【デンマーク大学ランキング表】出願の参考になるランキングと統計から見るオススメの学部

ヨーロッパの大学留学を検討する時、少しでもいい大学に行きたいと考えるのは誰しもが思うことですね。

 

イギリスならオックスフォード大学やケンブリッジ大学など日本人にも馴染みのある大学がありますが、デンマークとなると大学について知ってる人はなかなかいないでしょう。

 

日本の大学は偏差値でどこの大学のどの学部がいいかなど詳しいですが、デンマークやヨーロッパには偏差値なんてそもそも使いません。

 

しかしデンマークにももちろんどこの大学は名門だとかレベルが高いとかあります。

 

そこでQS世界大学ランキングを使ってデンマークの大学ランキングを見ていきます。

 

また、合わせてデンマークで強みとなる分野を見ていき、留学の参考になる学部も確認していきます。

 

デンマークの大学はどれぐらい評価が高いか?なんの分野が強いのか?

 

デンマークでは日本の様な大学入試などは無く、基本は高校の成績や志望動機を問うモチベーショナルレターに面接などで学生の入学を決めます。

 

なので偏差値は無いのではっきりとこの大学はあっちの大学より上とか下とかは言いづらいです。

 

そこで今回は二つの目安としてQS世界大学ランキングとデンマーク政府の分野別R&D(研究開発)の予算を見ていきます。

 

大学ランキングは各国大学を学者のピアレビューや論文引用数など多角的に評価しています。

 

また政府のR&D予算を見ることにより、その国ではどの分野の研究に特に力を入れているかを見れるので、研究分野の将来性や強みが測れます。

 

デンマークの大学事情

デンマーク全体では8つの大学、9つのアートや建築学を教える教育機関、そして8つの大学カレッジがあります。

 

大学は日本で言う総合大学にあたり、芸術系の大学も人工約580万と考えれば中々多いあたり盛んな印象を受け持ます。

 

大学カレッジはデンマーク語でprofessionshøjskoler、英語でもprofessional collegeと日本語で言う専門学校になります。

 

専門学校はその名の通り主に特定分野の実技的なポイントを学ぶのにフォーカスし、プログラムもビジネス系や工業系が多いです。

 

また、プログラムも2年制で得られる学位もacademy profession degreeと学部卒の学位とは変わるので、Bachelor degreeが目的の場合は、このプログラムとは別に一年半別途プログラムを組み合わせなければならないので気をつけてください。

 

前置きが少し長くなりましたが、学部卒の資格を目指す人は基本デンマークの総合大学を目指すのがわかりやすいです。

 

なので今回は総合大学を対象にお話ししていきます。

 

2020年QS世界大学ランキング

 

  1. The University of Copenhagen:      76位
  2. The Technical University of Denmark :    103位
  3. Aarhus University:             147位
  4. Aalborg University:             305位
  5. The University of Southern Denmark (SDU):353位

 

総合大学が8つしかない中で、5つも総合ランキングに入っているのを見るとデンマークの平均的な教育水準、アカデミックレベルが全体的な高さを物語っています。

 

一番高いThe University of Copenhagenは日本の大学のランキングと比較すると、大阪大学が72位、そして東北大学が79位がランキングとして近いので旧帝大に近い評価です。

 

ちなみに他上位の日本の大学は東京大学24位、京都大学が38位、東京工業大学が56位となっています。

 

学部別世界ランキング

上記は大学ランキング自体でしたが、学部別のランキングというとまた違うものが見えてきます。

細かく取り上げるとキリがないので、分野別で世界ランキングトップ50位以内を上げていきます。

 

The University of Copenhagen(コペンハーゲン大学)

スポーツ学 7位

獣医学 10位

開発学 11位

解剖学&生理学 17位

農学&林学 18位

生命科学&医学 18位

人類学 22位

生物学 24位

薬理学 24位

考古学 28位

歯学 29位

医学 38位

政治学 38位

社会学 38位

哲学 39位

コミュニケーション&メディア学 40位

古典&古代史学 42位

環境学 42位

宗教学&神学 44位

地球物理学 45位

地質学 46位

 

Aarhus University(オーフス大学)

考古学 27位

歯学 33位

人類学 34位

コミュニケーション&メディア学 36位

社会政策&行政学 36位

農学&林学 37位

宗教学&神学 38位

 

The Technical University of Denmark(デンマーク工科大学)

石油工学 3位

環境学 45位

 

Aalborg University(オールボー大学)

石油工学 22位

電気工学 50位

 

分野別に見ていくと、どこの大学が何の分野で強いか見えてきます。

 

コペンハーゲン大学とオーフス大学は名前の通りデンマークの2大都市にあり、トップ2の大学になります。

 

デンマークトップの大学に相応しく、科目ごとトップ50に入っている分野も他の大学より圧倒的に多くなっています。

 

しかしデンマーク工科大学は世界大学ランキング103位とコペンハーゲン大学やオーフス大学より低いですが、石油工学に関しては他の大学より高い評価を受けていることが見えます。

 

後述しますが、デンマークはグリーンエネルギー分野への研究開発に力を入れているので、それに合わせて石油工学もクリーンエネルギーへの開発方面に力が入っていると想像します。

 

デンマークのR&D、R&I

世界大学ランキングでは各大学のランキングと高評価の学部を見てきました。

 

次にR&D(研究開発)とR&I(研究と革新)をざっくりと見ていきます。

 

デンマークのR&DとR&Iを見ることにより、デンマークがどれぐらい研究開発や革新そのものに力を入れているか、どの分野を重視しているのか、なにに将来性があるのかが見えてきます。

 

先ず下のグラフを見てください。

このグラフはOECDが出している国のGDPからR&Dにどれほど予算を組んでいるかのグラフです。

 

グラフには比較用に日本、デンマーク、そしてお隣のスウェーデン、折角なのでOECD平均とEUの平均をハイライトしています。

 

これを見ると、デンマーク、スウェーデン、日本はEU平均やOECD諸国の平均を上回った割合をR&Dに投資していることがわかり、また比較的似通った割合ということが見て取れます。

 

次に少し古い情報ですが、2003年のthe Danish National Research Foundationが公表したデンマークの大学の研究開発関連の統計を引用します。

引用:the Danish National Research Foundation: Research and Development in Denmark, Working Paper, 2005

 

上のグラフはデンマークで大きい大学トップ10校の研究開発関連の出費を表しています。

 

このグラフを見るとコペンハーゲン大学、オーフス大学、南デンマーク大学で研究開発費用が多く出ているのが確認できます。

引用:the Danish National Research Foundation: Research and Development in Denmark, Working Paper, 2005

 

こちらは分野別の研究開発予算の割り当てを表しています。

 

これを見るとわかりますが、農業分野は研究開発予算全体の8%しかシェアがない反面、自然科学分野では他を圧倒し32%もの予算が割り当てられています。

 

また、JETROの2006年のレポートではデンマークのバイオテクノロジー産業の強さを紹介しており、そのレポートでのデンマークの強みを解説しています。

 

バイオ産業の得意分野はワクチン(vaccines)と工業酵素(industrial enzymes)で、とり

わけ糖尿病(diabetes)、がん(cancer)、炎症(inflammation)と神経科学(neuroscience)

である。さまざまな企業がナノ技術(nanotechnology)、マイクロ RNA(miRNA)、マイ

クロ機器(micro device)に取り組んでいる。しっかりした研究拠点、研究者の数、先発

者としての強み(歴史など)が観察できる。

引用:JETRO, デンマークのバイオテクノロジー産業 ‐メディコンバレーの概観・評価‐

 

また、このレポートの中でデンマークのバイオテクノロジー産業については

 

公的機関によるバイオ技術分野での研究開発費は〜中略〜2002 年のデンマークの全公的機関による研究開発費の 10 パーセントに相当する。国家社会科学研究会議(The Economic and Social Research Council)では、国別の知識ベース指標において、デンマークはバイオ技術の知識ベースがヨーロッパで最も高水準の国の一つであるとしている。

引用:JETRO, デンマークのバイオテクノロジー産業 ‐メディコンバレーの概観・評価‐

 

と高い評価を伝えており、小国ながらEUのみならず、デンマークの強さをはっきりと表しています。

 

上のデータはすべて10年以上前で古いので、最後に2019年の情報を引用します。

 

Open accessの記事では2019年のデンマークのR&Dの予算を伝えています。

引用:The Open Access Government, DKK 1.4 billion provided for research and development in Denmark

上の表を見ると、技術革新では環境、健康、そして特に新技術の開発に予算を組んでおり、研究開発でも環境技術分野、エネルギー分野、そしてAIなどのデジタル技術分野が多く予算配分されて重視している点が見えてきます。

 

まとめ

デンマークの研究開発や技術革新のための予算のお話を気付いたら長々と書いてしまいました。

まとめますと、大学ではコペンハーゲン大学やオーフス大学がデンマーク内でトップ大学として存在しています。

研究分野で見ると、エネルギー分野、環境分野、生命工学や生命科学、自然科学、そしてAIなどデジタル工学に強みを持っていたり、重視しているのが見えます。

逆に農業分野ではプライオリティが低く、他の分野より期待値は低くなっています。