ヨーロッパの大学を志す人にとって、一つ、難しいのが「どこの大学に行ったらいいのだろうか」という悩みだと思います。
日本の場合、大学ランキング、偏差値ランキングなどが、ネットでも書籍でも出回っており、自分の学力に合わせた大学を選定することが可能ですが、欧州においては、画一的なランキングが存在しません。
そのため、今回、悠々ユーロでは、各国の留学経験者や国際データなどを集め、西欧、北欧、東欧などの大学の序列並びに卒業後の進路を比較してみました。
西欧のFラン≒東欧の中堅大?
我々悠々ユーロメンバーの中には、ドイツ、チェコ、スウェーデン、ポーランド、リトアニアの大学経験者(日本人)がいるため、ある程度、授業の水準や卒業後の進路についてのデータを集めることができます。
結論から言うと、西欧のFラン大の総合的な評価は、東欧の中堅大学レベルに相当する、ということです。
西欧でくそみたいな大学を出ていても、東欧なら職が見つかりますが、逆に、東欧の中堅大学を出たからと言って、西欧では職が見つからない、という図式です。
授業のクオリティも同様、西欧は腐っても西欧水準ですが、東へ行けば行くほど、教授や大学の質が低下していき、満足な授業水準を享受できませんでした。
そのため、欧州全土のランキングを比較するにあたって、国ごとの教育・GDP水準、というのが、まず大きなファクターになることに注目しなくてはいけません。
それを踏まえ、以下、欧州大学ランキングです。
ちなみに、世界ランクの序列を選定するにあたって活用した指標は以下のサイトです。
QS University Ranking
欧州超一流大学(世界ランク1位~80位)≒東大京大
カテゴリ:西欧・北欧一流大学
卒業進路:世界的一流企業(ハロッズ、ボッシュ、ベンツ等)
大学ランキングの序列として、欧州の超一流大学とは、西欧の超一流大学と同義です。世界大学ランキングの中に80位までに登場するのは、全てイギリス、ドイツ、フランス、オランダ、スイス、デンマークといった、西欧諸国の一流大学です。
具体的には、オックスフォード、ケンブリッジ、ミュンヘン工科大学、チューリッヒ大学、ソルボンヌ大学など、歴史的にも多くの研究者やノーベル賞受賞者を輩出している、日本でいう東大、京大、東工大レベルの大学がこの80位までに軒を連ねています。
こうした大学を卒業した学生は、就職先にも恵まれており、各界の研究者、Mercedesやロイズなど、超一流企業への門戸が開かれています。
一方で、入学は狭き門であり、卒業も非常に難しいことを忘れてはいけません。入りにくさで言えば、高校や大学の成績、語学力など総合的な能力が勘案され、難しいところでは10倍以上の入学試験倍率になります。
また、私の知り合いでミュンヘン工科大学に入った生徒は、彼自身はなんとか卒業できたものの、一緒に入学した同期のうち50%は何らかの形でドロップアウトした、と嘆いていました。
ちなみに、欧州の大学の実績は、学部ごとに異なる評価を受けているため、一概にどこどこの大学を出たからすごい、とは言えませんが、一つの目安にはなるでしょう。
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欧州一流・名門大学(世界ランク81~200位)≒旧帝大~早慶上位学部
カテゴリ:西欧・北欧一流大学≒南欧超一流大学
卒業進路:欧州界隈で有名企業(初任給600~800万円レベル)
世界ランキングの80位~200位は、欧州で言えばイギリス、ドイツ、フランスにずらっと名前を占められています。スウェーデン、フィンランド、デンマークなどの北欧などの大学も同様にランクインしていますが、人口規模のせいか、イギリスやドイツ程のインパクトはありません。
このあたりの大学に入れれば、上述の超一流大学とまではいきませんが、卒業後欧州で職を見つけるのにそこまで苦労はしませんし、それどころか割とちやほやされるレベルです。日本で言えば、旧帝大~早慶上位学部レベルでしょうか。
また、ランキングの100位後半になってくると、イタリアやスペインなどの超一流大学の名前が散見し始めるようになります。
ですので、序列的には、西欧・北欧各国の一流大学の水準が、南欧のトップ大学と大体肩を並べるレベル、かと思っています。このあたりには、ロシアを除けば、その他東欧諸国の大学は影も形も現れてきません。
欧州中堅大学(世界ランク201位~350位)≒地方上位国公立
カテゴリ:西欧・北欧中堅大学≒東欧超一流大学
卒業進路:その国での有名企業(初任給400~700万円レベル)
このあたりになると、ドイツやイギリス、フランスといった欧州の一流国家に加えて、チェコやエストニア等、ちらほらと欧州中堅国からのランクインもし始めます。
例えば、欧州内の序列で上から数えて139番目にチェコで最も入るのが難しいとされるCharles University(世界ランク317位)や、141番目にエストニアの最難関大学University of Tartu(世界ランク)がランクインしています。
日本の筑波大学や広島大学などがこのあたりの序列(世界ランク300位前後)のため、大体、このあたりのレベルは、日本でいう地方国公立レベルに位置するとみなされます。
もちろん、ドイツやフランスの中堅大学に行ったから、必ずしも中欧・東欧の一流大学と同程度、ということにはなりませんが、ポーランドで成績の良い学生が多くドイツに正規留学し、逆にドイツで一流大学に入れなかった大学生が東欧に流れていく現象を見ると、ある程度、この西欧中堅≒東欧名門、という図式は成立しているかと思います。
欧州一般大学(世界ランク300位以下)≒地方中堅国公立
カテゴリ:西欧・北欧一般大学≒東欧超一流大学
卒業進路:地場中堅企業等、外資系中小企業(初任給200~400万円レベル)
BelarusのトップBelarusian State Universityや、ポーランドのトップUniversity of Warsawがようやく300位台になってランクインしています。日本で言えば、千葉大、富山大らへんの学力で、個人的には地方中堅国公立レベルと認識しています。
東欧と西欧の大学のクオリティを比較して、大きく違う点が二つあります。
一つは、卒業後の進路です。フランス・ドイツの大学・大学院を卒業した学生は、ドイツ以東の国で働こうと思えば割とすぐに職が見つかりますが、逆は難しいです。つまり、チェコやポーランドの大学を出て、フランスやドイツで働こう、と思っても、中々職が見つかりません。どころか、本国においても、職が安定しないのが実情です。
例えば、私の職場には多くのフランス人がいますが、彼らは、フランス本国で職が見つからずに、チェコに流れてきた人たちです。チェコ人たちは、こぞってこうした外資(フランス、ドイツ資本)で働き口を求め、すり寄ってくるため、大学時代にフランス語やドイツ語を習得する若者が増えています。
ここら辺の関係性は、西欧の大学を日本、東欧の大学を東南アジアと見なすと分かりやすいかも知れません。日本の大学を出た学生が東南アジアで仕事を見つけるのと、東南アジアの大学を出た学生が日本で仕事を見つけるのとでは、多分難易度は格段に異なるでしょう。
二つ目は、大学のカリキュラムです。例えば、チェコの大学を経験して、スウェーデンの大学に交換留学に行くと、その授業や試験のクオリティの違いに驚きます。試験の難易度が桁違いなため、ドイツの大学院などでは、一部東欧の大学の学位を学位と認めず、大学院の進学資格を与えないケースもあります。
欧州下位大学(世界ランク圏外)
カテゴリ:西欧・北欧Fラン≒東欧中堅
卒業進路:中小企業(初任給100~300万円レベル)
西欧・北欧のFランといっても、腐っても西欧ですので、私が日本で通っていたようなFランとは授業や試験のクオリティでやはり異なります。
また、ランク外の大学には私立大学が多く、入学は簡単なものの、入学料やセメスター料が20万円~100万円規模で発生するところもあります。
このあたりの序列は、分かりやすく言うと、ウクライナ人エリート→ポーランドの大学進学、ポーランド人エリート→ドイツ・イギリスの大学進学、という人材の流れで見て取れます。
ウクライナ、ルーマニア等、東欧の果ての国家では、試験中のカンニングなどが横行し、適正な採点がなされていないのが実情です。ただし、卒業自体は難しくないので、医学資格を取るため、多くのイスラエル人などがこういった国で学位を稼いでいます。
ちなみに、私が通っていたのは上述の世界ランクにはかすってすらいないチェコの私立大学でしたため、このカテゴリ(欧州下位大学)に入ると思いますが、一応、やる気を買われ、フランスの企業に拾ってもらった形です。
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