ドイツの大学院生の就職事情(ビザ、スケジュール、卒論!)

ドイツの大学院を卒業し、ドイツ大手企業に内定した僕の体験を元に、ドイツ大学院生の就職スケジュール、就職事情について触れていきたいと思います。

田辺(ドイツ)
田辺(ドイツ)
ドイツで大学院生をやって、無事地元の有名企業に内定しました。その経験を元に、就活事情を解説します!

学生時代に力を入れること

ドイツの就職面接では、学生時代の実績について深掘りされます。要するに、「大学院の成績」と「インターンの実績」です。その他の、バイトや部活動と言った学業や仕事に直接関係しない活動内容はほとんど評価の対象になりません(学業内容を活かすバイトや部活動などであれば別ですが)。

田辺(ドイツ)
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ガクチカにはとにかく企業にとって実用的な内容を。ドイツの企業はポテンシャルや人柄にはあまり興味ありません

大学院の成績

ドイツの就職システムは基本的に「大学での専攻がそのまま社会人としての職種」に繋がってくるため、当然のことながら大学院時代にちゃんと専攻の履修をおこなったか、行ったとしたらどれくらいのパフォーマンスや成績を残せたのか、といった部分について深掘りをしてきます。

このへんの指標として使われやすいのが「成績(GPA)」「上から数えて成績上位何%か」「大学院卒業までにかけた年数」などで、他にも論文がジャーナル雑誌などに掲載されたら大幅なプラス評価です。

個人的には、成績がGPA換算で2.5以上あればインターンなどの足切りにあうことは少なくなり、3.0以上あれば成績が足かせになることはなく、3.5以上あれば成績を売りに就活ができるレベル、といった印象です。ただ、大学のレベルによって成績には偏りがあるので、あまりにも自身の大学院のレベルが高すぎる場合、「上から数えて成績上位何%か(これは成績表に記載されることが多い)」も一つの指標になります。

田辺(ドイツ)
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ちなみに、僕は成績はGPA換算で3.3で、上位35%くらいの「中の上」的な成績でした。

インターン

うろ覚えですが、ドイツの大学院生は在学中に8割前後がインターンを経験するのだとか。ドイツの企業は「未経験者」を嫌う傾向にあるので、インターンを通じて職歴を上げ底する必要があります。インターン中は休学措置をおこなって、半年くらい学業を離れることになりますが、学生によっては卒論と並行するようなスケジュールでおこないます(卒論は、教授と面談したりプレゼンを作成したり忙しいので、フルのインターンと並行は難しいと思いますが)。

ドイツ企業はホワイトで知られるのですが、インターンとなると話は別で、企業も簡単に首切りしやすく、学生は認められるように必死で働きます。そのため、インターン生や実習生によるサビ残はドイツでの社会問題の一つになっていますね。

田辺(ドイツ)
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ちなみに僕もインターンを半年ほど経験し、そこに就職しました。正社員になってからより、インターンの時のほうがプレッシャーは大きかったですね。

就職の情報収集・就活

ここでは、就活とインターンを一緒くたに考えましょう。基本的にインターン→正規雇用、という流れが多く、特に学生の場合はインターンでポジションを見つければ、インターン後にかなりの確率で正社員採用のお声がかかります。

就活メッセや学内情報

個人的にはこの方法が一番おススメ。町全体で開かれることもあれば、大学が母体となって企業がやってくることもあります。企業の採用担当がブースにやってくるのですが、ここで応募できるわけではなく、あくまで情報収集です。地元の中小企業などがよくやってきているイメージですね、こういった企業はインターネット上でも探しづらく、穴場となっていることが少なくありません。

まあ、情報収集以上のものではないので、裏応募できるとか、直接履歴書を渡せるとか、そういったことはあまりありません。良い企業を見つけたら、後程オンライン等を通じて応募することになります。ちなみに、僕が勤めている企業は、就活メッセを通じて見つけた企業にオンラインで申し込んでの内定となりました。

また、定期的に開催される就活メッセとは別に、学内の掲示板などにも通年、企業の求人募集が出されています。その学生をターゲットにしていることが多いので、応募するとかなりの確率で書類選考はクリアできます。

リクルーター経由

これも、オンライン上の求人に出回っていない案件にリーチするには良い方法。ドイツ系、日本系、とりあえず両方登録しておけば、あとからぴったしの案件があったときに向こうから連絡をくれます。個人的に、純ドイツやヨーロッパ系のリクルーターはレスポンスが遅いのと、半年や1年後など忘れたころに案件の紹介がある。日系のリクルーターは、割と早めに面接してくれて、すぐに仕事を紹介してくれるものの、やはり日本に関連する仕事率が圧倒的に多い。

オンライン応募

Indeedのようなプラットフォームが人気です。就活メッセとの違いは、自分で条件を指定して探すので、知られざる穴場企業を見つけることは少ないという点。日本人ならやはり「Japanisch」で検索することも多いと思いますが、そういった案件って大抵ドイツ在住の5万人近い日本人の目に触れてしまっているので、競争率がかなり激しい。

100社、200社と応募できる気力があればいいかもしれませんが、折角学生ならば他のルートもあるので、あまりおススメはしません。

知り合いの紹介

ドイツに住んでいると結構な確率で、友人の紹介経由での求人募集があります。ドイツ全体の3割だかはこうしたビタミンB(Beziehung)経由での内定なのだとか。僕も友人の紹介で一件インターンをしたことがあります。ちなみに、知り合いの紹介だとしても書類選考や面接はあるので注意。あくまで、オンライン等を介して応募するよりも採用担当者の目に留まりやすくなる、というだけです。

ビザ・スケジュール

日本人ならではの問題ですが、卒業のタイミング、ビザ切り替えのタイミング、就労のタイミング、この3つを上手く組み合わせないとビザが切れて詰んでしまいます。僕のタイミングを元に、お勧めするベストな卒業タイミングを紹介します。

田辺(ドイツ)
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大学のある都市で就職できれば理想的なのですが、場合によっては別の都市に引っ越すことも。。その場合ビザ切り替えの難易度がプラス2くらいあがります

インターンのタイミングと就労ビザ

ドイツで就職したいのであれば、在学中のインターンは必須。ただ、これは本当にスケジューリングが面倒くさいので注意が必要。まず、ドイツの大学院の規定では、基本的にセメスター内の半分以上のインターンでないと、休学の対象にはならない。なので、中途半端に夏休み8月~10月とかの期間だと休学措置が受けられずに、学業と並行してフルタイムのインターンを受けることになってしまう。同じ理由で、1ヶ月とか2ヶ月とか、中途半端な期間のインターンも避けるべきです。

ちなみに、僕の場合3セメスターを終えた時点で1セメスター分を休学し、インターンにあてました。この際の問題が、企業はインターン後すぐにでも採用したいと言ってくれたのですが、僕にはまだ卒論が残っており、半年待ってもらう感じになりました。半年ならギリ待ってくれるラインと言えますが、これが1年とかだったらアウトだったかもしれません。というわけで、インターンは極力卒業間近におこなうのが良いでしょう。

加えて、就労ビザに関してですが、一般的に(あくまで一般論で、責任は持てませんよ!)専攻に関連する業務内容であれば就労ビザに切り替えずに在学のままでインターンが行えます。

田辺(ドイツ)
田辺(ドイツ)
専攻に関連するポジションであれば、ということなので、企業の人事も多少融通したポジションを作ってくれることもあります笑

卒業とビザ切り替えのタイミング

一般的に、大学院生活は卒論の提出をもって締めくくられます。学業の集大成ということもあり、ドイツの卒論は死ぬほど厳格です。日本の文系の卒論みたいに1ヶ月でひょいひょいと終わるものではなく、最低3ヶ月は見ておくべきでしょう(僕はリサーチに3ヶ月、提出に3ヶ月、評価待ちに2ヶ月の合計8ヶ月かかりました)。

ただ、卒論の良いところは「卒論開始」の合図を出す前から既にリサーチや資料集めを開始しても問題のないところです。教授もそれを理解しており、ギリギリまで、学部に「卒論開始合図」を出すのを待つようにアドバイスしてくれます。

仮に3月末を目標に卒業、4月1日から仕事開始したければ、前年の夏ごろにはリサーチや資料集め、コンセプトの設定を終えておき、冬セメスターで卒論を登録、9~11月くらいに卒論を完成させれば、クリスマスをまたいで2月頭くらいには教授の成績が帰ってきて、2月中~遅くとも3月には卒業できます。

ちなみに、学業ビザ→就労ビザへの切り替えには2~3ヶ月みておく必要があるので、卒業後に切り替えても4月の始業には間に合いませんが、ここは学業ビザ→就労ビザへの過渡期ということで、仮ビザの発行をもって3ヶ月は働くことが可能です(個人によって条件は異なるかもしれませんので、必ず外人局にチェックしてください!)。

時系列 イベント
2020年6月 教授にファーストコンタクト。書きたい卒論のテーマについて話す
2020年7月 夏セメスターの試験ラッシュ
2020年8月 教授にセカンドコンタクト。卒論登録は次セメスターで良いので、夏休み使ってリサーチ、資料集めを進めておくように助言される
2020年8月~10月 リサーチ、資料集め。教授とは1ヶ月に1回くらいの頻度でコンタクトし、方向の調整。同時に大学に提出する卒論テーマを準備
2020年10月 冬セメスター開始。卒論テーマの学部への登録、これにより締め切りカウントダウンが始まる
2020年12月 卒論提出。卒論テーマを学部に提出してから3ヶ月での提出だが、実質リサーチを夏からはじめていたので実働では半年くらい
2021年2月 教授から成績が返ってくる。卒業証明書などはここから卒業のための手続き(学生証の返還等)を済ませ、2ヶ月後くらいを目途に貰える。
2021年2月 就労ビザへの切り替え。注意点として、就業までに住所が変わるとまた一から登録しなおしになるので、就職にともない住所が変更される場合、引っ越してからしたほうが便利
2021年3月 最後のモラトリウム、春休み!
2021年4月 仕事開始。この時点で就労ビザはまだ手元にないが、仮ビザによって3ヶ月の猶予がもたらされる。

というわけで、ビザの面で結構優遇措置が多いのがドイツの大学生の特徴です。インターンもできますし、仮ビザも発行してくれるので、企業が就労ビザを心配に内定を出せない、ということが起こりづらいでしょう。