こんにちは輪島です。
ノルウェー関連の記事を色々書いていますが、今回はノルウェーの文化の一端について話そうかと思います。
ずばりノルウェーで就職が大変な理由についてです。
僕はノルウェーで仕事を見つけることはヨーロッパの中でも比較的難しいと思っています。
日本にいるとノルウェーがなんで仕事を見つけるのが難しい国かって言うのはピンとこないですよね。
これは僕が考える個人的な理由ですが、大きな理由の一つに(非難するつもりはないですが)ノルウェーの文化があるんじゃ無いかと感じています。
ノルウェーに移住した僕が見るノルウェーの文化と就職の話
先に言っておくと、僕はノルウェーに留学と就職ができて良かったです。
ノルウェーでは日本と違って社畜的な生活はほぼほぼありえないし、新しい世界を見ることもできました。
そんなノルウェーでもやはり難しいところはあり、今回はその部分をお伝えしようと思います。
ノルウェーに住んでいる日本人が少ない点もあるせいか、インターネットにもまだ情報は多く無いようなのでこの部分について触れていきます。
ノルウェーでの難しい移民背景
2016年のStatistics Norwayの統計によるとノルウェー人口の約17%が移民関連だと紹介されています。
前の記事でも書きましたが、2019年ノルウェーの景気は今のところ好調で失業率は大体4%(日本とヨーロッパでは失業率の計算方法が違うそうです)と低くなっています。
しかしそれが移民だけのデータを見ると3倍の12%と言われています。
リベラルな政治もあって日本より外国人の受け入れに進んでいる国でここまで差が出ると不思議な印象があります。
日本では人口の大体95%が日本にルーツを持つ日本人と言われており、非常に均質な人口構造に比べノルウェーの方が多様性を大きく持っています。
ノルウェーの移民の歴史も北海油田が見つかった60年代から、難民も50年代からノルウェーに来ているので大体2世代は移民と関わりを持って育っているはずです。
そんな移民との歴史とリベラルな政治を持つノルウェー、しかし見えにくいところで問題はあります。
少しこの部分にもう少し触れたいと思います。
CVに書かれる名前
世界経済フォーラムというスイスに本部を置く有名な非営利組織があります。
毎年スイスのダボスで会議を行なっており、この会議では政治家や多国籍企業の社長などが集まるので知っている方もいるかと思います。
この世界経済フォーラムがとても興味深いレポートを出していまして、それを1分ほどにした動画あるのでまずはそれを見てください。
動画では名前と就活の書類選考の関係を指摘しています。
この動画ではカナダでは同じ様な履歴書でもアジア系の名前を持つ人はヨーロッパ系の名前を持つ候補者に比べて約40%面接に呼ばれる可能性が低いと報告されているんです。
実はこれはカナダや北米に限ったことではなく、ヨーロッパとそしてノルウェーでも起きている問題なんです。
ヨーロッパでは差別を禁止するため履歴書には顔写真、性別、誕生日などは必須でなく、任意になっています。
なのでこの辺の情報は載せなくてもよくて、表向き差別への取り組みは非常に進んでいます。
しかし苗字である程度の予測ができてしまうんですよ。
例えば苗字がシュミットだとドイツ系ですし、アンダーソンやスヴェンソンだと北欧系の苗字だとすぐにわかります。
その反面、名前にアブドゥルやマホメットなどがあると移民系の名前だとわかります。
上の動画の様に、僕の同僚のノルウェー人はよく「ノルウェーでは2つCVがまったく一緒でも、名前が北欧系と移民系と分かれていたら北欧系に面接いかせる。」と言っていました。
なぜこういったことが起こるのかというのは、なんとなく「ありそうなこと」と感じても、これが理由だと説明するのは難しいと思います。
それでも敢えて理由を上げてみたいと思います。
信頼の不足
一つ目は移民系と北欧系の人たちの交流があまり多くない可能性が指摘できるんじゃないでしょうか。
移民が2世代ぐらいノルウェーに住んでいても、北欧系と移民系の人たちが交流するかどうかは少し別の話になってくるところがあります。
移民の国であるアメリカでさえ黒人と白人の間での友達の数はかなり少ないという報告がされていました。
もう少し身近な例だと、日本にはインド人やクルド人、日系ペルー人や日系ブラジル人は比較的多く住んでいますが、彼らと友達の人はあまり多くないんじゃないかと思います。
話が逸れるので深入りはしませんが、移民の人たちに悪感情があるわけでは決してないんですが、北欧系の人がいるのであればそちらの方が楽だろうという無意識的なバイアスが働いてる可能性はあります。
ノルウェー人のシャイな性格
もう一つの要因がノルウェー人のシャイな性格にあると思います。
例えばイギリスではあなたが友達と話していたりすると近くにいる人があなたの会話を聞いて笑ったり、急に会話に入ってくることなんかもあったりするんですよ。
これは日本人の感覚からすると少し違和感を感じる点だと思います。
その反面ノルウェーでは外にいるときに意味も無く他人に声をかけたりすることはありません。
この辺は日本と似ていると思います。
パーソナルスペース
もう一つ例を出すと、ノルウェーでは個人のパーソナルスペースが大きいと言われます。
パーソナルスペースは人との距離感だと思ってもらえれば結構です。
僕はノルウェー人のパーソナルスペースは日本人より広いんじゃないかなと感じてます。
家が大きかったり、人口密度が低かったりとか身近なところの理由もあると思います。
この写真はバス停で待ってるノルウェー人の写真ですが、みんなめっちゃ距離取ってます。
このシャイな性格なおかげで、外国人になる日本人からするとノルウェー人と友達になるのが簡単ではないんです。
僕のノルウェー人の同僚はノルウェーについて興味深いことを言っていました。
「ノルウェー社会は田舎の人間の様なメンタリティーを持っているんじゃないか。新しい従業員を雇う時とか全く知らない優秀な人よりも、知り合いから紹介される信用できそうな人を好んだりするけど、これはノルウェーは競争の激しいニューヨークみたいな感じじゃなくて、時間の流れがゆっくりしてる田舎の様な雰囲気。そもそもノルウェーに大都市は無いしね。知り合いの紹介を重視するのはノルウェー人に取ってまだコンフォートゾーン内で、知らない人が会社に応募してきて、その人を面接するのはこのコンフォートゾーンから半歩出たチャレンジなの。」
まとめ
ノルウェーに留学をして、働いてる僕は一度も日本人だからという理由で差別されたことはありません。
お店の人はお客さんが何人であろうと最初はノルウェー語を話します。
これは「ノルウェーにいる人はみんなノルウェー語を話せ!」ということでなく「どの人種だろうとノルウェーに移民した人の可能性があって、彼らも同じ国民として受け入れるからノルウェー語を話す。」というポジティブな面だと感じています。
それでも一歩進んで見ると外国人や移民にはまだ就職が難しい面もあるのが現状だと思います。
なのでノルウェーで仕事を見つける方法として、積極的に友達を作ってネットワークを広げることを僕はおすすめしたいです。