ドイツの大学・大学院に入学したら:学生ビザの申請と必要書類

ドイツの大学、大学院に合格すると、学生ビザが必要になります。これは、ワーホリビザや学生準備ビザのような短期ビザと異なり、基本的には卒業までの期間をカバーしてくれるビザになります。

このビザの申請には1~2ヵ月かかり、また、ビザなしドイツに滞在できる期間は3ヵ月が限度になるため、これをオーバーしないうちに速やかに取得する必要があります。

学生ビザとは

我々はビザと呼んでいますが、ドイツ語での呼称はAufenthaltstitleです。具体的に、ワーホリビザや学生準備ビザと何が違うのかというと、実はそんな機能的な違いはないように思います。

大学生になったから極端にビザの扱いが変わるとか、そういったことはなく、基本的な申込のプロセスは、語学学校の生徒だったときと比べそこまでの違いが思いつきません。

ただ、カバーする期間や、法定保険の取り決めなど、学生むけにアレンジされている部分が多いので、基本的に、大学生、大学院生になった場合、この「学生ビザ」を取得しておくことが吉でしょう。

学生ビザ取得のためのプロセス

ドイツの学生ビザの特徴は、「ドイツ国内」でしか申請できない、という点です。例えば、日本からドイツの大学、大学院を受験して合格し、渡航前にビザを取得しておきたい、と思っても、その申請が、日本にあるドイツ大使館ではできないのです。

それゆえ、ドイツ学生ビザのプロセスは、ドイツについてから行う、という点に気を付けなくてはいけません。

上記のような事情があるにも関わらず、ドイツに入国するとき「ビザはないのか?」と、係の人に聞かれることがあります。その際に、念のため大学の合格証明書などをカバンに用意しておき、見せられるとスムーズに通してくれます。空港を通過するとき「3ヵ月以内にビザ取得しなさいね」と言われます。

外人局とのアポイント

住む場所にもよりますが、基本的には外人局(Auslanderamt)とのアポイントを取り付けるところからスタートします。これは、下手したら2~3週間先の日時を指定される可能性もあるので、十分に時間に余裕をもって取り付けなくてはいけません。

また、書類に不備があると、次のアポを取り付けるまで、またそこから2~3週間先の日時を指定される、ということもありますので、書類の不備がないよう、綿密にチェックをしていきたいところです。

ただ、大学によっては、新入生のリクリエーションで、大学側がEU外からの生徒全てにビザの予約を取り付けてくれる、というサービスの良いところもあります。

必要書類の確認

恐らく、指定される書類も州によって異なると思いますが、基本的に、外人局から指定される必要書類は以下の通りです。

  • Meldebestätigung des Einwohnermeldeamtes (住民票)
  • Nachweis über eine private oder gesetzliche Krankenversicherung (ドイツの私的または法的健康保険)
  • Studentenausweis der deutschen Hochschule(大学の在学証明書) (Immatrikulationsbescheinigung)
  • Ggf. Finanzierungsnachweis (残高証明書など)
  • Gültiger Pass, eventuell mit Visum(期限内のパスポート)
  • eventuell ein Gesundheitszeugnis (おそらく健康診断書)
  • eventuell deinen Mietvertrag (おそらく家の契約書)
  • eventuell (biometrische) Passfotos (おそらく証明写真)
  • Geld für die Gebühr für die Erteilung der Aufenthaltserlaubnis (frage am besten vorher bei deiner Ausländerbehörde nach den Tarifen) (手数料)

参考リンク:SO BEANTRAGST DU DAS RICHTIGE VISUM

簡単に補足をしますが、健康保険というのは、大学生の場合、法定の健康保険に限られます。語学学校生などは、プライベート保険でも許されましたが(というか、それ以外は入れませんが)、大学生の場合ドイツの法で決められた健康保険への加入が義務付けられています。

また、ビザ申請の際に必要なのは、健康保険のカードではなく、加入日などが記された証明書です。加入している法定保険のオフィスに行けば、簡単にプリントアウトして渡してくれますので、ビザ申請前に確認しておきましょう。

残高証明、というのは、要するにドイツで勉強している間に必要とされる費用を持っているか、の確認です(通常、700€×滞在月)。口座内の残高で確認する場合、ドイツにある銀行口座の預金を見せる必要があります。

また、東京にあるドイツ大使館でもらえる経費負担証明書、に親の署名をもらえば、その代わりとみなしてもらうことが可能です。

手数料は、当日支払うもので、私の場合、大体130€くらいでした。年や、都市に酔って異なるかもしれませんが、おおよそ100~130€だと思います。

ビザの申し込み

アポイント当日、外人局でビザの申請を行うと、その場で現金で申請費用を支払うように言われます。ちなみに、私の際は電子券売機のようなものでチケットを購入させられました。

上記の提出に不備がある場合、軽度であればその場で訂正させてくれます。私の場合、ビザ申請用紙の曖昧な個所に関しては(ドイツには将来どのくらい滞在する予定か、など)空欄にして、当日係の人に確認しつつ一緒に埋めていきました。

全ての書類を提出し終えると、その場でビザを貰えるわけではなく、そこから2~3週後にまた取りに来る流れです。ビザが出来上がれば外人局から手紙が来て、また取りに来いと言われるケースもあれば、その場でアポを済ませ、ビザを取りに来る日にちを決めるパターンもあります。

ちなみに、このビザ申請中に、ビザなしでいられる期間を過ぎてしまうそうな場合でも、すでに申請中であれば基本的に問題は無いのですが、その期間中に出国したりすると、空港でストップを食らう可能性があります。

そういったトラブルを避けるために、ビザの申請中である証明書を、頼めば外人局が支給してくれます(ただし有料)。

ビザの受け取り

あとは、ビザの取得通知が家に届いたら、取りに行けばビザが受け取れます。2~3週間過ぎても取得のための連絡がこない場合、手紙が届いていない可能性もあるので、問い合わせてみるのが確実です。

よっぽどのことがない限り、大学・大学院生である以上、ビザの取得は問題ないはずです。

ビザの延長

大学在学中に、インターンシップなどを行い、卒業がずれ込んでしまった場合、あるいは在学中になんらかの理由で半年以上ドイツの住民票を抜いてしまった場合、再度学生ビザの延長申請を行う必要があります。

延長といっても、上記のプロセスがまた一から全て必要になり、費用もまた100€以上かかることのなるので、非常に面倒です。

ドイツの学生ビザのメリット

さて、このドイツの学生ビザを手に入れると、欧州圏内での生活がかなり楽になります。まず、ドイツからチェコやフランスに越境する際も、わざわざパスポートをみせずとも、ビザをちらっと見せればEU内の警察はすぐに通してくれます(ただし、法的にはパスポートを携帯する必要はあり)。

ホテル、鉄道、高速バスなど、欧州ではAusweis(証明書)を提示しなくてはいけないケースは非常に多いのですが、いちいちパスポートを出さずに済むのは大きなメリットです。

空港でも、シェンゲン内であれば、ドイツの学生ビザを見せるだけで、日本人にありがち空港職員による質問攻め(どこに泊まるの、どれくらい滞在するの、何のために滞在するのetc..)を回避することができます。

おまけに、フルタイムでの就労はできませんが、バイト、学業に関係するインターンシップなどをおこなうことも可能になり、生活の幅が広がります。