【難易度高!】ドイツで医者に診察してもらうまでのプロセスと予約方法

ドイツでもどこでもそうですが、海外に暮らす日本人の問題点の一つは、健康管理、そして病気やケガのときの対応です。

清潔でorganizedされた環境に育った我々にとっては、多くの海外の医療施設は受け入れがたいものにうつると思います。

その中でも、ドイツの医療制度は発展しており、海外の医療施設の中ではかなりマシなのですが、予約の仕方が面倒で、割と初見殺しのところがあります。そのため、今回は、ドイツでどのように医師のアポイントを取り付け、治療を施してもらえるのかのプロセスについてまとめていきたいと思います。

ドイツ医療事情

どこの国でもそうなのですが、ドイツでも、医師不足は社会問題として顕然しています。看護婦などは、最近東欧など発展途上国の人々を雇用するようになったり、それでも医師の労働時間が増えて鬱病の医者が増えたりと、医師と患者の需要と供給が釣り合っていない状況がここ数年続いています。

そのため、病気になっても即座に診察してもらえない、という事態にたびたび直面するのです。

例えば、以下のような統計資料を見る限り、ドイツの1000人当たりの医師の数は、日本の2倍以上で、十分に足りてるように思えます。

各国の1000人当たりの医師数

ところが、この記事は実態を把握していません。以下のドイツの統計データを見ればわかるように、ドイツの医師は、給料が高い都市部へ都市部へと流れ続けているため、結果的に大都市を除く各地域では、医師の総数に絶対的な乖離がでてきているのです。

ドイツにおける人口当たりの医師数/地域別

実際にこの統計データを見れば、地域ごとに、医師の数に4~5倍の開きがあることが分かります。

あくまで統計資料ですので、数字の取り方などに違いがあるのかも知れませんが、ドイツに住んでいる身からすると、ドイツの医師の診察は非常に待たされますし、実数はどうだか知りませんが、日本よりも医師が足りていないような気がします。

ドイツの医者の予約の仕方

さて、以下具体的な医師への予約の入れ方のプロセスを見ていきましょう。

Hausarztに予約を入れる

日本の場合、鼻の調子が悪ければ耳鼻科へ、胃の調子が悪ければ胃腸科へ行きますが、ドイツの場合、体調が悪い場合、いかなる場合でも「Hausartz」という内科の総合医のような診察を経由しなくてはいけません(ただし、歯医者を除く)。

ちなみに、正式な日本語訳は「総合診療医」のようですが、総合診療医制度を設けていない我々にとっては、中々馴染みのない制度になります。

総合診療医を介するとは、具体的にどういうことかというと、「胃の調子が悪い、胃腸科へいこう」と思い立ったとし、胃腸科に電話予約をしようとすると、「Hausarzt行った?紹介状もらった?もらってない?じゃあもらってからきてね」と、何とも冷たい返事を返されるような感じです。

それゆえ、非常に回りくどいのですが、まずお目当ての医師の予約をする前に、どんな症状であれHausartzへの予約を入れる必要があります。

予約は、電話が一般的ですが、電話でのドイツ語対応に不安がある場合、普通に受付にいって予約がしたいんですけど「ich möchte einen Termin machen」と言います。

いつがいいのか、今までうちの医師にかかったことはあるか、など聞かれます。とにかく早く見てもらいたい場合はあまり上品な表現ではありませんが「je schneller, desto besser」(早ければ早いほうがいい)と言いましょう。

運が良ければ当日見てもらえますが、基本的に数日待つことになります(ちょっとした風邪程度なら、この2~3日で大体治ってしまう)。

どうしても当日診てもらいたい場合、診察所で待っても構わないので今日見てくれ、というと、優しいところですと当日診てくれます。

この、良い相談医を見つけられるかは、ドイツで不自由なく生活するかどうかの重要なポイントになってきます。

簡単な方法では、以下のようなウェブサイトから検索できます。評判の良い医師のところは混んでいて、2~3日予約が取れないこともあるので注意しましょう。

リンク:https://www.jameda.de/aerzte/allgemein-u-hausaerzte/fachgebiet/

また、特殊な方法としては、大学病院などの緊急外来などは、休日などでもオープンしてますので、予約なしで訪れても見てもらえますが、流れ作業で見られるのであまり丁寧でないのに加え、病室は苦しそうにする患者の姿で埋め尽くされていて精神衛生上あまりよくないので、緊急外来は最後の手段としてとっていてください。

Hausartzの診察

このHausartzの診察は、基本的に問診となり、なんか体に不具合があっても、レントゲンなどをとってくれるわけではありません。

そのため、いかに自分の症状をドイツ語(または英語)で伝えられるかがキーになってきます。伝えたい症状は、それゆえ前もってドイツ語、英語訳を辞書などで調べておくと良いでしょう。

あと、ドイツ語、英語のリスニングに自信がない場合、自信が無いからゆっくりしゃべってくれ、とはっきり言いましょう。

診察のときに重要なのは、健康保険証を忘れないことです。語学学校などに通っているときに加入するプライベートの健康保険証の場合、現金建て替え、後から保険会社からその立替分が送られてくる、などもあります。

また、法定保険の場合、基本的に建て替えは無しです。

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ここで、Hausartzが、より精密な検査が必要と判断した場合、専門医に送られます。ですので、専門医に診てもらいたい場合は、ちょっと大げさに症状を訴えましょう。

専門医

専門医にかかる場合、紹介状を回してもらえるので、大体は紹介されたところに診てもらうような形になります。

先ほどのHausartzと違って、ドイツの専門医のクオリティはかなり高いです。ちょっと咳が止まらなかっただけでしたが、高性能の機器を使っての肺活量とかの検査までしてくれました(自己負担ゼロ)。

なので、Hausartzでよく原因が分からなくても、この専門医まで行きつけば、適切な処方をしてもらえます。

ドイツで長引く体調不良は何の病気の兆候?

胃の調子が悪い、頭がぼーっとする、など、ドイツに来た日本人の多くが訴えがちな症状があります。

私の周りでも、そういった症状で体を壊し、日本に帰国した人々が何人かいます。

私は医学には詳しくないので、あまり大それたことは言えませんが、日本に帰国後に回復しているところを見るあたり、心因性のストレスや自律神経の失調あたりが原因なんじゃないかと思います。

私も、ドイツに来て4~5ヶ月くらいして、ドイツ語の試験のストレス、冬の寒さ、日照時間の短さ、飯の不適合、など様々なストレスが積み重なって、しばらく体調を壊しました。

医者に行って大それた精密検査をしたものの、原因が分からず仕舞いで、春が来て、ドイツ語の試験が終わったら自然と治ったところを見ると、やはり、ストレス的なものが原因だったようです。

ただ、心因性といっても馬鹿にすることはできず、慣れない習慣と言語に囲まれ、常に神経を集中させている状況では、中々体を持ち崩してもおかしくはありません。

幸い、ドイツのスポーツ関係の施設は充実しており、趣味を持って、ジム通い、ジョギング、スイミングなどをおこなうと、ある程度症状の改善が見える傾向もあります。

慣れない生活の中で体調を崩すことはよくあるので、その際に、どんなケアができるかが肝心です。