タケルです。
今回もまた、大学時代の話をお伝えしたいと思います。
前回、一緒にベルリンに遊びに行ったPeterとはあれからより仲が深まって、次はお互いの国を紹介し合いたいねって話までするようになりました。
次の連休で彼の故郷であるハンガリーに遊びに行く計画を立てたのですが、丁度その頃難民問題が発生していました。
ヨーロッパの至る所で事件や暴動が起きていたので、暫くは国内にいた方が良いだろうと仲間内で話し合い、近場で息抜きをしようということになりました。
丁度クリスマスマーケットが始まる頃、テストも一段落したので、ケルンにある友人の実家に皆で遊びに行くことになりました。
クリスマスデートで失敗した日本人の体験談
週末に私の他にPeterとPeterの彼女のPatricia、そしてその当時ちょっと気になっていたMichelの四人で待ち合わせをし、電車に乗ってケルンに向かいました。
ケルンに実家のある友人、Maxとはケルン中央駅(Dome)で待ち合わせをすることになっています。
“ドイツあるある” 電車が時刻通りに来ない
大学近くの駅から乗り合わせてRegional Express(日本でいう快速列車)に乗っていくはずでしたが、列車が時刻通りに来ません笑
これは“ドイツあるある“ですが、ドイツの列車はほとんどが時刻通りに来ることはなく、5分遅れるのが当たり前で、1時間、2時間は通常運転、6時間遅れとなるとちょっと深刻で、最悪は列車の運行事態が急に無くなったりします。
日本では考えられないですよね?
逆に思い返すと、例えば日本では山○線が1~2分遅れるだけで問題になったり、10分遅れで遅延証明書を出してもらえたりと、ドイツでは考えられないことだったなと今しみじみと思います。
こっちに来たばかりの時は衝撃過ぎて、受け入れることが出来なくてずっとイライラしっぱなしでしたが、住めば都ではないですが、段々と慣れて来ました。
(*ドイツにお越しの際は是非余裕を持った予定を組んでみて下さい。)
ちなみにフランス出身のMichelに聞いたら、電車は普通遅れるもので、イタリア出身のPatriciaに至っては、電車が来るだけ有難いとのことでした笑
捉え方は人それぞれですね。
駅近徒歩5秒の世界遺産
1時間程待った後、別の列車が先に来たのでそっちを使い、ケルンに向かいました。
乗り換えなく行けたのでスムーズに移動が出来ました。
無事中央駅で降り、Maxに連絡すると、駅を出た所にいると言うので、出口を探して駅構内を彷徨っていたら視線の先に大きい古い建物が見えて来ました。
「あれが大聖堂だよ」とMichelが伝えてくれました。
恐らく世界中で駅から一番近い所に世界遺産がある街ではないでしょうか。
写真に収めようとしても収められないくらい大きくて、威厳のある大聖堂が駅を出たすぐ左側に聳え立っていました。
「ちょっと中を見てからクリスマスマーケットに行こう」とMaxに言われて入った大聖堂の中はとても広くて、ステンドグラスの窓から射す光が神秘的な空気を纏い、ゴシック建築と静寂が醸し出す神々しさをより強めていました。
電車の遅延を嘆いていた数時間前が馬鹿馬鹿しく思えるくらい、静寂の中で少し自分と向き合え、心を静められました。
ドイツの伝統、クリスマスマーケット
大聖堂を出た後、直ぐ横で開催されているクリスマスマーケットに立ち寄りました。
ブースで売っているグリューワインというホットワインを飲むのがクリスマスマーケットでのドイツ人の慣習らしく、車で迎えに来ているMax以外で、乾杯をしました。
生まれて初めてホットワインを飲みましたが、とても美味しかったです。
ただ、熱いので飲む際は十分に気をつけた方が良いかもしれません。
Michelにフランスワインとどっちが好きと聞いたら「もちろんフランスのワインが美味しい。一番だよ」と答えたので『じゃあ二人で今度フランスのワインでグリューワイン作ろうね』と次のデートを取り付けられたので、私としてはここがハイライトでした。笑
他にもクリスマスツリーにつけるような雑貨や、財布、帽子、手袋やセーターなどを売っているブースや、フードを売っているブースなどが出店していて、日本でいう夏祭りのような賑わいがありました。
個人的に革製品が好きなのと、丁度財布が買い替えの時期だったので、皆に無理言って時間をもらい、ブース内を見て回りました。
可愛らしいドイツ人の女性が対応してくれて、少し雑談した所、どうやらミュンヘンから出稼ぎに来たとのことでした。
「いつかミュンヘンに遊び行ったら皆で会いにいくよ」なんて言ってくれたので『是非是非。会えたらいいね』といった会話をしつつ、無事、ブラウンレザーの財布を購入しました。(決め手はMichelの一言でしたが 笑 )
しっかりした作りの上に割とお手頃の値段だったので丁度よかったです。
ラブストーリーではなく事件は突然に
財布を購入し、Michelと次のデートを取り付けた私はウキウキ気分でした。
別の場所のクリスマスマーケットにも行ってみたのですが、本当にメルヘンチックな世界が広がっていてドイツに来て初めてドイツらしいことをしているなと実感できました。
夜はMaxが実家でディナーを振る舞って頂けるとのことですが、朝から何も食べていなかった私達はお腹が空いてしまい、お酒も飲んだこともあって少し座ってゆっくりしようということになりました。
丁度、クリスマスマーケットの近くにカフェがあったのでそこに向かい、コーヒーとパスタを頼んでいると、急に外が騒がしくなりました。
ガラス張りのお店なので外の様子が中から見えるのですが、外国人グループが外を彷徨っていて、警察官もその集団を追うように後ろから付け回していたり、何やら物騒な感じになってきました。
「抗議活動かな?」
『恐らくね。ドイツではよくあるよ。警察がその度動いて取り締まってはくれるけど。』
PeterとMaxが話しているのを横目で聞きつつ、外の様子も気にしていたら、急に警察官の数が増え、シールドを持った警察官が店の周りを囲んでいました。
「ちょっとまずくなってきたね。サクッと食べてサクッと出ようか。」
頼んだ注文が直ぐ出てくることを祈っていましたが、出入り口も塞がれた状態になり、閉じ込められた状態になりました。
暴動、制圧、その時私は動けなかった
急に警察官の一人が合図を出し、先程の外国人グループをシールドで取り囲み制圧にかかりました。
何人かの警察官が体格の良い集団の一人に吹き飛ばされ、店の壁にぶつかっていました。
怒号とモノとモノがぶつかり合う音が響きわたり、サッカーの試合の中継を流していたカフェ店内にも聞こえてくるので、その衝撃、音が中に伝わる度、皆ビクビクしていました。
何度か押し合いが続いた後、最終的に警察側の叫び声と同時にシールドを持った警察官達がタックルのような形で集団に突撃を開始しました。
シールドの中にいる集団はなす術もなく、声を上げて潰され、その後無事お縄になりました。
集団は30人、警察官は恐らく100人くらいいたのでしょうか。
一瞬の出来事でしたが、恐怖だけがいまだに残っています。
警察官が吹っ飛ばされたときにビックリして腰を抜かしてしまった私。
最初は不安がっていたのに、今は物凄く静かに私の頼んだパスタを食べるMichelとMax。
PeterとPatriciaも最初からこんなの屁でもないくらいに堂々としていて、Peterに至ってはまた私をみて笑っていました。
「タケル、何ビビってるの? これくらい普通だって」
Peterにバカにされるのはもう慣れましたが、何よりMichelからの少し冷たい視線とMaxとの距離が気になりました。