ドイツの平均年収は「450万円」程度で、月収に換算すると額面で40万円程度です。
これはあくまでパート等すべての職域を含めた試算結果で、実際のところフルタイムで働くドイツ人の平均年収は600万円程度(月収50万円程度)が相場です。つまり、日本人でドイツで年収600万円を稼げれば、ドイツ社会の中流階級に位置することとなります。
デンマークやルクセンブルグなどの小国を除けば、ドイツの給与水準は欧州でもトップクラスで、フランス、オランダ、イギリスなどよりも高給取りの数少ない国として知られています。そのため、ドイツでこそ年収600万は「中流」並みですが、欧州基準でいえばトップクラスに属する給与水準と言えます(参考文献:Average Salary EU)。
ドイツで日本人が年収600万円稼ぐのはどれくらい大変?
まず、日本人のドイツでの就職形態は以下の3つに分類されます。
- 駐在
- 現地採用(日系企業)
- 現地就職(ドイツ企業)
駐在の場合、マネジメント層での派遣が多く、ドイツと言えば海外駐在の花形ともいわれているため、駐在手当や現地の住宅補助など合わせ、割と楽々600万円はクリアできます。
その代わり、ドイツ現地駐在になるには大企業で一定の成果を挙げなければいけず、日本のサラリーマン世界の上澄みのような人々が集まっています。
[word_balloon id=”5″ size=”M” position=”L” name_position=”under_avatar” radius=”true” name=”田辺(ドイツ)” balloon=”talk” balloon_shadow=”true”]ちなみに私の知り合いの駐在員は手取りで月3800€に加え、家賃1000€以上のアパートと車が福利厚生でついていると言っていました。手取り3800€は額面では5700€越え。プラス、約2000€の福利厚生だと毎月7700€となります。2022年8月時点のレート(138円くらい)で計算すると月給106万円で、年収は1300万円+ボーナスです[/word_balloon]
現地採用の場合、現地人と同等以下の扱いを受けますので、駐在手当や住宅補助はつかないケースがほとんどです。それゆえ、年収テーブルは25~30歳前後の男性営業で35,000€~45,000€くらい、ドイツ語、英語、日本語が完璧にこなせれば初任給で50,000€いくかも、って世界です。統計データによると、女性は7割強がアシスタント職での採用のようなので、その場合は30,000~35,000€前後でしょうね。
現地のドイツ企業就職の場合も、この日系企業就職のテーブルと似たような給与水準からのスタートとなります。ですので、初任給年収500万円~550万円くらいが相場で、人によっては初年度から600万円に達しちゃいます。
なので、ドイツで600万円稼ぐのって、大卒であれば日本ほどハードルは高くないんです。ちなみに、日本で5年以上職歴があり、かつドイツの大学院を卒業したため、私の初年度の年収はすでに600万円でした。
なので、以下に解説する「ドイツで年収600万円」は、私の初任給時代の体験談だと思って聞き流してください。
ドイツで年収600万円の生活ってどんな感じ?
そう聞くとドイツに移住したほうがいいように思えますが、実はそんなにメリットばかりではありません。
まず、ドイツの場合日本に比べて税金・社会保険に支払う額が高く、手取りは額面から35%程度控除された額になります。
年収600万円ですと、単純計算で月の給与は50万円(ボーナス考えず)ですが、そこから諸々引かれ、手取りは32万円~35万円(2500€~2700€)程度におちつきます。
※ちなみにドイツ語では額面はBrutto、手取りをNettoと言いますが、自身の状況を入力するだけで自動で税率を計算して差し引き、手取りを計算してくれるツールがあるので、参考までに使ってみてください。
家賃
社会人になると、フラットではなく一人部屋、あるいは1LDKのような間取りが好まれます。そうすると、賃貸の相場は500€~700€くらいで、都市によっては10万円近くになります。
ただ、ドイツの一人部屋の場合、大抵水道光熱費はこみこみなので、これ以上の余分な支出はありません。
オススメ記事:ドイツで就職するとどのような生活が待っているのか?
交通費
うちの会社は社有車を月2万円でレンタルして、私用にも使えるうえに、燃料代無料というサービス付きなのですが、電車通勤すると交通費は自腹になります。年末調整でいくばくか自腹分は帰ってくるのですが、基本的に月に1万円くらいは交通費に費やします。
食費
ドイツで毎日毎食、外食を続けていると月に10万円くらいかかります。
例えば私の場合、朝はカプチーノとパンを買って、これで4€(550円)。ランチは同僚と近くの中華などで済ませ、これは7~9€(970~1240円)。夕食も、パスタなどを食べに行くとドリンク込みで1800円くらいなので、総計一日3500円くらいかかります。
ただ、これは極端なケースで、実際に夕食は自炊したりして、なんだかんだで月の食費は300~500€くらいに落ち着きます。
どうしても、チェコ等中欧と違い、昼飯など外食すると一食1000円かかってしまうのがドイツの痛いところです。
なお、ドイツ統計局の発表によると2022年7月のインフレ率は対前年同月で+7.5%とされており、コロナやロシア・ウクライナ戦争でスーパー及びレストランの価格が高騰しています。贅沢をしようとするとかなりの食費がかさんでしまうはずです。
医療費
社会保険料が高い代わりに、全額健康保険という神対応です。親知らずを抜こうが、結石の治療を使用が、全部自費負担なしで済んでしまいます。
そのため、月々突然やってくる病気やけがの医療費の対応を考える必要がありません。
[word_balloon id=”5″ size=”M” position=”L” name_position=”under_avatar” radius=”true” name=”田辺(ドイツ)” balloon=”talk” balloon_shadow=”true”]一本60万円の注射を定期的に打たなければならない病気持ち友人がいるのですが、その注射も全部負担ゼロだそうです。日本だったら大変なことですよね[/word_balloon]
交際費・レジャー代
ここまで全部差し引くと、残り1200€~1400€程度(16万円~18万円)で、ここから交際費やレジャー代を捻出できる形です。
私の場合、以下のようなものがよく交際費・レジャー支出に充てられます。
毎月のジム代 ・・・50€
テニス代(月)・・・25€
友人との交際費・・・100€(基本、家でのパーティやバーなので、一回10~15€程度)
旅行代 ・・・500€程度(クロアチア、スペイン等気が向いたらフラッと)
通信費 ・・・40€程度
日本と違うのは、交際費がそんなにかからないこと。同僚との飲み会もない、取引先との飲み会もない、自爆営業なんてもちろんありませんので、手取りはそっくりそのまま手取りです。
こんな感じでいろいろ堪能しても、月々5~600€余ります。あとはテニスのラケットを買ったり、服を買ったり、家の備品をそろえたり、と趣味に使えることができます。
一人暮らしでは十分ですが、結婚して家族全員養うとなるとちょっと厳しい額とも言えます。しかし、ドイツの場合は共働きが主流ですので、結婚すると世帯年収は1000万円を超えるのです。
あと、私の場合、初年度は月に6万円程度プチ欧州旅行にお金を割いていたので、これ止めればもっとお金溜まっていたのですが笑
次回、私のドイツ現地サラリーマン生活2年目、年収700万円の世界の実態に迫ります。