ここに注意!ドイツ人と付き合うときに注意したい5つの性格的特徴

ドイツと日本の類似性を表す際、日本を「東洋のプロイセン」と形容することがあります。一般的な学生やドイツ人などは知りませんが、たまに仕事でドイツ人の年配の知識階級などと会うことがあると、そのような言葉をちらほら耳にします。それは、保守的で、真面目な、両国の民族性からきたものだと言われています。

確かに、近代史を鑑みるに、ドイツと日本は悲しいほど似た境遇を辿りました。近代化の階段を早足で駆け上り、欧米列強の最終列車に乗り、膨張した軍部を抑えきれなくなり暴走し、戦後は焼け野原から奇跡の復活を遂げました。

しかし、果たして、ドイツ人と日本人は似た精神構造を持っているのでしょうか。私は、似た部分もあれば、まったく異なる部分もあると思っています。特に、「全く異なる」部分を無視してしまうと、中々職場や学校で文化の衝突に悩むことになるでしょう。

ドイツ人を形容する5つのキーワード

というわけで、今回は、ドイツで生活したり、ドイツの職場で働くにあたり、とらえておきたい、ドイツ人を形容する5つのキーワードを紹介していきたいと思います。これらのキーワードを知っておくと、なぜドイツ人がこう振る舞うのか、という精神構造が少し理解できると思います。

合理的に判断する

まず、ドイツ人を一言で表すのであれば「合理的」が当てはまります。職場だけでなく、これは一事が万事、すべての場面において適用されるドイツカルチャーです。

例えば、ドイツ料理を見てみましょう。暗い色彩に、野暮ったく盛られた揚げ物。要するに、腹に溜まればいいのです。この辺り、味だけでなく、見栄えや様式を重視する日本人とは対極に位置します。

服は、着られればいいのです。時計は、正確な時間を刻めばいいのです。ドイツのスーパーなどに行けば、レジの店員は椅子に座りながらざっくばらんに会計を済ませ、バスのドライバーはハンバーガーを食べている姿を目にすることができます。

つまり、ドイツ人はあまり見てくれには気にしません。割り振られた仕事さえこなせば、彼らは許してくれます。シンプル、かつ合理的な厳然たるルールです。

一方、日本では、帰結だけでなく、見てくれも大切でしょう。姿勢を正した接客、上司が職場にいれば、一緒に残業する心構え。これは性格というより、むしろ民族の美意識に根差したものなのではないでしょうか。

この「合理的」というワードを頭に入れておくと、ドイツと日本の文化的障壁の大部分に納得がいくようになります。

直接的に行動する

2017年流行語大賞にも選ばれた「忖度」というのは、外国語に訳するのが難しい日本語の一つのように思えます。日本人は、すべてを口にするわけではないので、相手が口にしなかった部分に関しては、こちらで忖度する必要があります。聞いてしまうのは野暮なのです。

和歌に現れるような、口にしない感情表現の冥利、もののあわれと呼ばれるような、雲隠れする月をみて別れの時間を名残惜しむ、当事者の繊細な感情の流れを推し量る文化、これが、私は日本文化の真骨頂だと思います。

それに比べると、ドイツの文化はなんとも骨太です。伝えたいことははっきりと伝えますので、逆にこちらが伝えなかったことは、あちらは一切推し量ってくれません。例えば、ドイツ人との恋愛において戦略として通用するのは、日本のような「押して引く」緻密なボードゲームではなく、「押して押して、さらに押す」、というまさに古代ゲルマン人の戦いのようなやり方です。

例えば、私のドイツ人の上司の口癖は”fragen kostet nichts(聞くだけは無料)”です。マーケットで分からないことがあれば、知らない会社でもいいから電話して聞いてみろ、という、日本人の感覚からしたらわけの分からない理論を並べています。

こんな文化的衝突が、私の職場ではありました。

ドイツ人「ちょっと日本の会社に電話して、確認してほしいことがあるんだけど」
私「え、今日、日本のマーケットは年度締めの日ですよ」
ドイツ人「とりあえずかけてみてよ」
私「いや、繋がるとは思いますけど、彼らめっちゃ忙しいから今日電話するのは失礼ですって」
ドイツ人「でも、かけてみて相手が対応したくなかったら相手がそう言うでしょ」
私「いや、日本人は真面目だから忙しくても電話でますし、ちゃんと対応してくれますけど、その辺はこっちで相手の状況を鑑みて行動しないと、無礼な態度だと思われて、将来契約打ち切られますよ」

彼らの中では「嫌だったら嫌だと、自分から言うでしょ」という意識が根底にあります。日本人の文化は相手に「嫌」と言わせるのは失礼なので、それを言う前に察しなくてはいけない、これは大きな違いかと思います。

自分勝手にのたまう

いい言い方をすれば「自分の意見を持っている」で、悪い言い方をすれば「自分勝手」です。大学だけでなく、職場でも驚いたのが、ドイツ人は基本的に、自分の意見が間違っていたとしても謝りません。

まあ、中にはグレーゾーンな議論、正解のないような議論もありますが、例え明確に間違っていたとしても、なんやかんやで理由をつけて彼らは謝りません。これは、我々平身低頭して謝る日本人の文化からすると、ちょっとイラっとします。

この答えはどうも、ドイツの教育システムにあるようで、ドイツの初等教育の場面では、内容ではなく、「自分の意見を持っているかどうか」が点数をつけられるポイントになるようです。そのため、各々の議論の場でドイツ人はそれぞれの意見を持ち、それぞれの意見を振りかざします。

この辺も、調和とハーモニーを求める日本人にとっては、しばらくは受け入れづらいポイントかと思いますが、頑張って慣れましょう。

堅実

4つ目のキーワードは「堅実」。日本で生まれ育った皆さんは、大学生や社会人になってから泥酔した経験は何回ありますか?自分が経験していなくても、夜分に帰宅する際に泥酔したサラリーマンを目にしたことは必ずあるはずです。

では、ドイツではどうでしょうか?実は、ドイツ人はパーティーや飲み会で羽目を外しているように見えても、確実に自分の限界を把握し、冷静にコントロールしています。

以前、世界中の人種が集まるミュンヘンの企業に勤めていた頃、かの有名なビール祭り「オクトーバーフェスト」に会社のイベントで行きました。全員が、グラス一杯1リットルの大ジョッキを片手に踊りながら飲んでいたのですが、夜が更け、宴が終わりに近づくと、日本人や中国人は現地のトイレで平気で吐き散らしています。

ドイツ人は、酔っぱらってはいるものの、決して乱れることはなく、岐路へ着いていました。これがアジア人とドイツ人の「堅実さ」の差です。友人のドイツ人も、次の日に予定がある場合は決して無理はしません。逆に日本人が日本のノリで宴会芸に陶酔し、泥酔して道で寝れば笑いが取れると思っている人は、今すぐその考え方を捨てましょう。

ルールは守る

ルール、規律、組織、構造… これら全て、ドイツ人が愛してやまない単語といっても過言ではありません。かつてプロイセン王国では、ドイツ軍の常軌を逸したレベルの統率&組織力が有名でした。その名残が、現在のドイツ人のルールを守る性格に現れているのです。

イギリスやフランスといったその他のヨーロッパ主要国と比較しても、ゴミの分別、信号、自転車の交通ルールなどはかなり高い確率で厳守されます。

ですが、裏を返せばルールとして定められていないことに関しては自由に行動してしまうということです。例えば日本人は、自粛で自宅隔離ができますし、政府が命令しなくても、外出時は必ずマスクをつける民族です。

ドイツ人は、コロナが一番警戒されていた時期、日本の政府が国民に対して、「マスク着用をお願いします」とお願いしていたことを滑稽だと言っていました。つまり、ドイツでは「お願い」は決してルールや規則でないため、守る必要のないものなのです。