チェコの大学について触れてきましたが、今度は視点を変えて私の経験を基に日本とチェコの大学を比較したいと思います。
内容の一部はチェコの私立大学と国立大学の違いについての記事と被るところもありますが、合わせて読んでいただけるとチェコの大学についてさらに理解が深められると思います。
関連記事:チェコの大学を卒業した僕から見た私立大学と国立大学の違い:メリット、デメリット
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チェコと日本の大学
ヨーロッパはある程度大学教育に関して大きい枠では統一的なものがあります。
しかしそれでも国や大学によってもちろん質や制度、大学のルールは様々です。
チェコ内の大学でも私立大学、国立大学で違うでしょうし、学部が変われば雰囲気もガラリと変わります。
そしてもちろん日本の大学によっても仕組みはバラバラでしょう。
なので私が挙げる違いも参考程度に見てください。
ちなみに私のバックグラウンドは日本の私立大学文系に2学期通い中退、チェコの私立大学文系を卒業になります。
なので文系の大学の視点からになります。
どちらかと言うと、日本の大学について少し情報不足もあるかと思いますがご了承ください。
日本の大学
まずは日本の大学から私なりの特徴を挙げていきたいと思います。
オリエンテーションがしっかりしてる
私が最初日本の大学に入学した時、最初の数週間は全てオリエンテーションに当てられており、授業が始まるまでずいぶん時間がありました。
この間に学校のシステム、メールアドレス、設備の利用方法、履修登録の仕方など丁寧に教えてもらったのを覚えています。
そうすると大学生活がどういう風になっていくのかスムーズに入り込めました。
大学生活が始まる上で大体のスケジュールを把握でき困った場合は誰にアドバイスをもらえば良いのか、空き時間の有効活用方法などすぐに理解できます。
自分もとにかく最初は非常に気楽で楽しかったのを覚えています。
最初は友達が作りやすい
オリエンテーション時に各学部学科に分かれ、さらに学科内でも幾つかのグループに分かれて少人数になり、自分のクラスメートと自己紹介などアイスブレークの時間を何度か持てたので自分から積極的にいかなくても友達を作ることができました。
これは今考えると新入生に非常に優しい良いやり方だったと思います。
そしてまとまった時間でサークルや同好会などの紹介もあり参加しやすかったです。
サークルなどに参加すれば違う学部の人や先輩とも知り合うことができ自然と友達ができていきます。
サークルなどのコミュニティがある
学生みんなが入るわけではないですが、それでも多くの人はサークル、同好会、部活など何かしらは試すのではないでしょうか。
入るものによって忙しさ、勉強、遊び、人と出会う機会など様々です。
何かしらのコミュニティに所属していれば困った時はアドバイスがもらえますし、友達も増えます。
最初以降グループが固定され出会いがなくなる
もちろん日本の大学が良いことだけなわけはありません。
最初はたくさん人と知り合うチャンスがありますが、1ヶ月も経つとグループは固定され、後から同好会に入るのは気まずくなります。
最初に友達ができないと後々は友達づくりが難しくなり居心地が悪くなっていきます。
ちなみに私は大学入学時友達を作らなければならないと強迫観念のようなものに取り憑かれ、とにかく色んなサークルを掛け持ちしたところ、全部に定期的に参加することが物理的に難しくなりました。
2ヶ月ぐらい経った時他の人たちは固定のグループができ、私一人だけどこのグループにも所属できておらず挨拶したことある人は沢山いるが、友達はいないという致命的なミスを犯してしまいました。
私は今でいうキョロ充だったのでしょう。
最初の1ヶ月は色んな人と一緒にお昼を食べていましたが、2ヶ月目からは一人ぼっちで学食を食べることになり、とても寂しく悲しい気持ちを抱え始めたのを今でも覚えています。
特に自分が一人で食べている時に同じ学科で知っている人たちがグループで学食を食べに来た時は非常に恥ずかしくなり、気づかれないように極力顔を上げないで隠れながら食べていました。
聞く講義中心で単位が取りやすかった
これは特に文系がそうでしょうが、講義は聞くのが中心であまり課題は多くなく、試験一発勝負の科目が多かったです。
なかには講義に出席さえしていれば単位がもらえたり試験もあまり難しくなく、ある程度勉強していれば試験に合格できたりと何とかなることが多いです。
学部学科によってはプレゼンもゼミに入るまで一切ない場合もあります。
留学しづらい
日本の大学は世界中の様々な大学と交換留学の協定を結んでいますが、実際行くのは難しいです。
単位の交換が認められない、留学に行くと留年することになり卒業が伸びる、留学期間中就活ができないので就活に不利になるなどマイナス要素が満載です。
おかげで実際に留学したいと思ってもできない人がたくさんでてきます。
チェコの大学
日本の大学は最初は色々と手厚く丁寧でしたが、この点チェコの大学は日本と全然違い、あまり優しくありません。
基本的に自分から積極的に情報を集め友達を作って行く必要があります。
自分から動いていかないと次に何をすべきかすぐに分からなくなり、簡単に一人ぼっちになってしまいます。
クラスメイトは国際的で多種多様
日本では一部の大学を除いてほとんどの学生は日本人ですがチェコでは多様性に富んでいます。
英語で学ぶコースの場合はチェコ人は数人程度で半分にも満たないでしょう。
学生の国籍はバラバラですが多いところはスロバキア、ウクライナ、ロシア、ベラルーシ、カザフスタンなどです。
他にもドイツ、トルコ、ポーランド、メキシコやブラジルなどの中南米系、アメリカ人もいたりします。
逆に少ない、または全然いないのはアジア人や中東系の人たちです。
絶対にゼロとは言いませんが、いたら珍しいです。
どこの国も極端に偏ることが無いので、自然と英語が共通言語になりこの点はメリットになります。
オリエンテーションに時間をかけずクラスメイトと自己紹介をして知り合う機会が無い
私が行った大学ではオリエンテーションは必要最低限のみで、大学入学前に簡単な案内が何通かメールで送られてくるだけでした。
そしてアイスブレークタイムが無く、みんないきなり講義の参加になりました。
クラスメイトはたくさんいましたが、みんな知らない人だったので最初の1学期目はとにかく手探り状態です。
おかげで大学を卒業するまで全然話したことがないクラスメイトも随分いました。
友達を通じて知り合いの輪が広がっていく
最初はクラスメイトと知り合う機会が少ないかもしれませんが、時間が経てば少しづつクラスメイトと話して行くようになります。
一度友達になると気軽にパーティーなどに誘われるようになります。
日本の場合は自分の知らない人をパーティーなどに呼んだりしませんが、ヨーロッパでは違います。
普通に友達が更に友達を呼んでどんどんと繋がっていきます。
私もパーティーの時に日本からの交換留学生を招待して一緒にパーティーに参加したりしました。
日本では友達のグループは固定されがちですが、ヨーロッパではいつでも新しい人と知り合う機会があります。
サークルなどが少なく言語の問題もあったりする
日本の大学ではサークルなどの紹介する時間がオリエンテーション内にあり、活動も活発です。
しかしチェコ、と言うかヨーロッパの大学はそうでは無く一部のクラブ活動があるのみです。
クラブも向こうから勧誘してくれたりとか歓迎会があったりとかは無く、入りたければ自分から活動場所に行くなり連絡を取って見学などしていく必要があります。
活動も英語の場合もあればチェコ語のみの場合もあります。
チェコ語でのみ勉強しているチェコ人などは英語があまり得意ではない人も多く、コミュニケーションが取れないなんてパターンもいくらでもあります。
違う学年の人と知り合う機会は少ないが年齢層は幅広い
サークルとかが無いと先輩、後輩と知り合う機会は全然ありません。
そうすると日本の大学では先輩からアドバイスが貰えるようなケースでもチェコの大学では自分で情報を集めて何とかしなくてはなりません。
英語で勉強するコースはクラスメイトも国際的になり、自分より年齢がずっと上だったり自分より下だったりと様々です。
チェコにも英語圏にも先輩、後輩の概念は無いので日本みたいな先輩後輩の関係は生まれません。
必修がほとんどで選択科目が少ない
これもヨーロッパで同じ傾向があります。
ヨーロッパの大学は基本ほとんどが必修になりその分野の専門性を高めていきます。
選択科目は少ないので、必然とほとんど同じクラスメイトと一緒に講義を受けることになります。
講義自体は余りなく、自習がメイン
講義だけで言えばチェコの大学は忙しくありません。
多くの学生は金曜に講義が無いので大学に来るのは週に3日から4日です。
しかし科目ごとに毎週読む課題や問題が事前に配られ、その回答を用意しておかねばなりません。
課題の量は科目や教授によって大きく変わり、毎週20ページほどの論文を読まされることもあれば、毎週3〜4つの論文(合計100ページを越える)を読まされることもあります。
最初は慣れない英語での論文を読むのに手間取り、全ての科目を全てこなすとなると大変な量になります。
私も実際講義の準備のために大体毎日朝の3時や4時までずっと課題をやり、自分のノートに論文のポイントをまとめたりと苦労しました。
グループワークやプレゼンなど課題は様々
これは行く大学の規模で変わってきますが、基本プレゼンは積極的に取り入れられてます。
1クラスが50人ぐらいだったりするとその科目にはグループでエッセイやプレゼンなど課題が与えられます。
友達とグループワークを一緒にやれる場合はスムーズにできるでしょうが、全く知らない人と一緒にやる場合は問題が起きやすいです。
プレゼンの場合は一緒に読み合わせなどは当日講義直前に少しやる程度のことが多く、全体の内容がチグハグになったりプレゼンの質が大きく出たりとトラブルも起きやすいです。
私の場合はクラスメイトでグループを作り、グループワークがある時はできるだけ同じメンバーでやるようにしました。
チェコの大学では試験は3回受けられる
チェコの大学では試験期間が大体四週間ぐらい用意されます。
1科目に4日(例えば毎週水曜日の朝10時から)ほど設定され、自分でいつ試験を受けるか決められ、そして試験を落としても合計で3回まで試験を受けられます。
ちなみに教授によっては試験問題を毎回あまり変えない人もいたりします。
もちろん試験に早く合格すればその分冬休み、夏休みが長くなるので多くの学生は早い週からどんどん試験を受けていきます。
交換留学しやすく、単位が認められやすい
日本では交換留学に行くには難しいですが、チェコを含むヨーロッパでは交換留学が非常に盛んです。
EUでルールを定めているだけあって単位交換も非常にスムーズで大体1学期分丸々単位交換できます。
ヨーロッパの交換留学はエラスムスプログラムと呼ばれており、学士レベルで2学期間、修士でも2学期間までEUより補助金が出ます。
この補助金は恐らく自分がどこの国から行くか、そしてどこの国に行くかで貰える分が変わります。
私の時は一番低くて1ヶ月300ユーロ、高い国で1ヶ月500ユーロです。
私はオランダに行きましたが、もしルーマニアやブルガリアに行けば補助金だけで1ヶ月の生活費を全て賄えたりできたりします。
卒業試験がある
日本ではゼミと卒論がありますが、チェコの大学にゼミはありません。
まず卒論(要件は大学、学部ごとで変わる)があり、それを提出すると今度は口頭の卒業試験(State Exam)とこちらも口頭の卒論のディフェンスが同じ日にあります。
私の大学では審査官は各学部の教授が数人と試験を受ける学生一人だけでした。
二つ合わせて大体1時間かからないぐらいです。
卒業試験は自分が学んできたことの総まとめなので一つ一つの問題は難しくありませんが、出題範囲が非常に広くなり全てをカバーするのに苦労します。
卒論のディフェンスは、最初に自分の卒論の概要と結論を説明します。
その後教授陣から卒論についていくつか質問され答えなければいけません。
私は卒論のディフェンスは問題ありませんでしたが、State Examの方が自信なく準備期間の8割はState Examに費やしました
これは即日で結果をもらえ、合格すれば晴れて卒業が決まります。
まとめ
日本とチェコの大学では生活が大きく変わっていきます。
チェコでは誰かしらクラスメイトがパーティーを毎週のようにやっていますが、勉強時間も必要なのでバランスが必要になります。
日本では講義にサークルにバイトに飲み会で忙しいでしょうが、チェコでは勉強のために時間が大きく取られます。
しかしチェコでは週末に気軽にドイツやポーランド、オーストリアに遊びに行けたり、夏休みにスペインやイタリア、フランスなど交換留学生やクラスメイトの実家に遊びに行ったりとたくさんの楽しみもあります。
チェコにいると日本にいたら出会えないような他業種の方、色んな才能を持ってチェコに住んでいる人に出会えたりと毎日新鮮な時間を過ごせます。
少なくとも、日本で味わえない経験がチェコで経験できることは確かです。
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