半年でドイツ大学院合格:最短で難関ドイツ語試験を合格した私のドイツ語勉強法

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手前味噌ですが、私は人と比べてかなり早くドイツ語を習得したと思います。具体的には、全くゼロからドイツ語の学習を開始して、半年で大学院入学許可が貰えるレベル(TestDaf4x4)まで達しました。

これは、別に語学の才能があったというわけではなく、ただ単純に以下の2つの理由からかと思います。

まず、私は元々英語が得意でしたので、ある程度ゲルマン語族系の語学に知見がありました。ゲルマン語族とは、オランダ語、ドイツ語、英語などを含める言語グループの総括です。一見、ドイツ語と英語は異なるものに見えますが、単語や文法など、似ている部分が非常に多いです。

私は、オランダ語の勉強は一切したことがありませんが、標識とか見ると、なんとなく言わんとすることが分かります、なぜなら英語とドイツ語の知識で、漠然とではありますがイメージがつかめるのです。

ということで、私のドイツ語の習得が早かった理由その1は、英語が元々得意だった、という点が挙げられます。

そして、もう一つの理由は、英語の勉強を通じて、具体的に語学の正しい勉強方法を理解していた、という点が挙げられます。

王貞治かイチローか、誰かは忘れましたが「間違った方法で1000回素振りをするより、100回正しい方法でするほうが効果的」というようなことを言っていました。語学の勉強においても、それは同様です。

何年たっても英語やドイツ語が上達しない、という人は、才能云々より、ただ単にその方法が間違っているのです。

というわけで、この記事では、正しいドイツ語の勉強方法についてまとめていきます。ただ、今回述べる内容は、ドイツ語以外の分野でも有効な理論だと思いますので、他の言語の勉強にも当てはめて応用できると思います。

なんで何年勉強しても語学が上達しない?

我々日本人は、義務教育で中高最低でも6年間は英語を勉強しますが、だからと言って高校卒業した瞬間、英語がペラペラ、という人は、少ないどころか、ほとんどいないように思えます。

第一に、6年間勉強といっても、週に2~3回の授業を散発的に行うだけですので、まず、絶対的な勉強量が足りないのが一つの原因です。一般的に、言語の習得に必要とされる勉強時間は2000時間と言われています。

一週間に学校の授業だけで2~3時間、これを6年間繰り返しても、せいぜい800~900時間が関の山です。

6年、という数字に惑わされがちですが、6年毎日英語を勉強していたわけでない、ということに注目しなくてはいけません。問題となるのはあくまで実働時間です。

そして、二つ目のポイントは「理論と実践」あるいは「インプットとアウトプット」のバランスです。多分に、語学の学習は、運転の演習と似ていると思います。運転免許を取るためには、座学+実習の2つが要されます。

いくら座学を100時間行っても、それで運転ができるようになるとは限りません。インプットしたことを、実際に応用できるようになるには、一つ、机上から実践の飛躍が必要なのです。

我々が中高6年、人によっては大学4年を通じて行う英語の学習は、いわゆる座学です。これも一つ、語学の勉強には大切な要素なのですが、ここに加えて、実践の場が我々には絶対的に不足しているのです。

いわんや、逆もしかりで、理論なくして実践の場に出たとしても、得られるものは多くありません。言語は秩序だっており、構造を把握し、援用することで、無数にあるセンテンスから自らパターンを導き出すような、帰納的方法論から解放されます。

例えば、英語で言えば「主語が第三人称の場合、動詞の語尾が変化する」というルールが存在しますが、そのルールを得られるのは、座学を通してです。日々の会話から「もしかして、主語がheとかsheの時って、動詞の語尾変わるんじゃね?」と気付くには、相当時間がかかる、過去の知識がゼロのところから理論を導いていく、人類学者なみの努力が必要になります。

そんな手間を一々かけてはいられないので、パターンとして理解するために、我々には座学が必要なのです。座学だけでは足りない、というだけで。

理論と実践、二つの柱

さて、ここまでの話を通じて、文法の理論的な理解と、覚えたことの実践的な演習が、語学の勉強には不可欠なことが分かりました。

以下、私が半年でドイツ語試験に合格した、超高速勉強方法をまとめます。ちなみに、スピードラーニングのように楽なやり方ではありません。

理論の勉強

上述の通り、「その国に1年も滞在したら、耳が慣れて言語がペラペラになるだろう」という考えはまやかしです。スポンジのように周囲のコードを習得していく幼児期ならともかく、成年期に達してしまうと、我々の脳はそこまでの柔軟性をなくします。

代わりに、物事を理論的に認識する、という強みを得ますので、そっちのアドバンテージを活かす形になります。

文法を叩き込む

まず、私がドイツ語の勉強を始めるにあたって最初に始めたのは、文法を理論的に理解することです。

そのために購入した参考書が、以下のものです。

毎日1~2章ずつ進めれば、1ヶ月程度で通読できる形になります。

もちろん、参考書ですので、この世に出回っているすべてのドイツ語の表現を網羅しているわけではありませんが、社会一般的に必要とされるドイツ語の文法を理解するためには十分な参考書です。我々は言語学者ではありません。

この参考書を進めるうえで肝心なのは、新しい章に進む前に、必ず前章の復習をする、という部分です。最初のほうは、数字の数え方とか、あまり実践的でなく面白くないのは分かりますが、復習をした場合と、しなかった場合の、脳への定着の度合いには雲泥の差があります。

そのため、例えば今日1~2章を勉強したら、翌日は3~4章の勉強を始める前に、まず1時間くらい使って1~2章の勉強をする、的な感じです。

上述の日本語で書かれた参考書に加え、以下の参考書も良書として有名です(ただし中身はドイツ語)。

語学学校帰りのトルコ人や韓国人がみなこの本を手にしており、ドイツ語学習者の中では神コンテンツとあがめられていますが、日本ではあまり出回っていないように思えます。演習を通じて学べるスタイルは、先ほどの参考書と変わりませんが、内容がより生のドイツ語に近く、実践的です。

私はドイツ歴4年で、辞書なしで大抵なんでもできますが、それでもたまに、文法的な部分など、この本で参考にすることがあります。

ただ、こちらの参考書は、中身は全部ドイツ語で書かれているため、ベストなのは、先に日本語で書かれたほうの参考書を通読し、続いてこちらの参考書にうつることです。

タイトルに書かれている通り、この参考書はA2~B2と、いわゆる初級~中級者向けで、この上にさらに応用編があるのですが、基本的に、上記の2冊をしっかり頭に叩き込んでおけば、ドイツ語文法関連では試験でもビジネスでも十分通用するようになります。

語彙(単語・熟語)を増やす

上述の参考書は、語彙を増やすうえでも活躍してくれます。参考書は文法パートと演習パートに分かたれているので、演習パートを通じて、極力語彙もそのまま覚えてしまいます。

ただ、男性名詞、女性名詞、細かいスペル、などに関しては、全部こだわっていてはキリがないので、パーフェクトにする必要はありません、そんなことをしていると、参考書全部終えるのに1年かかります。

語彙を覚える際に肝心なのは、少なくとも「あ、こんな語彙が存在するんだ」と、その存在を認識することです。一度認識したものは、他のコンテキストで目にしたときに、再認識されやすくなります。

例えば「Vater」という語句があります、これは父親、という意味ですが、別に初見でスペルを完璧にする必要はありません。ドイツで生活している間に、この単語は何度も目にしますし、何度も耳にします。その際に「あれ、この単語どこかで見たことあるぞ」と、認識できるよう、引き出しの上にしまっておきます。

そうすれば、一度二度目にして、意味を忘れていても、何度もこの単語に触れていくうちに、自然と意味を理解します。

逆にいうと、一度も認識されたことの無い単語を、新しいコンテキストで脳に認識させるのは至難の業です。

私の場合、以下のようなフラッシュカードを使用して、単語の学習を進めました。

市販の単語帳を購入するときは、分解できるものにしましょう。順番になっているものですと、順番で意味を覚えてしまいますので、勉強しなおすたび、違った順番になるような形で語彙の勉強をすることが望ましいです。

また、単語の勉強をするとき、肝心なのは前後のコンテキストをひっくるめて理解することです。同じ「使う」という動詞でも「nutzen」「verwenden」「benutzen」など、いくつもの言い回しがあります。それらが「機械を使う」なのか「特定の言葉を使う」なのか、はたまた「人を使う」なのかなど、コンテキストで理解しておかないと、いざ実践の場で使用するとなって、どれを使っていいのか分からなくなります。

リーディング

文法をある程度理解し、語彙が増えてくると、リーディングを通じた勉強が行えるようになります。最初のうちは、注解のついた参考書などがメインだと思いますが、そのうち、新聞や雑誌、小説などもリーディング勉強のためのツールとして活用できます。

理想は、辞書なしで8割読める程度の本を読むことです。

背伸びして、辞書が無いと1センテンスも読み進められないような本を読むのは効率が悪いです。一つ一つの語彙に拘泥してしまい、内容が頭に入ってきません。

ですので、辞書なしで大体意味は理解できるけど、たまに分からない単語があるぞ、くらいの難易度の本媒体を通じて、リーディングの勉強をしておくことが最適です。

分からない単語をその都度辞書で検索するのではなく、しるしをつけておいて、1ページごとに区切って意味を調べる、くらいのやり方をお勧めします。

私も、今でも新聞など読んで100%すべての語句の意味を理解できるわけではないですが、大体、文脈からある程度予想がつきますので、辞書を使う機会というのはほとんどありません。

リスニング

リスニングは同様に、インプットのための有効な言語学習方法の一つですが、単にラジオや映画を流しっぱなしにしていても、学習効果は低いです。

一番理想的な学習方法はシャドーイングです。つまり、リスニングしたセンテンスを、そのまま一言一句違わず、紙におこしてみる作業です。

私は、3ヵ月くらい基礎勉強をおこなったのち、次の3ヵ月でこのシャドーイングを集中的に行いました。これは、リスニング能力を向上させるだけでなく、自身のライティング能力向上の助けにもなります。

ただ、そのためには答え合わせができるように、スクリプトの用意されている媒体を用意する必要があります。例えば、上述の参考書などは、スクリプトがついているのでシャドーイングにも最適ですが、もう少し上達してくると、Netflixのドイツ語字幕などを利用することもできます。

実践

さて、今まで紹介したやり方は、全て「インプット」よりの勉強方法です。今度は、これらを実践に役立てるための勉強方法が必要になってきます。

ドイツ語の要約、日記

ドイツ語の勉強を始めて3ヵ月ほどたってから、私が毎日行っていた習慣があります。それは、雑誌やオンライン新聞のトピックを読み、それを要約し、語学学校の先生や友人に添削してもらう、という作業です。

これは、内容が薄くなるより、一個の記事を重点的に演習することをお勧めします。

具体的には、「記事の読解」→「要約」→「ネイティブによる添削」→「添削してもらった文書を、口頭で誰かに説明できるようにする」というプロセスです。

このプロセスは、リーディング、ライティング、スピーキング、という、語学の上達に不可欠な重要要素を3つも含む高度な演習になるため、この作業を時間の許す限り続けます。

特に、語彙がなかなか覚えられない、という方は、その語彙を「プレゼンの中に含んで、人に説明する形」をとると、すんなり覚えられます。逆に、机のうえでいくらにらめっこしていても、中々定着しません。

おススメは、Spiegelのようなちょっとアカデミックなオンライン媒体です。というのも、ドイツ語の試験(TestDafのような)で出題される問題は、大抵こうしたWissenschaftlich(学術的)な分野からのものですので、こういった堅苦しい文書に慣れておく必要があります。

ドイツ語の会話

会話をするにあたって注意しなくてはいけないのが、フリートークは危険、ということです。

よく、オンライン英会話などで、フリートークレッスンを何か月もおこなったが、一向に上達しない、という人がいますが、そりゃ当然で、フリートークで自分の使える語彙というのは、自分の今まで知っている語彙だけです。フリートークを通じて、今まで知らなかった語彙が急に頭に浮かび、使えるようになる、なんて魔法のようなことはおこりません。

そのため、会話を通じてスピーキング力を向上させたいのなら、会話をする前に、テーマを決め、そのテーマについて自分が相手に伝えたいことを、一度文書か何かにおこし、今回のテーマで使ってみたい新しい単語や表現を、先にピックアップしておきます。

これらを、実践で使うと、面白いように語彙が頭に残ります。

おまけに、会話を通じて、正しい発音が身に付きます。会話相手のドイツ人には、率直に、自分のマズイ単語は全部指摘してもらうように言っておきましょう。

こんなことを毎日繰り返していれば、嫌でもどんどん新しい表現が身についていきます。逆に、闇雲に「一緒に会話しよう!」と意気込んで出かけて行っても、劇的な上達は見込めません。