日本も最近はクールビズの導入で、夏などはノーネクタイを奨励する企業も増えてきました。また、IT企業などラフなところは、スーツでなくてもいいようなオフィスも少なくありません。さて、ドイツの仕事環境では、服装はどのようなものが奨励されるのでしょうか?
ドイツと仕事の服装
ドイツで生活していて驚くのは、みなさん非常にラフに仕事をしている、というところです。バスのドライバーはコーラを飲み、スーパーのレジの店員はぺちゃくちゃとおしゃべりしています。日本のような過度なサービスを求めないため、サービスを提供する側も「ま、こんなもんでいいか」という感じです。
このラフな文化は接客業だけでなく、オフィスでもほぼ同じ光景を目にすることができます。日本のように、「ネクタイ着用!」「職場に入る前にコートは脱げ」みたいな厳格な仕事文化は存在せず、仕事、つまりタスクさえしっかりこなしてくれれば何を着てきてもいいよ、みたいな感じです(さすがに短パンやタンクトップなどはほぼ見たことがないですが・・・)。
ちなみに、ドイツの研究者は映画に出てくるマッドサイエンティストのような人が多く(頭はとびぬけて優秀だが、どこかオカしい人たち)、以前仕事の関係でロケットの研究施設を訪ねたところ、アロハシャツの館長がオレンジジュースを片手に出迎えてくれました。要は、仕事ができる人は何を着てもいいようです。
知っておきたいドイツの仕事の服装ルール
さて、そんなラフに見えるドイツの仕事社会の中にも、実はさりげなく暗黙の了解的なものが存在します。ルールというほどではないですが、社会人として、あるいはドイツで働く身としては、知っておきたい部分です。
金融業はスーツ着用
原則、銀行や銀行コンサルなど、金融業に携わるひとは、基本的にスーツ+ネクタイの着用が求められます。また、ドイツ社会はタトゥーなどに寛容ですが、銀行業などではそういった装飾類はあまり認められません。
また、金融業の場合、派手なスーツよりも、黒系のスーツが好まれます。ただ、上述のように、通常のオフィス(メーカー等)では基本そこまで堅苦しい格好は求められないので、スーツで毎日通勤しようものなら、オフィスはもちろん、通勤途中のバスなどで若干浮いて恥ずかしい思いをします。
オフィシャルな場ではスーツ着用
オフィシャルな場とは、例えばプレゼン、あるいは重要な会議のときです。顧客の訪問、出迎えなどもこれに含まれます。この時ばかりは、普段はラフなドイツ人も、ぴしっとした格好をします。ただし、多くの場合ネクタイは不要です。シャツやジャケットで十分なケースが多く、心配であればドイツ人の同僚に質問しましょう。
ちなみに、私の大学院では、プレゼンの時はシャツなど小奇麗な恰好をすることを求められました。
時計はステータス
日本でもよく社会人になると「時計はいいものを買え」と言われるように、ドイツでも同様に、時計はステータスの一種で、特に営業など客先に行くような職種の場合、気を使わなくてはいけません。
ただ、以下の外部リンクでも言われているように、ドイツ人の性格上、あまり華美なものは好まれません。
Herren-Businessuhren sind meist auch an einem minimalistischen Ziffernblatt und eher klassischen Uhrendesign zu erkennen. Viele dieser Uhren sind überwiegend mit einem Lederarmband ausgestattet und nicht selten mit einer leichten Prägung im „Kroko-Muster“ versehen. Aber auch Business-Uhren mit Gliederarmbändern aus Edelstahl sind bei Herren sehr beliebt – es kommt eben immer auf den jeweiligen Kleidungsstil und den persönlichen Geschmack an. Gerade aber auch Markenuhren von Tommy Hilfiger, Seiko, TAG Heuer oder Citizen sind bei Männern sehr beliebt, da sie auch als Statussymbol wahrgenommen werden, was gerade in der Berufswelt durchaus wichtig ist. Trotz der Tatsache, dass über 90% der Männer im beruflichen Alltag wenigstens ein Smartphone dabei haben, sind klassische Armbanduhr nach wie vor enorm beliebt, da sein ein Business-Outfit stillvoll ergänzen. Eine edle Analoguhr oder ein auffälliger Chronograph, welche unter einem Business-Hemd leicht hervorschaut, ist einfach viel mehr, als nur ein Zeitmesser.
(訳:紳士用ビジネス時計は基本的に最小限の機能とクラシックなデザインのものが好まれる。つまり、皮のベルトで、ワニ柄がそれに浮き上がっているような形も悪くない。ビジネス時計では、ステンレス製のバックルも紳士向けに好まれているので、選択肢の一つだ。原則として、個人の趣味や仕事のスタイルに合わせるべきではあるが。強いて名をあげれば、ビジネスの世界では重要な、ステータスシンボルとしても捉えられるので、Tommy Hilfiger、Seiko、Tag Heuer、Citizen当たりの時計が無難に好まれる。実際のところ90%以上の男性がスマートフォンを使用しているわけだが、ビジネススタイルの一部としてすでに捉えられているため、やはり皮のバンドのクラシックな時計が好まれるのだ。高級なアナログ時計やけばけばしいクロノグラフのような、シャツの下から一目でそれとわかるようなものは、時計としては「過激すぎる」のだ。)
男性は長財布を使うな
日本では長財布を使う男性陣は非常に多く、おかしなことなど何一つありません。しかしドイツでは男性が長財布を使用するケースがなく、ゲイと勘違いされる可能性すらありません。もちろん、ゲイであることが問題なのではなく、男性は一般的に長財布を身につけないので、郷に入っては郷に従えの言葉通り、折り畳めるものを持っておくといいでしょう。
スーツは綿100%を購入せよ
いいとこに勤めるドイツ人が口を揃えていうのは、「スーツは妥協するな」「綿100%の良質なものを購入せよ」ということです。日本のように、革靴や裏地など、目につきにくい部分に金を使って粋だね、みたいな文化ではなく、長く使えるものはいいものだね、という即物的な文化です。
ドイツ人にとって、いいものとはすなわち、「機能的なもの」「長持ちするもの」「実用的なもの」です。
ちなみに、以下のサイトでおススメのスーツブランドについて述べられていますが、価格帯として、いっぱしの社会人に求められるレンジは200~650€(25000円~80000円)程度、とのことです。
ドイツのおすすめスーツ(ドイツ語:外部サイト)
上記のサイトを見ると分かるようにドイツでオーソドックスなスーツの色合いは暗いグレーなど黒に近い色で、無柄が無難です。
シャツはキレイに
そして、ドイツ人は無類のきれい好きです。シャツに汗ばんだ汚れなどついていようものなら、不潔だと罵られます。というわけで、身だしなみの中では、特に「清潔かどうか」に特段気を付ける必要があります。
ドイツ服装トラブル
日本よりもラフで知られるドイツのオフィスの服装ですが、特に夏場は短パンを履いてくるなど、「ラフ過ぎる」スタイルで出社する若者もいるようで、ドイツ社会でも物議をかもしています。
Mit diesem Dilemma musste sich auch Joey Barge aus dem britischen Buckinghamshire auseinandersetzen. Er arbeitet in einem Call-Center und wurde nach Hause geschickt – weil er eine kurze Hose trug. Das wollte Joey nicht auf sich sitzen lassen. Später am selben Tag kehrte er zurück auf die Arbeit – und trug ein pink-schwarzes Kleid.
訳:このテーマ(服装)について、イギリスバッキンガムシャー出身のジョイは一石を投じた。彼は短パンで出社し、ボスに家に帰らされた。会社側は、彼にその服装でオフィスに留まることを許さなかったのだ。しばらくして彼は再出社したが、そのとき彼はピンクと黒のけばけばしい服装でやってきた。
私の個人的な経験ですが、若者に限らず短パンで出社しているドイツ人を見たことがあります。温暖化の加速で2022年現在においてはドイツの夏もかなり暑さを発揮していて、気持ち的には理解できるのですが、やはり褒められた格好ではないことが同僚との会話で伺えます。
上記の記事では若者というカテゴライズがなされていますが、例えば「内勤が多い社員」や「勤務年数が長い社員」は、ダレてくる傾向にあるという感触です。周りの悪いお手本に流されず、今回の記事で綴った一般的な常識のルールを守りつつ、しっかりと業務をこなすことを強くオススメします。