日本語で外国は、「海外」、文字通り我々島国からみれば、海の外の国は外国です。英語でも同様に、外国=oversea (海の外)と表されます、恐らく島国であるイギリスにも、海の外=国外、というニュアンスがあったのではないでしょうか。
対して、陸続きの国では、国境は陸の上にひかれています。それゆえ、ドイツ語でも外国=Ausland(国土の外)と表し、中国語でも「国外」が一般的です。彼らにとって、海外とは海の外にあるものではなく、もっと身近に、ちょっと町の外に感じられるようなものなのです。
シェンゲン協定により、ヨーロッパ各国の出入りは、まさに、あたかも一歩隣の町に足を運ぶように、簡単になされるようになりました。同時に、国境付近の村々の生活にも、影響が及ぼされたようです。
今回は、チェコ=ポーランド国境の町、Lubawkaを訪ねてきたため、そのレポートを行います。
Lubawka
ポーランド南部、チェコとの国境沿いに位置する人口6000人程度の町、Lubawkaの支配は、歴史的様々な領主の手に渡っています。16世紀以降、ハプスブルグ家の手に渡り、30年戦争ではスウェーデン軍によって町は破壊されています。
18世紀以降、シレジア戦争でプロシアがこの土地を獲得、のちにプロシアがドイツを統一すると、そのままドイツ領に編入され、鉄道の要衝として栄えることとなります。
ドイツオリンピックの時には、近隣の施設などが利用され、第二次世界大戦中はその施設がヒトラーユーゲントによって引き継がれ、1945年にソ連軍の侵攻とともに町は崩壊、ドイツの手を離れ、ポーランドに引き継がれます。
そんな歴史的経緯もあり、街並みは「ドイツ的」であると形容されています。町のいたるところに、戦前の古い建物が立ち並び、ドイツ時代の面影を感じられます。
プラハからLubawkaへ
さて、今回は、チェコ人の友達の車で、プラハから、Lubawkaを突っ切ってWroclawまで旅行することにしました。
チェコ→ポーランドの国境には、ただ以下のような看板が掛けられているだけで、味気ないものです。
国境沿いの売店では、チェコ、ポーランド両方の通貨が使え、同様に、チェコ、ポーランド両国のビールが購入できます。
町は閑散としており、お年寄りの姿が目立ちます。高い建物もなく、まるで廃墟のよう。
近くにダムがあったので、見学してみました。
ここは、スキージャンプの練習場のようです。
町自体は、ものの数十分もあればぐるっとみてしまえるような小さい規模のもので、カフェやレストランもまばらでした。