この記事では、チェコでチェコ語で大学に入学した正規留学生の視点から、チェコ語でチェコの大学に行くメリットをまとめてみます。チェコで勉強するのは英語のプログラムとは違い、チェコ人とスロバキア人の他に外国人が少ない状況です。
チェコの大学に行くメリットは、どんなものがあるのでしょうか。簡潔に表すと大学に入学することがゴールになるだけではなく、大学卒業後の先へ目を向けることで将来設計が立てやすくなります。チェコの大学院に進学するのもよし、チェコの会社や日系企業に就職するなど幅が広がります。
チェコ語で大学正規留学は英語のプログラムとは違う?
チェコには英語で正規留学できるプログラムも結構あります。しかし、チェコ語で勉強するのと、英語で勉強するのは、実は単なる言語以上の違いがあるんです。下で紹介しますが、大学にチェコ語で正規入学をすると学費が無料になるんです。以下にそれ以外のポイントも含めて詳しく解説していきます。
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国立大学はチェコ語の場合学費無料
まずなんといっても、無料で大学に行けること。これは経済的に優しいですね。もう少し正確に言うと、「国立大学のチェコ語のプログラムは国籍に関係無く学費が無料」です。しかし、チェコ語がある程度できないと、大学に出願出来ないこともあるので注意が必要です。
最近聞いた話では、地方の大学(プラハから西の方やポーランド国境沿いの方)では、外国人でチェコ語のレベルの証明書がなくても合格できたそうです。単に人から聞いた話なので実際どこまで本当かわかりませんが、外国人慣れしていない地方の大学は狙い目かもしれませんね。
ちなみに、地方の大学を選ぶメリットは、入学しやすいこと、それから人が優しいこと、物価が安いことでしょう。それに比べて都会では、教授の質や色々な生徒に出会う確率が増えます。おしゃれなカフェや図書館も多いです。日本の都会と地方のイメージとやや同じだと考えてもらったほうがいいかもしれません。
在学中にチェコ人ネットワークが築ける
あたりまえですが、入学すると周りの学生やクラスメイトはチェコ人だらけです。クラスメイトや教授たちと同じ時間を共有しながら、段々仲を深めましょう。ただチェコ人だらけと言っても、スロバキア人やウクライナ人、ロシア人等ちょこちょこスラブ系の外国人がいます。前の記事でも紹介されていますが、スロバキア語とチェコ語はとても似ていて、スロバキア人は勉強しなくても、チェコ語を理解できるのです。また、ウクライナ人はチェコで住んでいる一番多い外国人のグループで、言語も多少似ているので、一年位チェコ語を勉強すると大学入学レベルまでたどり着く人も結構いるのです。
ではチェコ語のプログラムに外国人の割合はどれくらいいるかと言うと、これは学部学科によっても変わってきますが、10%から多くても30%くらいでしょう。つまり周りはチェコ人だらけです。
長期的なポイントでもありますが、やはり現地の人と自然と知り合える機会があるのは、非常に大きなメリットの一つです。ヨーロッパだろうとアメリカだろうと全ての日本人(他の国の人もそうです)がぶつかる海外移住の大きな壁の一つが、ローカルな人との接点を作る難しさです。簡単に言い換えれば、現地に溶け込むのは簡単ではないのです。
日本に住んでいると「新天地で外国人として生活する」イメージはどうしても想像できないですよね。そこで私の経験を織り交ぜて少しお話ししたいと思います。
元々私は日本にいた頃から人見知り&引っ込み思案な性格でした。初めてあった人とは何を話していいのかもわからず、会話が続かず沈黙をしてしまうことが多かったです。そんな性格ですから、チェコに来たばかりの頃はそれはもう悲惨な状況でした。そもそもチェコ語ができない、さらに拍車をかけて人見知りを発動してしまい、チェコ人と仲良くできる訳がなく、ましてや日本人とも友達になれず苦労しました。
しかし外国人としてチェコに住み、そしてチェコ人たちと一緒に大学に通うようになって、本当に少しづつですが人見知りを克服していきました。言語が分からなくても、誘われた集まりには積極的に参加して、顔を覚えてもらいました。そしてここぞというときに笑ってもらえる表現を覚えて、チェコ人にウケる話も覚えていきました。大学留学生活は勉学だけではなく、こうしたコミュニケーションの取り方は生きる術として大切なことだと何度も実感しました。チェコ留学の経験は将来日本でも、チェコでも、ほかの国でも使える貴重なものだったなと思います。
少し話が外れしまったので話を戻しますが、クラスメイト以外の話だとスチューデントオフィス(日本だと学生課に相当)では、掲示板に求人募集の広告が貼られている可能性があります。国によって(日本で)はアドミッションオフィスと呼ばれていて、学生の手続きや求人、試験など様々なサポートを行う場所があります。こまめに訪れて、チェックすることをお勧めします。普通の求人には載っていない、学生とその大学だけの特権の仕事の可能性もあります。学校によっては、求人に応募するにあたって推薦状など書いてくれるかもしれません。
ただ、スチューデントオフィスは英語のプログラムに入学してもあるでしょ?と疑問に思った方は半分正解です。もちろんどこの大学にもこう言った学生をサポートするオフィスなりデパートメントはありますが、トリッキーな部分でもあるんです。悲しいことにチェコの大学は、基本日本の大学の様な手厚いオリエンテーションやサポートはありません。これはもちろんチェコ語でも同じことは言えますが、それでもチェコ語の方が英語のプログラムよりまだマシです。
私の日本人の友達がチェコの大学で英語で正規に大学入学していましたが、彼は超簡単なオリエンテーションが一回あっただけで、次の週からいきなり大学の講義が始まって最初は右も左も大学のシステムが全然わからなかったと嘆いていました。
他にも教授と仲良くなれたりすると、「僕の知り合いがここで学生バイトを探している」などの有益な情報を教えてくれることがあります。実際に私のクラスメイトの一人は、教授から仕事を紹介してもらい、在学中はそこでアルバイトとして働き、そして卒業後はそのまま正社員として採用されて働いています。やはりどこの国もコネは強いもので、日頃から教授と仲良くしておくことも忘れないでください。
また、アジア人が少ないところでは、良い面でも悪い面でも、顔を覚えてもらえます。その特性をポジティブに生かして、色々な人とコミュニケーションを取れることもあります。
チェコの大学を卒業すると、チェコ人や他EU市民と同条件で仕事を探せる
これは英語のプログラムと一緒で違いがあるわけではないですが、大事なポイントなのでここでも書いておきます。チェコの大学を卒業するとチェコでの労働許可『ÚČEL HLEDÁNÍ ZAMĚSTNÁNÍ』を申請することができます。
必要な書類は、申請用紙、パスポート、証明写真、住居証明、銀行残高の証明、チェコの大学での卒業証明書です。チェコで学生ビザを更新するときと、ほぼ同じです。変わるところは、学生ビザでは在学証明を提出していますが、卒業後なので、卒業証明書を提出することになるところです。期限は最大9か月出るみたいです。その間に新しい仕事や方向性を決めなくてはいけません。時間があるようで、あっという間に過ぎてしまいそうですね。やはり、在学中からある程度の卒業後の進路は決めておけるといいと思います。それから、これは現時点でのチェコの大学を卒業するとチェコでの労働許可『ÚČEL HLEDÁNÍ ZAMĚSTNÁNÍ』を申請する内容です。必要になった際はもう一度ご自身で確認されてくださいね。
また、労働ビザについてもっと知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。
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詳しくは上の記事を読んでもらえればわかりますが、チェコの大学を卒業することによって、チェコで仕事を探す(転職)際にチェコ人や他のEU市民と同じ条件で就職することができます。会社に労働許可を出すためのサポートが要らないので、自分にとっても会社にとっても双方に大きなメリットがあります。
チェコ永住を考える人にとっては卒業後の仕事探しの上でも大きなメリット
永住権とは、外国人が現在の国籍のままで、継続してチェコに住める(永住できる)というものです。チェコで永住権を取得するには、継続して5年以上住んでいること(計算方法には注意してください。)が必要です。以下に少し詳しく書きますが、大使館のページや外国人警察のページをしっかり確認することをお勧めします。
チェコ永住を考える人にとってまず必要なものは、仕事ではないでしょうか。私がそう考える理由は大きく二つあります。
まず一つ目は、チェコに住むには滞在許可が必要だからです。日本人がチェコでビザ無しでいられるのは90日間です。そのため、90日間以上チェコにいるにはビザが必要となります。そのためには滞在目的が必要です。
そして、その目的を『就労』にすることによって、1年間滞在できるビザは一年としてカウントできます。ちなみに学生ビザで1年間滞在許可が下りても、学生ビザでの滞在期間は半分の半年のカウントとなります。日本人が永住権を取るには、この独特な計算方法での5年を過ぎないと申請できません。
二つ目は、給料が滞在費用となります。学生では勉強に追われて、働く時間がなかったと思います。奨学金や両親からお金を頂いていた人も多いのではないでしょうか。ちなみに、チェコの企業よりも日系企業に就職するほうが給料が高いです。
また、学生ビザの申請時には銀行の自分の口座の残高証明書を見せます。しかし永住権の申請や他のビザの申請の時には、平均的に(過去3か月の間)いくら稼げているかの判断基準として書類を提出します。
専門性を身につけるサポートになる
これは一つ前の外国人の自分でもチェコ人に負けないものは、なんでしょう。チェコ語がいくらできるといっても、チェコの会社の雇用主はやっぱりチェコ人を採用することが多いです。
ですから、大学で学んだ専門分野を活かした仕事に就きたい場合は、上記で書いたように在学中に少しチェコ的な就活を始めておくことをお勧めします。在学中に何かアクションを起こしておくことによって、卒業後の自分が少し楽ができると思います。
また、日系企業はチェコ全土に何社かあって、プラハが一番多いです。そして、頻繁ではありませんが、日本語を求められる現地採用の募集がでてきたりします。職種はまちまちですが、例えばチェコ人と日本人の間で通訳のお仕事やコーディネーターの仕事が多いようです。
日系企業では責任者が日本人だったり、日本人視点からのチェコ人との橋渡し的な役割を求められると、ここは非常に強みになります。日本人だから言われなくてもわかることや対応できる力など、活かせる場面が多そうです。駐在員の方は時間も限られていたり、ヨーロッパ人と話したり、一緒に働く経験が今までにあまり無い人もいて、チェコ人従業員やチェコのマーケットについてわからない人がいたりします。
その他にも、チェコの企業で、日本語を求められる現地採用の募集がでてきたりもします。内容は、日本人のお客さん向けのカスタマーサポートが多い印象があります。また、英語も使えると仕事を探せる幅が広がります。そのような会社の場合は、他の外国人たちや英語の話せるチェコ人たちが一緒に働く仲間になります。
実はチェコ在住日本人のほとんどはチェコ語が話せず、ましてやチェコ語で大学(院)を卒業してる人はめちゃくちゃ少ない
チェコ語ができることによって、日系企業によっては、給料が増えます。チェコ人がどんな話をしているか、それから日本人たちがどんな話をしているか、スパイ的な架け橋になるかもしれません(笑) また、チェコ語を話さない日本人と日本語も英語も話さない(例: 工場勤めの)チェコ人の間に(彼らは普段はお互い英語で会話し、仕事をしています)入ることで、仕事を円滑に進めやすくします。
それからこれは統計とかではなく私の肌感覚になりますが、例として100人の日本人がチェコの大学を卒業していたと仮定した場合、チェコ語で大学(院)を卒業した人の割合は10人以下でしょう。
ですから、ここでのメリットとしては、初めて会った人や就職面接で自分の強みとしてアピールがしやすいです。
まとめ
今回はメリットを説明しましたが、もちろんチェコ語での大学留学は苦労もその分多いです。次の記事ではチェコ語で留学する苦労についてまとめようと思います。