チェコのNostrification 2:必要な書類と手続きについて

前回の記事ではNostrificationについて、そして誰が対象になり、誰は対象にならないのかについて書いていきました。

今回はNostrificationのための書類集めと、実際の申請方法について書いていきます。

ちなみにここからは私立大学で且つ、プラハで手続きを行う場合を想定したいと思います。

Nostrification2:実際の書類集めと申請方法について

さて今回は具体的な手続きの部分を見て行きたいと思います。

なぜ私立大学の場合を想定して書くかと言いますと、いくつか理由があります。

  • 私が私立大学に行ったので私立大学の手続きを行ったから
  • 国立大学の場合は英語で書類が提出できそうなので、手続きが比較的簡単

書類がチェコ語で提出しないといけないのか、それとも英語でもいいのかというのは実は大きなポイントになります。

なぜなら、日本の学校は多くのところで英語で書類を発行してもらえる場合があるので手続きが簡単になるし、費用も安くなります。

チェコ語で提出しなければいけない場合は法廷で認められた、正式な資格を持つ翻訳家依頼しなければいけないので余計に時間とお金がかかるので注意が必要です。

ただ念のため外務省などで英文の書類でもアポスティーユを付けてもらえるか事前に確認をしておいてください。

そしてチェコの私立大学の場合はチェコ語で書類提出になるので残念ですが覚悟をしておいてください。

必要書類

先ずは申請に必要な書類を紹介します。

  • 高校の卒業証明書(アポスティーユ付き)
  • 高校の単位証明書(こちらもアポスティーユを付けられるなら付けてください)
  • 中学校の卒業証明書(必須では無いがオススメ)
  • 中学校の成績証明書(必須では無いがオススメ)
  • 資格を持つ翻訳家によるチェコ語の翻訳
  • 記入済みの申請書:プラハの場合はこのウェブサイトの下側What you need for recognition of foreign educationのセクションからダウンロードできます。
  • 住所の証明:住んでいる場所の契約書など
  • 日本大使館より発行してもらえる、日本の学校で中学校や高校の単位は何時間分に相当するという書類(チェコ語で出してもらえます)
  • 申請費用1,000コルナ

少し多いですが挫けないでください。

学校の単位修得証明書、成績証明書は母校に行けば有料になるでしょうがもらえますので集めてください。

もし中高の単位修得証明書と成績証明書についてよくわからない場合はとりあえず両方で両方ゲットしてしまいましょう。

ちなみに私の母校の場合は日本語だと数日、英語だと一週間程度かかると言われました。

アポスティーユとは外務省が日本の公的な書類に関してこれは大使館、領事館が認証しましたという証明です。

私は霞が関の外務省で学校の証明書に押してもらいましたが一週間程度で取得できたと思います。

住居の契約書ですが、大学の寮の場合は初日にスムーズにもらえると思います。

チェコ工科大学(CVUT)とカレル大学の寮に住んだことがありますが、どちらも似たような書式で英語とチェコが併記されている書類を引っ越し初日にもらえました。

中学校からの書類

実はこの書類は必須ではありませんが、少しでも試験行きのリスクを減らすために中学校からも卒業証明書と単位修得証明書、成績証明書を集めるのをオススメします。

Nostrificationの審査では何を基準に見られるかというと、成績ではなく、勉強時間を見られます。

これは噂程度の聞いた話ですが、合計で4,000時間を超える場合は試験が免除になると言っていた人がいます。

少し説明が長くなりますが、これには各国の教育システムが関わってきます。

チェコを含むヨーロッパでは一般的に大学に行くまでに13年間の救育期間があり、大学は3年間の計16年になっています。

チェコでは旧ソ連圏からの留学生が比較的多いですが、彼らは大学までの勉強期間が11年とチェコより2年間も短くなっています。

そうすると旧ソ連圏の学生はチェコ人より勉強時間が圧倒的に少ないので、チェコで正規の学生になるためにはその分追加でNostrificationの試験を受けて合格しないといけません。

試験科目はNostrificationのofficeが勉強時間の少ない科目を中心に指定してきます。

私の経験上、ロシア人やウクライナ人の学生は平均4科目ぐらい指定されていました。

ただ各国の教育システムの違いや行く学校によって学ぶ科目はもちろん変わってきますよね。

私が聞いた中で一番悲惨だったケースは、アメリカ人がこの手続きをしたとき、高校で学ばなかった物理の試験を受けさせられたと聞きました。

実際のNostrificationの試験に関しては次の記事で具体的に書きますが、とにかく試験はできるだけ避けることをオススメします。

そして話が戻って日本ですが、日本は小中高合わせて12年となりチェコより一年短いので日本人も試験を受けなければいけない可能性があります。

しかし中学校の書類も提出した場合、中学校の3年時の科目勉強時間は認められる可能性があります。

これは審査する側のさじ加減で決まるので、残念ながら絶対にこうすればいいとか言えませんが、とにかく少しでも試験のリスクを下げるために中学校からも書類があった方がいいです。

ちなみにこの日本とヨーロッパの教育システムの違いのせいで、日本の高校卒業生は多くのヨーロッパの大学に直接正規で入学することが難しくなります。

例えばドイツの場合は日本のセンター試験を受けなければいけなかったり、他の国でも一年分の勉強時間が足りないので申請自体拒否されるケースがあります。

国や大学によってはこの部分柔軟に対応してくれる場合があり、チェコの場合はNostrificationの試験という形になります。

チェコ語の翻訳

チェコ語の翻訳に関してですが、これは上にも書いたように誰でも良いわけではなく、有資格者による翻訳が必要となります。

プラハにある日本大使館に行けば日本語チェコ語の翻訳家のリストはもらえました。

数年前の話ですが、恐らくは今でも同じようにリストが存在していると思います。

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上の記事でも触れていますが、当時私が実際に手続きをしていた時はリストの中にいましたアンナさんという方が値段が確認できた中で一番安く引き受けていただけたのでお願いしました。

ただ、翻訳家の方は忙しかったりしてすぐにお願いできないケースもありますので注意してください。

オススメは学校の書類はできるだけ英語で集めることです。

なぜかというと、英語チェコ語の翻訳家の方が人数が圧倒的に多いのと、翻訳家が多い分翻訳の費用も日本語からチェコ語にするより、英語からチェコ語にする方が安いパターンが多いです。

ここの部分でお金を多少節約できますし、翻訳も早くできる可能性があるので英語で手に入る書類はできるだけ英語で集めることをオススメします。

書類のコピーについて

公的な手続きのために毎回住居の契約書など原本を提出するわけにはいきません。

チェコではコピーでも正式な書類として認めてもらえる方法があります。

チェコの郵便局で書類のコピーをお願いできますが、そこでスタンプを押すように窓口にお願いしてください。

そうするとコピーした書類の裏にハンコを押してもらえて、原本と同じように提出ができます。

追加で少し費用がかかりますが、記憶が正しければ一枚30コルナ程度だったと思います。

有資格者の翻訳家にはこのコピーを提出すると翻訳された書類とコピーの書類を組み合わせて正式な翻訳として扱われます。

こうすることにより、住居の契約書や学校関係の書類は全て手元に保管しておくことができます。

大使館からの書類

実はこの書類もチェコ側のウェブサイトには一切言及されていませんが必要になります。

というのもNostrificationの審査官は日本の高校の単位だけだと何時間勉強しているか判断ができません。

それを補うために、日本大使館は好意で日本の高校の一単位は何時間分に相当するという書類を作成してくれます。

中学校の書類も提出する場合は中学校の分も日本大使館に作成するようお願いする必要があります。

中学校の分の書類は日本大使館もあまり対応したことがないので、まずは大使館に行くか電話をし、Nostrificationのために中学校分もお願いしたい旨を伝えましょう。

文部科学省が公開している中学校の学習指導要領を自分で確認し、該当箇所をわかるように日本大使館のスタッフに提示すると中学校分の書類も作成してもらえると思います。

申請方法

ここまでくればあと少しです。
書類を全て揃えたらそれをもって提出に行きましょう。

前にも書きましたが、プラハの場合の提出先はこちらの建物になります。

注意点として手続きを行う際は必ずチェコ語が話せる人と行きましょう。

スタッフはチェコ語を話さない人が来ると不機嫌になることがしばしばあります。

そしてこちらのオフィスは月曜日と水曜日しか空いていません。

  • 月曜日 12:00 – 17:00
  • 水曜日 8:00 – 18:00

書類が全て揃っている場合、スタッフが下の階で手続き代金の1,000コルナを支払うよう指示してくれます。

手数料を支払うと領収証をもらえるので、それを持って一階の受付で書類を全て提出すると完了となります。

あとは後日住んでいる住所に手続きについての書類が送られて来るのでそれを待つことになります。

私のケースの場合はおよそ30日以内に手紙がきました。

もし書類に不備などがあると、提出しても時間が余計にかかったり、酷い場合はずっと放置されることがあるので、もしある程度時間が経っても何も連絡がこない場合はチェコ語が話せる人にお願いして電話なりNostrificationのオフィスに行って確認してもらいましょう。

まとめ

この手続きはとにかく時間とお金がかかります。

申請者がチェコに既にいて、日本からの書類がさらに必要な場合は家族に頼んだりできますが時間が余計にかかりますので、日本にいる間にきちんと書類を集めましょう。

チェコのウェブサイトには書かれていない書類が必要だったりするので気をつけてください。
ポイントを改めて下に箇条書きでまとめます。

  • 日本の書類にはアポスティーユを付ける
  • 念のため中学校からも書類を集める
  • 日本からの書類は英文で手に入るものは英文で(アポスティーユが付けられるか確認)
  • 原本は提出せず、チェコの郵便局でスタンプつきのコピーを作り、そちらを提出する
  • ウェブサイトに載っていない書類も必要なので注意
  • Nostrificationのオフィスに行く際は必ずチェコ語が話せる人と行く

みなさんがNostrificationの試験に引っかからないことを祈ります。

次回はNostrificaitonの試験ついて話をしていきます。

試験になった場合ややこしくなる可能性があり、余計に費用と時間がかかります。

できれば手続きを始める前にこの試験について読んでおいてください。

読めばどうして避けたほうがいいかわかると思います。