最近になって海外移住などのテーマが取りざたされていますが、実際には古くからある様式で、戦国時代には多くの侍がタイに移住していますし、戦前期にも多くの日本人がアメリカやブラジル、満州に移住しました。
今回は、ドイツ移住生活を考える人のために、ドイツに永住(移住)する仕組みと、問題点などについて解説していきたいと思います。
ドイツ移住
幸か不幸か、難民からも割とニーズの多い目的地となってしまったため、ドイツにおける移住者の数は増えています。ドイツに生活する人の3割程度が、何らかのドイツ人以外のバックグラウンドを持つといわれており、国的には、トルコ、イタリア、ポーランドからの数が圧倒的に多いです。
もちろん、難民や欧州国内の移動だけでなく、我々日本人も、ドイツに永住している人は少なからず存在します。外務省の統計によると40,000人以上の日本人がドイツに暮らしており、外務省統計によると、うち10%程度が永住者です。
私はまだドイツの永住ビザを持っていませんが、あとは1~2年働いて、ビザ申請要件を満たすだけですので、時間の問題で「ドイツ移住組」の仲間入りすることとなります。そうすると、会社側も私側もビザや労働許可証の問題にかかずらわずに済むので、非常に就活が容易になります。
さて、一言で移住と言っても、そのプロセスは容易ではありません。今回は、その具体的な事務的手続きについて見ていきましょう・
移住と永住ビザ(Niederlassungserlaubnis)
定義が曖昧ですが、この記事では移住を、いわゆる「ドイツにずっと住んでいることが可能な状況」と定義します。
つまり、金銭的に安定し、かつビザ的にもドイツ政府に滞在が長期間(あるいは永住)認められているパターンです。
両親のいずれかがドイツ人、といったような特殊なケースを除き、我々純日本人がこの状況を得るには、永住権を取得する必要があり、それには大まかにわけて2つのパターンが存在します。
労働・納税し、永住権を取得する
ドイツに5年以上滞在、かつ60ヵ月以上年金を納めている、といった条件を満たす場合、ドイツで永住権の申請が行えます(行えるだけで、実際にビザが下りるかは当人次第)。
他にも、ドイツ語が最低レベルできる、ドイツで生活して不自由ない知識がある、などの条件が必要となり、いずれ記事にまとめようと思いますが、要するに、最低5年のドイツでの滞在が求められる、というわけで、容易ではありません。
ただし、特例措置がいくつか設けられており、例えば、EU Blue Cardを保持している場合、5年も必要なく、33ヵ月の滞在と年金の支払いでOKと見なされます。また、ドイツ語レベルB1に習熟している者は、この33ヵ月の縛りが21か月になり、より容易です。
これよりもさらに現実的なのが、ドイツの大学を卒業している場合、卒業後24ヵ月の就労・納税によって、永住権の取得が可能になります。ただ、卒業のために2~3年要するため、いずれにせよ、短くない道のりです。
参考サイト:https://www.make-it-in-germany.com/de/visum/dauerhaft-in-deutschland/niederlassungserlaubnis/
ドイツ人と結婚する
上述の5年滞在バージョンと比較して年数的に容易なのが、ドイツ人配偶者と結婚することです。
その場合、5年も必要なく、ドイツ人と結婚し、ドイツに3年住めば、申請の権利を得ることとなります(ただし、その場合でも、ドイツ語レベルと、ドイツ生活に関する知識の習熟が必要)。
注意しなくてはいけないのが、結婚後3年ですので、それまでは仮の滞在許可証で暮らすこととなります。
ちなみに手続きですが、ドイツ側の手続きに加えて日本側でも手続きが必要なので非常に手間暇かかります。
こちらのブログで必要書類が紹介されていますので手っ取り早く引用しますが、書類集めには時間と手間が掛かるので準備が必要です。
ドイツ側での婚姻届が完了したら、3か月以内に居住地を管轄している日本の在外公館に婚姻届を提出する必要があります。
- 婚姻届 2通
- 日本人配偶者の戸籍抄本 2通
- 婚姻証明書(Heiratsurkunde)2通
- 婚姻証明書和訳文(在ドイツ日本大使館指定の書式に記入)2通
- 外国人配偶者のパスポートまたは国籍が確認できる公的機関発行身分証明書 2通
- 外国人配偶者の身分証明書和訳文(在ドイツ日本大使館指定の書式に記入) 2通
ドイツ移住の具体的方法
上記の5年ドイツに滞在する、というのはあくまで書類上の年数ですので、では具体的にドイツで有効なビザを保持しながらドイツに5年滞在するにはどうしたらいいか、という疑問が生じます。
具体的には、結婚を除けば、以下の2パターンのやり方がおススメです。
ドイツで就職
まず、一番オーソドックスな方法として、ドイツで就職し、ドイツで5年滞在、納税、という、スタンダードな永住権取得の条件を満たすやり方です。実際に、ワーホリでドイツに着て、そのまま職を得て、5年滞在、永住権取得、といった方も中にはいます。
他にも、ドイツの日系企業に就職、5年働いて永住権取得、といったやり方もあり、いずれにせよ、定職に就き、法的にも現実的にも生活できるだけの生活水準を満たすことが重要です。
ただ、以前も記事にしましたが、ドイツで就職することは簡単ではありません。特に、日本から応募する場合、その労力に見合ったスキルをドイツ側は求めますので、それ相応の準備が必要です。
[blogcard url=”http://uueuro.com/germany-guide-index/”]
ドイツ留学→ドイツで就職
上述の通り、ドイツの大学を卒業した場合、永住権取得までの年数が5年→2年に短縮されます。私の場合も、ドイツの大学院を卒業したため、5年も働かず、2年だけ働けば、書類上は永住権の申請が行えるようになります。
恐らく、将来的なキャリアアップのチャンスや、永住権の取りやすさを考えると、このように、一度大学や大学院を間に挟む、というのも一つの手のように思えます。
また、大学・大学院を卒業すれば、ビザだけでなく、ドイツの企業からもお声がかかりやすくなり、ハードルの高い「ドイツで就職」という条件を満たしやすくなります。