昨今噂のノマド生活ですが、コロナの沈静化をうけて日本人の海外ノマド化熱も再燃してきました。ここドイツでも、ベルリンやミュンヘンなどで気ままなフリーランサー、ヨーロッパを放浪するノマド達に遭遇します。
さて、日本人である彼らは、はたしてどのようにノマド生活を実現させているのでしょうか?ヨーロッパで最も永住ビザの取りやすい国ドイツを足掛かりに、ヨーロッパでノマド生活を実現させるための裏技について伝授します。
(※情報は2022年7月のものに基づいています。また、独自の経験、調査に基づく記事のため、実際にトラブルに巻き込まれた、書いてある通りにできなかった、などのクレームがあっても対応できかねない点にご注意ください!)
ドイツで永住ビザを取得する
まず、ヨーロッパでノマド生活を続けるための最初のステップは、ドイツで永住権を獲得することです。「え、そんなの難しい」と思うかも知れませんが、ドイツで5年働いて税金を納めれば(こちらの大学を卒業していればもうちょい短縮されます)取得可能なので、他のヨーロッパ諸国に比べて難易度は甘めです。
ドイツで就職、と聞くとこれまた難易度高く聞こえますが、何もポルシェやミーレの本社で働く必要があるわけでもなく、ドイツに進出している日系企業などで働いても当然その時期は永住権獲得にカウントされます。特に、現地に進出している日系の中小企業は絶えず人手不足なので、英語が話せるとどこかしらに就職できます。あとはそこで5年しのげば永住権ゲットです。
ドイツ永住ビザとノマド生活
さてこの永住ビザですが、実際に私たちが思うほど万能ではありません。まず永住という名前がついていようとも、半年以上ドイツを離れると失効します(親の介護など、特別な理由があると延長可能)。それと、パスポートと紐づいているので、日本国のパスポートの更新に合わせて永住ビザも更新しなくてはいけなかったり、国籍がドイツに変わるわけでもなく、割と微妙な立ち位置のカードです。
それではこの永住ビザがなぜ自由気ままなヨーロッパノマド生活の特急券なのでしょうか?実際にはヨーロッパというよりシェンゲン協定国ですが、ドイツビザを保持していれば、シェンゲン協定国には3ヶ月を限度に滞在することが可能なわけです。
つまり、ヨーロッパのビザの中でも最強と名高いドイツの永住ビザを持っていれば、今月はパリ、来月はスペイン、再来月はポルトガル、など資金の続く限りヨーロッパ諸国でノマド生活して問題なくなるわけです。
※ちなみに、ちょっとグレーなことを言うと、お隣のフランスやポーランド、チェコやイタリアなど、シェンゲン協定国へ旅行する際、国境でスタンプを押すなどの国境コントロールはありません(電車やバスの中でパスポートやビザを見せろと言われることはありますが)。つまり、外人局の人たちは実際に何月何日にAさんが国境を越えてフランスに行ったかどうかなど分からないわけです。良識のある皆さんは、くれぐれもこの制度を悪用して同一国に3ヶ月以上滞在するなどはしないようにしてくださいね!
ノマド生活に必要なこと
さて、ドイツで永住ビザを獲得し、ヨーロッパ中を旅するノマド生活を開始するときにはいくつか注意が必要です。
ドイツで住所を確保しておく
ドイツの住所を引き払いAbmeldungした時点で、上述の「ドイツを半年以上離れたらビザ失効ルール」のカウントが始まります。逆に言えば、ドイツに住所を保持しておけばずっとドイツのビザは保てます。年金は任意ですが、健康保険はマストなので、ランニングコストとして家賃と健康保険料(月々200€くらい)支払う形になりますが。
ちなみに、ドイツに住所を保持していても、シェンゲン協定外に出て(つまりパスポートに出国のスタンプが押されて)半年以上たつとやはりビザは失効します。そのため、いくらドイツに住所を持っていても、日本に半年以上帰国したり、ロシアやウクライナやルーマニアなどシェンゲン外に行く場合には半年以内の滞在にしないといけません。
年金や健康保険や納税は自己責任
勤めた会社を辞め、フリーランサーとして生きていくのであれば今まで会社の庇護下にあった年金、健康保険、納税手続きなどの恩恵を失います。こうした手続きは全部自分で行わなくてはいけません。
特に、年金や健康保険を自分で払うとなると割と高額になるので、月々最低でも1500ユーロ以上のフリーランス収入がある見込みがないとノマド生活は厳しいでしょう。
ドイツ国外にいながら失業手当は受け取れない
ドイツは他のEU諸国と失業手当に関する提携を結んでいるのですが、日本人である我々がその恩恵に預かることはできません。ドイツの失業手当はドイツ国内にいるときにしかもらうことができず、しかも失業手当を貰っている最中は年がら年中労働局から電話がかかってきて、現在の居場所を確認されます。到底、気ままなノマド生活はできないでしょう。
Arbeitslose Personen aus Ländern der Europäischen Union können Arbeitslosengeld auch dann erhalten, wenn sie sich vorübergehend oder auf Dauer in einen anderen Mitgliedsstaat begeben.
意訳:欧州連合加盟国の失業者も、他の加盟国に一時的または恒久的に移住する場合は、失業手当を受け取ることができます(ただし日本人はこの制度を使えない)。(Deutsche Vertretungより引用)
ただし、この失業手当受給の資格は4年を上限に保持し続けることができます。つまり、ドイツの企業を退職後、3年くらいぶらりといろんなところに旅行し、4年目に帰ってきて失業手当を取得する、という裏技が実は使えるわけです。