私は現在、ドイツの某メーカーでMarketing部の一員として働いています。ただ、
日本の新卒採用者のように、4月1日から新入社員として右も左も知らないところから始めたわけではなく、すでに日本で社会経験があったので、オリエンテーションはもっぱらOJTの形式でした。
今回は、日本では謎のベールに包まれている、ドイツで就職したらどんな仕事生活が待っているのか、というポイントに焦点を当てて、解説していきたいと思います。
ドイツで就職:オリエンテーション
私の場合、すでに日本のメーカーで十分に就労経験があって、いわば「中途採用枠」としてドイツの会社に入社したので、日本の職場のように手厚いオリエンテーションはありませんでした。
ちなみに、私の同じ大学院の中国人の同級生などは、他国で就労経験がなく、完全に新入社員としてドイツの会社に入社したところ、2週間程度研修があったといってましたが、それでも、日本のような「ガチガチ」の研修というのは無かったようです。
私の場合、入社初日は、上司がやってきて、まず私をオフィスに案内します。
「今日からここが君の職場だ」
と言って見せられたのは、本当にまっさらな部屋でした(日本の職場のようにごちゃ混ぜでない、という意味で)。デスクごとにパーテーションで区切られ、他の社員が何をしているかは見えないようになっており、そもそもオフィスには、4つしかデスクが無く、一人で大きい机スペースを占領できる感じでした。おお、さすがドイツだ、という印象です。
続いて、カフェテリアに案内されました。
「ここのカフェテリアのカフェやスイーツは、基本的に食べ放題、飲み放題だ」
と、あの、カフェなどによく設置されている、ボタン一つでカプチーノとかカフェラテのでてくる高級なカフェマシーンと、キンキンに冷えたコーラやリンゴジュースの入った冷蔵庫を見せてもらいました。テンションが高まります。
「次に他の部署の社員を紹介する」
というわけで、続いて他の部署の営業やWebデザインなどの社員を紹介される社内行脚にでかけることになりました。ドイツの会社の問題は、割とフレンドリーに下の名前で呼ぶのですが、ドイツの名前のレパートリーなんてそう多くはないので、4~5人会ううちにすぐに名前が被るのです。
「Web担当のLenaです、よろしく!」「Malteです、よろしく!」「Katerinaです、よろしく!」「コールセンター担当のLenaです、よろしく!(あ、またLenaだ・・)」みたいな感じで、途中から完全に顔と名前が一致しなくなり、あとからこっそりLinkedInを申請して、顔と名前を憶えなおしました。
そんなこんなで、初日は他部署巡りをしたり、施設の案内をしてもらったりとで時間がつぶれ、特に仕事をさせられることはありませんでした。17時になったらみな蜘蛛の子を散らすように自宅に帰っていき、あっという間に会社には誰もいなくなりました。さすが労働者天国。
ドイツの職場の印象
さて、初日の印象で、日本の職場との違いをいくつか挙げていきます。
ドイツ語使用、みんな英語ペラペラ
まず、ドイツの会社なので当然ですが、公用語はドイツ語です。なので、ドイツ語ができないとお話になりません。ただ、これはみな英語が話せない、ということを意味せず、むしろみな英語はペラペラです。単純に、便宜上ドイツ語を用いていますが、クライアントがドイツ語話せない人ですと、普通に流暢な英語でビジネスします。
部署ごとに部屋が違う
日本ですと、一つの部屋に10人~20人かごちゃ混ぜになっていますが、ドイツの場合、代々でも5~6人で、それぞれの机がパーテーションで分かたれて、「個人主義」が保たれています。これは、別に仲が悪いとかそういうわけではなく、単純にドイツ社会の特徴である個人主義が会社に反映されているような形です。
広い、明るい、居心地がいい
日本のオフィスと比べると、あの「ごちゃごちゃ感」がなく、全体的にスラっと、無駄がない印象です(いい意味でも悪い意味でも)。多分、ドイツ人のサイズに合わされているのか、日本の設備よりも一回り空間が大きい印象です。
ドイツ人は健康オタクが多いので、「座ると腰に悪い」といって、立って仕事をする強者もいます。そのために、150㎝くらいのテーブルが用意されていて驚きました。
インターナショナルな雰囲気
うちの会社にはショールームがあるので、よくそれ目当てに海外のお客さんも見に来るのですが、それこそ、地球の裏側の南米から中国、アラブ、ロシアなど国境を問わず誰かしらが訪問している感じです。
しかも、ものすごくラフな感じで、オリエンテーション三日目に、私は見ず知らずのメキシコの顧客と一緒にランチを食べに行かされました。会社としては、日本人も雇ってるんだぜというアピールだったのか知りませんが、ドイツ人特有の雑さが感じられました。