ドイツの生活(社会人):ドイツで就職するとどのような生活が待っているのか?

過去の記事で、語学学校大学、とそれぞれの環境における日本人のドイツにおける生活スタイルを比較してきました。3部作の最後を締めくくるのは、日本人がドイツの会社で働くと、どのような生活スタイルになるのか、という観点からの記事です。

ドイツの生活:企業勤め

私が、ドイツと日本の生活を比較し、もっとも異なると感じた点は、就職後の生活です。

日本では、交友関係、仕事の残業など、生活のスタイルが仕事中心になってしまいますが、ドイツの場合、仕事は仕事、プライベートはプライベート、と割り切られているため、個人の時間を十分に保つ機会があります。

現地の食事

語学学校でも大学でも同じ問題に直面しましたが、なかなか昼食のレパートリーが少ないのがドイツ社会の悩ましいところです。

例えば、会社近くに美味しいパスタ屋さんがあるのですが、あまりランチメニューに代わり映えが見えず、さすがに数か月通っていると飽きが来ます。

そこまでタイムカードなどで厳密に食事時間を管理する、みたいな文化ではないので、時間が空けばちょっと車を出して別のお店に行ってみたりと、色々変化をつけてみるように心がけています。

住居・住まい

ドイツで働いて給料が入るようになると、学生時代のフラットのようなところよりは、もうちょっと気の利いた住まいを選べるようになります。

それでも、フランクフルトやベルリンの中心部などは高額で知られ、一人部屋のアパートを借りるにはそれなりの覚悟が必要です。

ただ、中心部を避け、車での通勤も辞さない、というのであれば、400~600€(5万円~7万円)だせばそれ相応のアパートには暮らせます。

ただ、日本の大企業のように家賃補助が出る、というわけではなく(たまーに出るところもありますが)、基本は自腹ですので、その点、あまり福利厚生面でのサポートは会社側には期待できません。

交友関係

私の場合、交友関係は大学の学部時代の友人に依存しています。

日本のように、同期大量入社、などのシステムがあるのは一部の大手企業だけで、基本、会社の人々とのプライベートでのつながりは希薄です。

そのため、会社終わって一杯飲みに行く、とかいったイベントはほとんどなく、会社外で別枠で交友関係を構築していく努力が必要です。

後述するように、大体17時には会社を上がれる環境で、休日出勤も無いので、その後、交友関係の輪を広げる時間に費やせます。

仕事

9時~17時が基本で、人によっては1時間早く来たり、1時間遅く帰ったり、というケースもあります。

後述の通り、残業が少なく、効率的な仕事が求められます。

私の職種は、仕事柄出張が多く、そんなにオフィスにいなくていいのがうれしく、世界各国を飛び回れます。ホテルや飛行機の手配は、会社に言えばやってくれますが、自分でやってもよいので、新しい国へ行くときなどは、好きなホテルを予約しています。

アメリカのように、超実力主義というわけではありませんが、かと言って日本のように年功序列、というわけでもなく、ドイツの場合、ちょうどその中間くらいの成果評価制度、と呼ばれています。

私の場合、日本語が話せる、日本の大企業でメーカー勤務歴がある、という、他のドイツ人では容易に代替できないスキルを持っているため、そう簡単にクビにされることはない、気がします。

After work

さて、ドイツをはじめとする、西欧、北欧の会社は、残業や休日出勤がないことで良く知られていますが、本当でしょうか。

私の認識では、業界による、というのがその質問の答えです。コンサル、銀行、医者、は夜遅くまで激務を行いますが、その代わり高給取りとして有名です(例えば、大学院卒コンサルの初任給は700~900万円程度、ただしドイツ人にあるまじき怒涛の残業ラッシュ)。

逆に、残業が少ない業界は、メーカーなどになります。私の友人のドイツ人は、卒業後3年コンサルに勤め、疲れたのでメーカーに転職、17時には帰れるようになり、まるで天国だと謳っていました。

私もメーカー勤務ですが、出張が無い場合基本的に17時には帰れます、金曜日には15時には帰れます。

おまけに、上司や同僚との付き合いの飲み会などは、ほぼほぼなく、唯一、年に1~2回ほど、会社の催すクリスマスパーティだとかに参加させられる程度です。

というわけで、17時ちょいすぎには会社を出れて、夜が丸々フリーになります。私が日本で働いていたころは毎日20時くらいまで働いていたので、ざっと3時間、フリーの時間が増えました。

なので、空いた時間は、スポーツや、地元のアクティビティへの参加や、友人と遊びに行ったりと、プライベートを満喫できます。

長期休暇(Urlaub)

ドイツをはじめとする、欧州企業の目玉は、長期休暇の存在です。

日本のように形だけの有給(ただし取れない)、ではなく、ちゃんと全て消化できる、という非常に美味しい制度です。

一般的には、年に30日ほど用意されていますので、このうち15日消化すれば、土日と合わせて3週間のバケーションをエンジョイできます。これが2回繰り返せるので、一年に2回分、3週間のバケーションを味わえるわけです。

上述の、残業の少なさと合わせ、この長期休暇の存在、そして欧州中どこでも1~3時間で飛んでいけるという地理的の利便性は、ドイツの大きな魅力だと思います。