【ドイツ保険】大学院生の法定健康保険への加入方法とおすすめ会社

ドイツの大学院の書類手続き、ならびにビザ手続きの双方で要求される、非常に厄介な事務手続きの一つが健康保険関連です。

今回は、大学入学許可が下りた後に必須となる、法定保険の取り決めを見ていきたいと思います。

ドイツの法定健康保険とは

ドイツには、2種類の健康保険が存在します法定健康保険と、プライベートの健康保険です。ドイツの国民は、保険への加入が義務付けられており、前者の法定保険のほうは、Die gesetzliche Krankenversicherung (GKV)と呼ばれています。

これは、もともと100年以上前、ドイツの社会保険、いわゆるセーフティネットを完備する目的で、ビスマルクによる政策の一環として定着しました。ちなみに、この裏で、ビスマルクは社会主義者の弾圧をおこなっているため、社会的弱者の救済という、飴と鞭をうまく使い分けた政策として評価されています。

さて、ドイツ国民だけでなく、ドイツに住所を持つ外国人たちも、基本的にはこの「国民皆保険」制度に従う義務があります。

語学学校の生徒などは、プライベート保険への加入でよかったのですが、大学生になると、今度は大学の取り決めで、法定保険への加入が義務付けられます。値段的にも、書類のやり取りなどの部分でも、後者のほうが断然使い勝手がいいのですが、加入の際の申請書類や申請場所などには注意が必要です。

法定健康保険への加入方法

大学生、大学院生がこの保険に加入するやり方はシンプルです。大学の在学証明書を送付するか、場合によっては大学内に敷設されている出張所にもっていってコンサルしてもらいます。

ただ、不思議なことに「ドイツの大学の在学許可を得るには、法定保険への加入が不可欠」「法定保険に加入するためには、ドイツの大学の在学許可が不可欠」という、アキレスと亀もびっくりなパラドックスが外国籍の学生の場合、多々発生します。

この場合、折れてくれるのは大学側のほうで「大学の在学証明書がないと、保険に入れない。保険に入り次第速やかに保険加入書を提出するから、それで勘弁してくれ」というと勘弁してくれました。

保険会社加入に際しては、必ずドイツ国内の住所が必要になってきます。そのため、日本にいながらドイツの保険会社に加入する、というようなことは、原則行えません。ただ、ドイツの大学入学が決定しており、渡航後に速やかに住所を通知する、というような取り決めを交わした場合、例外として、先に保険加入書を交付してくれることもあります。

おすすめの法定保険会社

一番おススメなのは、大学内に出張所がある保険会社です。入学の際だけでなく、ビザの申請、延長など、様々な場面で保険関連の書類が必要になりますので、その際、すぐ近くに気軽に尋ねられる出張所があると便利です(日本の大学で言う、生協のようなもの)。

大学構内にそれがない場合、お勧めの法定保険は多くの学生から支持されているTKです。

安さでいえばHKKやBKKなどですが(例えばこのサイトを使って保険料を比較すると、ドイツの学生間で最も安く済むのはHKKかBKKのどちらか)、私の友人のドイツ人も、対応の良さ、各都市に支店があり、コンタクトが容易なことなどからTKを勧めていました。

月々の保険料

配偶者の有無や年齢に、住んでいる都市などによって異なってきますが、学生の場合、基本的なレンジとしては70~80ユーロになります。

30歳を超える、大学に在学する期間が長くなる、などの条件下では、この月々の保険料が150、160ユーロにも値上がりすることがあります。

さきほど紹介したこのサイトで検索すれば、保険会社ごとの保険料の違いが比較できますが、会社によってそこまで違いがある、というわけではありません。

カバーできる範囲

ドイツの法定保険の特徴は「全額保証」です。例えば、私の場合、大学院在学中に歯医者に通ったり、親知らずを抜いたり、健康診断のレントゲンをとったりしましたが、プライベート保険のような縛りはなく、基本的に、医療行為であればどんなものもカバーされるのが特徴です。

また、プライベートの保険の場合、自費で建て替えて、あとから保険会社に請求、といういわゆる「後送」パターンが多いのですが、法定保険加入者は、受付で保険証を提示すれば、直接保険会社に請求が行くため、医療費を建て替える手間がないのが魅力的です。

ただ、私はあまりドイツの医者は好きではありません。ドイツの歯医者はしょっちゅう虫歯を抜きたがりますし(日本の歯医者なら、割と詰め物でどうにかいてくれそうなレベルでも)、内科の診察は予約に時間が1週間ほどかかり、医者を訪れたころには病気は治っているケースが多いです。

日本の健康保険、医療保険などとダブル持ちは可能か?

さて、ここで疑問になるのが、「日本で健康保険に加入している場合、ドイツの健康保険にダブルで加入することは可能か?」という点です。

結論からいうと、問題ありません。日本はおろか、EU圏内でも、健康保険が被ること自体は問題ではありません。

ただし、医療実費の保険金請求に関しては、二重請求にならないように注意が必要です。例えば、実費払いの旅行保険や、クレジットカード付帯の医療保険に加入していて、ドイツの法定健康保険に加入している状態で、医療費を2重請求することはできません。

ただし、「入院1日辺り5000円」などの、定額払い(つまり実費払いではない)などの項を設けている医療保険、生命保険などとの二重請求は、基本的には可能です。

保険会社の基本原則は「損害の補填」であるため、二重請求のような焼け太りは認められていませんが、入院1日辺り〇〇円、のような定額払いは、その範疇ではありません。