ドイツの学生、インターン生などは、家賃を浮かせるために、WGと呼ばれるフラットシェアに住むことが多々あります。
一人暮らしが多い日本人にとっては決して主流とは言えないものの、2022年に出演者の自殺問題でストップされたNetflixのテラスハウス効果もあり、どんどん知名度を増した形態。
そして、テラスハウスや日本の一人暮らしとは大きく勝手が異なるこのWGというシステム、馴染みがないとトラブルのもととなることがあるので、きちんと仕組みを理解しておくことが必要です。
WGとはなにか?
WGとは、ドイツ語のWohngemeinschaftの略称です。 日本で一般に知られるフラットシェアリングのようなもので、一つ屋根の下で、複数の同居人とともに生活する住居形態を指します。
キッチン、バスルーム、洗濯機などを共有で使用するようなケースが多く、水道代、電気代なども分担して支払います。
リビングやキッチンで同居人と顔を合わせることが多いため、家にいるときは誰にも邪魔されずに静かに過ごしたい、というような人にはあまり向きません。
特に、共有部分の掃除、ごみ捨てや家賃の管理など、一緒に生活するうえで話し合わなくてはならない重要なテーマが多数存在しますので、ある程度社交的である人のほうがWGに住むには向いていると思います。
WGに住むにはどんなメリットがある?
ドイツには、アパート、ホームステイ、学生寮など、様々な住居形態があり、必ずしもWGを選択する必要はありませんが、多くの学生がこの生活形態を好む傾向にあります。それには、以下のようなメリットが存在するからです。
1.家賃・生活費が安い
まずは、家賃に目を向けてみると、一つの住居をみんなで割って住んでいるため、個室もののアパートなどと比べると、非常に割安です。
また、家賃だけでなく、洗剤などの消費財もみんなで分担する形となり、パイプの汚れを落とすような滅多に使わないクリーニング剤なども、みんなで使いあうのでリーズナブルです。
一般的な一人暮らしの家賃(40㎡):700€
WGの一部屋(25㎡):300€
あくまで一例ですが、円安である2022年7月のレートで見ると5~6万円の開きがあります。
2.ドイツ語(英語)が上達する
日常をドイツ人と過ごすので、当然会話はドイツ語となり、自然とドイツ語(英語)が上達します。一緒に暮らし始めたばかりのときは、勝手がわからず困惑するかもしれませんが、やがてドイツ語が上達し、慣れてくると非常に心地よい空間になっていきます。
ちなみに、ドイツ以外の国籍の人が住むWGもたくさんあり、フランス、カナダ、トルコいった人と同居する可能性も十分あるので、国際経験を積むには打ってつけの環境です。
3.洗濯機や冷蔵庫がついている
アパートなどを新しく借りる場合、生活に必要なものを全て一からそろえる必要がありますが、WGであれば、あらかじめ必要なものは大体なんでもそろっています。
また、ドイツ人の中にはこういった家電の修理が得意なものも多く、壊れても部品代さえあれば修理できてしまいます。
※仮に新品で家電を購入すると、以下のようにとんでもない初期投資がかかります。
- 洗濯機:200€以上
- 冷蔵庫:200€以上
- ベッド:100€以上
- マットレス&布団:200€以上
4.友達が増える
お互いに一つ屋根の下で暮らすので、自然と接する機会も増え、仲のいいようなフラットですと、みんなでバーベキューをしたり、リビングで一緒にビールを飲んだりします。
ドイツの大都市にいると、ついつい日本人同士で固まってしまう傾向にありますが、このように現地人の友達をつくるいいきっかけにもなってきます。
5.テレビ代を負担する必要がなくなる
ドイツには、Rundfunkbeitragという日本でいうNHKのようなものが存在し、毎月見もしないのに放送代と称して3000円くらい徴収していく嫌な機関が存在します。
これは、WGの場合、他の同居人と共同で負担することが可能ですので、例えば5人で住んでいれば、単純に支払う料金は5で割ることになり、ずっとお得です。
注意点
さて、そんないいところだけ聞くと快適なように聞こえますが、WGに住む際には気を付けなくてはいけないこともいくつかあります。WGに住むときは、以下の事柄に注意してください。
1.契約書に要注意
特に、退去期日には注意しましょう。退去の3ヵ月前には伝えておかなくてはいけない、一度契約したら1年は住まなくてはいけない、など、様々な縛りがあります。
また、Kaution(敷金)も、基本的には退去時にかえってくる性質のものですが、念のため入居時にかえってくるものかどうかを確認しましょう。
2.共同部分はきれいに
ドイツ人は無類のきれい好きです。例えば、日本では男性は立って用を足すのが当たり前ですが、ドイツ人の女性と一緒に生活すると、高確率で「座って用を足せ」を言われます。
また、シャワーを浴びたら排水溝の髪の毛はきちんと掃除する、窓を開けて換気する、なども注意しておかないと、思わぬトラブルを招きます。
3.うるさいときはうるさいと言おう
夜は勝手に静かにしてくれる日本人とは違い、割と遅くまでどんちゃん騒ぐのがドイツ人です。試験前などで静かにしてほしい場合は、はっきりと伝えないと、察するのを待っていては自体は改善しません
4.自分のものがなくなったら自分のせい
ものがなくなる、壊れる、というのは基本的に自己責任の世界です。共同部分においておいて、どうしても盗まれても困るものは、自室に入れておきましょう。
5.同居人に注意
ドイツ人といえども、中にはたちの悪い連中もいます。例えば、ドイツではマリファナに関して比較的寛容ですので、WGの中には同居人同士でマリファナを吸うようなところも存在します。
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