが、これによりある種スウェーデンの大学教育の難しさの一端を測れると思います。
[word_balloon id=”4″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]もちろん、中にはスウェーデンの気候に合わずに帰国したり、お金が払えずに中退する学生もいて、中退者=全て単位認定できなかった人、とは言えませんが、統計資料がある程度の参考になりますね[/word_balloon]
OECD内の第3期の教育中退率
OECD iLibrary(英語)が第3期の教育(tertiary education)に入ったものの修了できなかった統計を出しています。
聞きなれない言葉ですが第3期の教育とは簡単に言えば、大学を含む高等教育だと思ってもらえば結構です。つまり大学を含む高等教育の非修了者(中退率)の統計になります(ただ厳密にはみんな中退しているわけではなかったりするので少し注意)。
このグラフを見てもらえばわかりますが、なんとスウェーデンはこの中退率が40%以上とOECD諸国の中でもトップクラスの高さを持っています。
Tertiary educationには専門学校など大学以外の高等教育も含まれますが、それでもスウェーデンの大学を中退する人はかなりの人数になります。
一方の日本ではこの割合が10%弱とスウェーデンとは大きく違うことが一目でわかります。
この点から日本の大学と違い、スウェーデンの大学を卒業するのは難しくなってきます。
[word_balloon id=”4″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” icon_type=”sweat” icon_position=”top_left” icon_size=”M” avatar_hide=”false” box_center=”false”]僕は学部を日本で卒業、大学院をスウェーデンで卒業しましたが、とにかくスウェーデンの試験の難しさはけた外れ。毎週推奨される勉強時間は40時間で、スウェーデンの一般的なフルタイムのサラリーマンより拘束されてた計算になります。。[/word_balloon]
どのプログラム(学部)で中退する割合が高いのか
上記のはOECD各国での比較でしたが、UKÄ(英語)がスウェーデン国内の大学事情についてより詳しく統計を出しています。
こちらは2017年に出されたスウェーデンの大学での10個のプログラムにおける中退率のグラフになります。
中退率は平均では20%と出ており、先ほどのOECDからのグラフに比べると約半分になっています。
上記のグラフは大学以外の高等教育も含まれていますが、こちらのグラフでは修士課程が含まれていたりと、OECD iLibraryのグラフと同じものを比較しているわけではないので注意してください。
プログラムによって中退率に大きく差があり、一番中退率が低いので右にきている医学部の修士課程で僅か8%になっています。
一方で一番左の教育学部の修士課程は3割程が中退しており大きく差が出ています。
この差の大きな理由は、スウェーデンの医学部は日本の医学部と同じで競争が非常に激しく、スウェーデンのエリートの中でもほんの一握りしか入ることができず、他の学部に比べて非常に優秀な学生が集中していることが挙げられます。
そして工学部学士課程も他の修士課程と同じ程度の中退率があるのは、工学部の卒業の難しさを表しているのが見て取れます。
こちらのグラフでもまだ平均中退率が20%と日本と比べると中退する人が多いのが確認できます。
プログラム継続率(Retention Rate)
スウェーデンでは様々な統計をインターネット上で確認ができます。
もう一つある種の大学を卒業する難易度の指標になり得るのが、プログラムの継続率(Retention Rate)です。
公開されている統計でRetention rateは大学のプログラムに登録(入学)した学生のうちどれぐらいの割合が2年目の科目に進んだかを示しています。
こちらは2015/16年において200人以上登録があるプログラムの統計を出しています。
この統計には学士課程と修士課程両方が入っていますが、平均で76%の学生が登録したプログラムを継続しています。
一年目の単位を取れず二年目に進めない=中退とは限りませんが、何かしらの理由で一年目の単位が取れなかったのは事実なので各プログラムや科目の難しさが要因になっている可能性があります。
まとめ
いくつかの統計を見ましたが、どの学部だろうと一定数は卒業までたどり着けない人が出てきています。目安としてはスウェーデンの大学に入学できても20%〜30%の人が卒業できないといったところでしょうか。
特に外国人はスウェーデンの教育システムに不慣れな面もあり、手間取ることも多いでしょう。スウェーデンの大学はやはり簡単ではなく、卒業できる保証はありません。
授業があまりない反面、自習が重視され自分で勉強しなければ大学の勉強にはついていくことができません。
[word_balloon id=”4″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]スウェーデンの学期システム・試験については以下の記事を参照してください![/word_balloon]
[blogcard url=”https://uueuro.com/swede-academic-calender/”]
試験には講義にでてこなかった内容が問題として出たり、講義は基礎部分しか教わらず残りは全て自分で学習しなければいけないといったパターンも出てきます。
そして日本人は英語があまり得意ではなく、人前で話すことも苦手としていてプレゼンや講義中に積極的に発言することもできないことが多いです。
スウェーデンの大学に留学する際は語学も含めて準備しておくことが大切になっていきます。
英語の学習、そして人前で積極的に自分の意見を話せるようにしておくことが大学の講義についていく上で必要になります。