厳密には、タイトルの「読んだら必ずドイツで働きたくなる」は誇大広告で、途中まではドイツの企業の良いところばかりピックアップするので、働きたい気持ちが増すかもしれませんが、後半部分はデメリットに焦点を当てますので、段々働く気が薄れると思います。
ドイツの企業って魅力的?
周りでも、ドイツの日系企業で働く人や、日本のドイツ企業で働く人はちょいちょい見かけるのですが、純粋なドイツ企業で現地で働く日本人の数って、多分そう多くは無く、ドイツの仕事文化はブラックボックスに包まれている気がします。
それゆえ、今回は、日独両方の企業を経験した身として、ドイツ企業の魅力、メリットを余すところなくまとめていきたいと思います。
メリット
まず、これを読んだ人がドイツで働きたくなるような、メリットの側面をまとめていきます。
高給
まず、端的にいえば、ドイツの企業で働くと、多くの場合、日本の同規模の会社で働くよりも、高給であることが挙げられます。例えば、ドイツの経済・商学系の代表格であるBWL学部を卒業した場合の初任給平均は「40,000€」とされており(地域にもよりますが)、日本円換算ですと520万円です。
520万円というと、月給30万円×12ヶ月+ボーナス夏冬80万円ずつで達せられる数字ですので、初任給でこの水準を貰える職種というのはかなり限られていると思います。
ただ、後述の通り日本は住宅補助など福利厚生面が手厚いので、必ずしもドイツが美味しいとも一概に言えませんが、一応額面だけみたらドイツのほうが高給取りです。
17時には家に帰れる
私がちょいちょい押してるポイントなのですが、ドイツの会社には残業、休日出勤の文化が無いのがありがたいです。
会社の飲み会、クライアントの接待、など、日本で一般的に行われているような仕事後の準仕事的な集まりもありません。
良くも悪くも、個人主義全開な文化ですので、必ずしもそれが日本人の水に合うとは限りませんが、好きな人にはあうでしょう。
有給が年間30日程度ある
労働者天国であるドイツやオランダでは、有給の権利がもはや国レベルで保護されています。
急ぎの案件でも、「あー担当者の〇〇さんは今長期休暇とってます、ごめんね」と言われたら何も言い返せずに終わります。取引先からの連絡でも、「あー長期休暇か、ならしょうがないね」で済ませてくれます、なぜなら自分も長期休暇を享受する身として、相手が長期休暇をとることに対し強く言えないのです。
というわけで、日本のような名ばかりの有給ではなく、本当に年間30回の有給をとらせてくれるのがかなりの強みだと思います。
転職に超有利
私も、就職するまで知りませんでしたが、ドイツ語がビジネスレベルで話せる人材は、かなり欧州内の転職市場で人気者になれます。
もちろん、語学はあくまでコミュニケーションツールですので、それに加えて個人の得能、マーケティング、統計、OSスキル、工学などの知識が必要とされてくるのはもちろんなのですが、一応、ドイツのそこそこ大きな会社でドイツ語と英語で働いてる、というと、ドイツから転職するとき、大体どこの国でも応募のテーブルには挙げてくれます。
ドイツ→日本への転職の需要がどこまであるか分かりませんが、ドイツ→欧州内、の転職を考えると、かなりつぶしが利くようになる、というのが魅力です。
デメリット
メリットを読んでドイツで働きたくなった人向けに、デメリットも紹介します。
仕事が見つけにくい
まず、第一に、ドイツで正社員の職を見つけるのは簡単ではありません。
優秀なドイツ人の人材ですら、いきなり採用、とはいかず、大抵インターンシップや試用期間を経て、正式な採用となります。
なぜかというと、ドイツは労働者の権利がかなり強く守られている国で、解雇するのが容易ではないのです。そのため、企業側としても、一度雇ってしまうとクビにできないため、慎重に採用プロセスを進めます。
加えて、成果主義であるドイツのビジネス文化では、年齢はそこまで加味されません。つまり、新卒採用組の「若さ」というメリットが失われ、「未熟」というデメリットが浮き彫りになってしまうのです。
例えばとある社が「ロジスティック部門を募集、英語、ドイツ語流暢に話せることが条件」といった場合、国籍、年齢問わず求人に訪れるので、当然、その分野に経験のある30~40歳くらいの人材のほうが、就職市場で有利なのです。
というわけで、我々のように、ドイツ語が母語でもない者が職を見つけるには、なにかしらの得能を持ち、その実績を証明できる成果のようなものが最低でも必要になってきます。
そのため、大抵のドイツの学生は、どんなに優秀な大学に通っていても、大抵、大学に通っている最中に長期インターンシップを経験し、付け焼刃の「経験」を身に着けるのです。
ハイレベルな語学力が要される
基本、職場ではドイツ語で話されるため、これを理解するための高度な語学力が要されます。こちらが外国人だからと言って、ゆっくりと話してくれるほどドイツ人は優しくないので、生半可な語学レベルで職場に飛び込んでしまうと、かなり痛い目を見ます。
ただ、ビジネスレベルのドイツ語に達するには、ビジネスを経験しなくてはいけない、というパラドクスがあるため、最初の職場などでは、自分のドイツ語の限界をある程度先に訴えておいたほうが、向こうもそこまで高望みをしないでくれて助かります。
1年も、ドイツ人の職場で毎日ビジネスドイツ語を使っていれば、自ずと上達します。
福利厚生が充実していない
日本のように、通勤補助、家賃補助まで出してくれる会社はごく一部で、大抵の場合、自腹で色々何とかしなくてはいけません(その代わり、自腹でも飲み会参加や、自爆営業などはありませんが)。
それだけならいいのですが、基本的に、転勤の際の住居の手配などは、会社のサポートなしに、全て独自で取り計らわなくてはいけませんので、外国人である我々にとっては時にヘビーです。
結果主義的な傾向がある
アメリカは、超実力主義と言われ、日本は割とプロセスを評価対象にする傾向にあります。
さて、ドイツはどうかというと、ちょうどその中間あたりだといわれており、アメリカのように超短期で結果を出さなくても大丈夫ですが、しばらくの期間結果が出ないとクビになったりします。
結果主義というか、ドイツ特有のpragmatic(即物主義的)な性格の顕現だと、わたしは思います。使えるものは変態でも使う、使えないものは神様でもいらない、的な、ゲルマン文化。
お正月が無い
最後に、我々日本人特有の「お正月休み」がありません。例えば、今年2019年などは、日本の会社は1月7日ごろまでお休みのところが多かったですが、ドイツの場合、すでに1月3日から稼働です、年が明けた、といってゆっくりする時間が全く与えられませんでした。
上述のとおり、たっぷり有給があるので、それをお正月にあてれば三が日どころか3週間くらい休めるのですが、なんとなく、オフィスがいそいそとビジネスを開始するのをみて、毎年「忙しないな」と感じます。
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