前回の記事では、語学学校の生活について触れました。今回は、日本人がドイツの大学・大学院の生徒になったら、どのような生活が待っているのか、まとめていきたいと思います。
ドイツの生活:大学・大学院
ドイツの大学に通い始めるようになると、前回の記事で書いたような、語学学校での生活と比べ、生活スタイルが180度変わるようになります。
具体的にいえば、ドイツ語でできることが増えるため、大学内外を問わず様々なアクティビティに参加したり、あまり授業に縛られることがないので、無料のセメスターチケットを使って州内を旅行したり、といったことが可能になります。
現地の食事
大学生の食事の中心は、やはり学食です。前回の記事でも書きましたが、一食3~4€で食べられる、というのは、法外に魅力的な値段であり、かつそこまでマズイわけでもありません(特別美味しいとも言い難いが)。
どうしても、講義の時間や、地理的に大学から近いところ、という縛りが出てきてしまうため、そこまで遠出できないので、自然、学食に落ち着いてしまいます。
学食以外にも、軽食、パン屋のパンや、ホットドッグ、フライドポテトなども、時間がないときは重宝されます。
また、多くの大学では、学食に加えカフェが併設されており、よく講義の時間が空くときなどは、学友とともにそこでコーヒーを飲んだりします。
住居・住まい
学生に一番人気なのは「WG」とよばれるいわゆるフラット形式の住居です。都市によって値段は多少開きが出てくるものの、多くの場合、300~400€程度で落ち着くはずです。
他にも、学生寮なども人気なのですが、最近ドイツでは海外からの学生の流入と、難民の増加などが相まって、住宅の需要多寡に陥っている状況です。それゆえ、学生寮を併設している大学でも、その学生寮に必ずしも入寮できるわけではない、ということを頭に入れておかなくてはいけません。
交友関係
大学生活を語るうえで欠かせないのが、この交友関係の輪です。
ドイツの大学生は、比較的internationalなマインドをもったものが集まりやすく、友人関係の構築、といった意味では、ドイツ語が話せないとしてもかなりやりやすいです。
後述するように、大学では交友を深めるような様々なイベントを用意しており、大学によっては、日本関連のイベントも少なくありません。私は、中国人の友達が多かったので、中国イベントにもよく顔を出して、ニーハオニーハオとドイツ人に中国語で話しかけられていました。
また、ドイツ人の考え方として、友人の友人は友人、といった側面があるため、ドイツ人の友人を2~3人つかまえると、芋づる式に友人の数が増えていく、という現象が起こります。そのため、最初の数人のドイツ人友人を見つけるまでは難しいですが、そこから先は難易度がだんだん下がっていきます。
アクティビティ
ドイツはワークライフバランスに力を入れている社会ですので、大学でも、勉強だけではなく、様々な、プライベートを充実させるようなアクティビティが取り揃えられています。
例えば、多くの大学施設には植物園、博物館、美術館などが併設されており(大抵は、各学部が運営)、学生であれば無料、もしくは格安で訪れることが可能です。
また、スポーツ施設を充実しており、大学生割引を使えば、月2000~3000円でプール、ジム、その他大学の運営するスポーツプログラムへの参加が可能です。
大学生に支給される「Semester-Ticket」というのも大学生活の魅力の一つで、これを使うと、同じ州内の列車(ただし高速鉄道は除く)、バスなどが無料で使用できるようになります。
大学では、週ごとに様々なイベントが運営され、我々にとって面白いところであれば、アジア料理コンテスト、International student fair、言語交換プログラム、等々、中には、大学が運営するクラブイベントなどもあります。
というわけで、大学に入ると、語学学校生だったころに比べ、アクティビティの活動範囲が広がります。
講義・勉強
さて、良い面だけではなく、ネガティブな面にも触れていきましょう。アメリカ、ドイツ、イギリスなど、欧米諸国の大学システムの特徴は「卒業が難しい」ことで有名です。
実際に、私の学部でも、同窓生のうち3割くらいは途中でドロップアウトして、後々見なくなりました。
まず、学生にとって恐怖なのが、「必修単位」の存在です。ドイツの大学の仕組みとして、この必修単位の試験を受けられるチャンスには限りがあり、2~3回試験に落ちると、永遠に卒業できない「詰み」の状態に陥ります。
さらに、落第の恐怖だけでなく、ドイツの大学は、成績との戦いといっても過言ではありません。一般的に、一つの科目を良い成績でパスするために必要な勉強時間は100時間と言われています。
1学期は4ヵ月続きますので、簡単に言うと、一科目につき毎日1時間×3~4ヵ月の勉強が推奨されている、というわけです。
もちろん、履修しなくてはいけない科目は一つだけではないので、例えば、1セメスターに5つ科目を履修したら一日の必要平均勉強時間は5時間、と、どこに遊ぶ時間があるんじゃい、という気持ちになります。
ちなみに、大学の成績が悪いと何が起きるかというと、学部生の場合、大学院に行くことができません。
また、就職を考えている場合、大学の成績の良しあしは、企業の印象に直で影響します。企業によっては、GDPによる足切りを設けているところも少なくありません。
というわけで、大学生になると、できることが増えるほか、やらなくてはいけないことも増えてくるわけです。すごい楽しい時間を過ごしたな、という反面、あの地獄のような試験をまた繰り返したくはないな、という気持ちが強いです。
インターンシップ
最後に、大学・大学院生活中、ドイツの学生たちはインターンシップに勤しみます。
ドイツのインターンシップは、日本のそれとは異なり、職歴に残るようなオフィシャルなもので、多くの企業が、インターンシップを通じて生徒の青田刈りを行います。
インターンは有給で行われ(月給1000~2000€程度)、半年から場合によっては1年程度続くものもあり、かなり本格的です。
なので、ドイツの学生によっては、通常であれば2~3年で終わる大学プログラムを1年程度休学して延長するケースが多々見受けられます。