プラハの国立大学にチェコ語で正規留学!国立大学の学期の流れや勉強の難易度について

チェコ語で大学に通うってどんな感じ?チェコ留学で体験できることはなんだろう?

私は某チェコ大学正規留学をしている美術系の学生です。チェコ語で勉強したり、作品の細かいことを伝えるのに日々苦労しています。そんな大学生活を必死にしていて気づいたら大学生活も今年で3年目、なんとか雲雨もあったけどなんとか卒業できそうです。

そこで今回は正規留学生として、私の視点から見たチェコの国立大学の流れや勉強の難しさについて体験談を元に紹介していきます。自分の経験を元にしたお話しなので、他の国立大学も同じかどうかは分かりません。その点はご了承ください。

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体験から語るチェコ国立大学の1学期の流れ

1学期の週数

最初に1学期の週数ですが、これは1学期大体13週前後です。1年間は前期と後期の2学期に分かれています。入学当初の1学期目は授業の進め方やクラスメイトの雰囲気を掴むのに結構時間がかかり、最初は大学生活に慣れるのに苦戦しました。授業を教えてくれる教授陣ですが、オープンな性格でフレンドリーなタイプから、生真面目でオタク気質、ザ・教授タイプまで幅広いです。

チェコ語で勉強する難しさもあってか、最初のころはどこに行ってもかなり緊張しました。特に、私がチェコで大学生活を始めるにあたって苦労した点の一つに、教授の顔と名前が一致するまでにかなり時間がかかったことです。クラスメイトですが、チェコ語のコースだけあって私以外はみんなチェコ人とスロバキア人でした。

チェコ人やスロバキア人クラスメイトは同じ高校出身者がいる人たちはそのグループで固まっていました。それ以外の人たちは、入学式から徐々に自分たちのグループを作って分かれていった気がします。日本みたいに入学式前からすでにグループが出来ている現象はチェコでは少ないほうかもしれません。友達作りはいつでもどこでも大事ですが、コミュニケーション能力が高い人はすぐに環境に慣れて、早く友達もできるかもしれませんね!

科目数

科目数は毎学期おおよそ8科目くらいありました。
そもそもの科目についてですが、大きく分けて必修科目、選択必修科目、そして選択科目があります。まずはこの三つについて解説します。

必修科目

まずは必修科目ですが、これは学年ごとに取らなければいけないもので最初から割り振られています。大体毎学期の半分くらいはこの必須科目になっていました。私の例で言うと、デッサンは必須科目として設定されていました。

選択必修科目

選択必修科目は英語やドイツ語、ロシア語などの言語のクラスが選択必修科目として決まっていました。これは言語のクラスの中から自分が好きな言語を選んで受けることになります。1学年時の最初の2セメスターがこれにあたります。

必修科目は最初から設定されていたので何も選べませんが、選択必修科目は何曜日の何コマ目と日時は決まっているものの、上で書いたように好きな言語を選べました。

選択科目

最後に選択科目ですが、これは自分の学科に限らず、自分の興味のある科目を取ることができる、所謂日本の教養科目にあたります。例えば私がペインティングのプログラムに入っていた場合でも、舞台演技の科目を取ったりすることができる形です。これは日時も場所もバラバラで一番自由に決められる部分です。選択科目によっては建物、キャンパスが違うこともあり、そうすると講義の合間の休憩時間で移動が間に合わない場合もあるので注意が必要です。

それこそ選択科目は取る、取らない、途中で単位を落とすこともできるので、学生が勉強に忙しくなって科目の取捨選択をする場合、多くは選択科目を最初に落としていきます。選択科目を落としても次回再履修を問題無くできるので、必須科目より重要度は下がります。

ちなみに聞いた話だと、各学年で最低限取らなければいけない単位数があったり、必修科目や選択必修科目を連続で落としてしまうと次の学年に上がれなくなって留年扱いになる可能性があると言われました。幸い私はこれに引っかかることがなかったので、必修を何科目落としてはいけないなど、具体的な進級条件は知らずじまいでした。

履修登録

履修も日本と同じで自分自身で組むことになります。私の大学では選択必修科目として英語、ロシア語、ドイツ語などがありました。チェコ語でイッパイイッパイだった私は、新しい言語を学ぶ気力がなかったので英語を選択しました。しかし、さすがはヨーロッパの心臓部に位置しているチェコ、大学入学時点で三か国語、四か国語は問題なく操れるクラスメイトに遭遇して、開いた口が塞がらなかったです。

科目の単位数ですが、これは受ける科目によってもらえる単位数が異なります。なので卒業するまでに必要な単位数を自分でちゃんと計算する必要がありました。ちなみに、チェコの大学では学士レベルでの卒業には3年間合計で180単位の取得が必要です。1年で60単位、つまり毎学期30単位を取るのが目安になります。

おすすめの科目の決め方ですが、個人的には1年生のうちから、選択科目をどんどん効率よく取得していくほうがいいと思います。単位数が多い教科は、その分テストが難しかったり、課題の量が尋常じゃなく多かったです。そして教授も、もちろん厳しい…。

授業の曜日

授業は週5日でした。月曜日から毎日授業があって、金曜日は午前中だけでした。なぜなら、寮暮らしの生徒が金曜日から週末にかけて実家に帰るからです。もちろん教授も早く帰りたいので、質問は受け付けずさっさと帰ることが多かったです。おかげでチェコ人は日本人よりも家族との時間を大切にしているように見えました。

例えば、東京で毎週金曜日には、必ず荷物をまとめ、電車やバスで実家に帰る日本人を見たことがありますか?チェコ人は、金曜日だから、飲み会しよう!とか、はっちゃけよう!とはなりません。みんな大きなリュックを背負って、スーツケースを転がして、いそいそと帰っていきます。ちょっと面白い光景です。ですが日本人は帰りたくてもなかなか帰るのが難しいので、そういったチェコ人を少しうらやましくなったりもします。

勉強の合間によく通る散歩道

チェコでは、9月、10月から1学期が始まりますので、秋から冬にかけて最初の学期を迎えます。冬になるにつれて、チェコの寒さは厳しくなります。朝早い授業の時間の始まりは、まだ外は暗くて、月や星が出ている時もあるし結構億劫です。

印象的なことでしたが、この期間に教授たちは授業に来なくなってきた生徒の名前をノートに書き出していました…。なぜなら教授は学生が少ない時の講義内容をテスト問題に採用していたようです。学生が試験で良い点が取れなかったり、不合格になったりした時に「あなたが講義に出てないから答えられないんでしょ?」と少し意地悪気味に話す教授もいました。

課題の種類

課題の種類は個人でこなす課題と、グループで話し合って一つの課題の答えを出すグループワークがありました。グループワークですが、私がチェコ語ネイティブじゃなくてネイティブ同士の会話に上手く入れないのを良いことに、班員から「じゃあ、あなたは問1と問2をやってね。」と言われて、難しいところを押し付けてくるケースもありました。なので、一緒のグループになった生徒によってはかなり翻弄されることもあります。

一方個人でこなす課題ですが、これはもう単純に自分次第です。私は日本人にとって外国語であるチェコ語で勉強するハンデもあったので、教授のところへ通ったり授業の間に教授に質問をして仲良くなったりして課題をこなしていました。最初が全然ダメでも、教授にアドバイスを貰って根気強くやっていくと自ずと結果もついてきます。

大変さ(忙しさ、難易度、成績のつけ方)

チェコでの美術系の大学生活ですが、一言で言うと、1年生はかなり忙しい!そしてかなり難しい!

1年時はチェコの大学での勉強の仕方などがわからなかったり、クラスメイトのこともお互いわからなかったりなどもあって、一番忙しくはないものの、精神的には一番大変でした。

一方で2年生の時は勉強の仕方は掴んできたものの、純粋に勉強で一番忙しかったです。現在勉強内容は難しいですが、精神的に少し余裕が出てきています。
さて参考までに私の学年の生徒数の推移ですが、この学科に40人入学して、1年の終了時に32人、2年時には27人、現在3年時には23人です。

何度見ても綺麗なプラハの景色

成績の付け方ですが、特に授業態度や授業の出席率は日本と違ってそんなに関係がないです。本試験 (zkouška)の前に、本試験に進めるかどうかを判断するテスト、もしくは課題提出 (zápočet)が成績にかなり関わっていました。本試験でうまく答えられなかったときは、課題がよくできていたからということで、再試験を逃れた時もありました。

ちなみに交換留学生は、正規の生徒たちよりも科目数が少なかったりするので、思い出を作る時間や小旅行に行けると思います。

試験

本試験 (zkouška)の前に、本試験に進めるかどうか判断するテスト、もしくは課題提出 (zápočet)があります。それができた場合に本試験を受けることができます。試験期間ですが、これは大体2か月程度で全教科対象で受けます。ちなみに私の場合大体は口頭試験でした。

とはいえ、もちろん筆記試験もありました。その中で、特に面白いやり方だなと思ったものがありました。恥ずかしい話、チェコ人(というか旧共産圏?)は結構カンニングしようとします。そこで教授は問題用紙を5つバリエーションを一生懸命作った様で、隣同士に絶対に同じ問題用紙が渡らないようにしていました。せっかくカンニングを企んでいたクラスメイトみんなで固まって座っていたのに、彼らには何にもいいことがなかった試験でした(笑)

ちなみに飲み物の持ち込みは可能でした。スーツや正装で整えてくる生徒も多かったです。

また本試験は3回まで受けるチャンスがあり、一度で受からなくても大丈夫です。
この本試験を終えた人から夏休みなど長い休みが始まります。外国人のクラスメイト達は一日でも長くそして早く帰国できるように、早めに試験を受けている印象でした。

海外で学ぶのは大変なことではありますが、日本の大学ではできないような経験もできます。この体験談が誰かの後押しになればいいなと思います。