【自己紹介】元サラリーマンの私がドイツの大学院に入学した理由

始めまして、ドイツ在住歴4年の村上です。このブログでは主にドイツでの進学、就職関係の記事を寄稿しています。今回は、私の経歴、職歴を交え、簡単に自己紹介をしていきたいと思います。

元サラリーマン

私が日本の大学を卒業したのは2010年のことで、サブプライムローン問題の冷めやらぬ、就職氷河期でした。

日本では上智の経営学科を卒業し、留学経験こそありませんが、それなりに英語の成績もよく、在学時に海外バックパック経験などを通じ海外の魅力に気付いていたため、将来は海外で活躍できるようにと、メーカーに就職しました。

就職して数年は、国内のマーケット担当をしていました。元いた会社では、30歳くらいまでは国内畑を経験し、その後海外赴任、といった形のキャリアパスが通例でしたため、私もそれにのっとれば、海外赴任を経験するはずでしたが、ついぞそのキャリアは実現することがありませんでした。

2014年、当時2年間付き合っていたドイツ人の彼女の勧めもあり、28歳にしてドイツ行きを決めたのです。周囲の反対を押し切り、駆け落ち同然でドイツにやってきました。

ドイツの大学院へ進学

日本で名の知れたメーカーで就労経験があるとはいえ、ドイツの就職事情は甘くありません。ビジネスで英語を使った経験もなければ、ましてやドイツ語なんてGuten Tagくらいしか知りません(大学の第二外国語は中国語)。

ドイツで真っ当なキャリアを築くため、30を手前にして、大学院への進学を決意したわけです。

幸いにも、サラリーマン時代に培った貯金があり、2~3年分の生活費と学費は賄えそうでした。

文系(特に経営学科など、ビジネス系)がドイツの大学院に進学するためには、ドイツ語が多くの大学院で必要になってきます。というわけで、数か月間の間語学学校に通い、ドイツ語を習得、その後大学院に進学するような計画を立てました。

もともとそれなりに英語の知見があったため、ドイツ語の試験に合格し、大学院の入学通知を得るまで、一年も要しませんでした。というわけで、2015~2017年まで、大学院で経営学を勉強、日本の大学を卒業→メーカー就職→ドイツの大学院卒業、という面白いキャリアパスが出来上がりました。

【募集要項から合格まで】1から分かるドイツの大学院受験の方法

ドイツの大学院を卒業、現地で就職

皮肉なことに、彼女の勧めでドイツに来たわけですが、同棲してみてお互いの文化の違いに気づき、結局、私の大学院在学中に別れることとなりました。

2017年、大学院を卒業した際、就活のためにいくつかの企業を面接しました。ドイツ企業、日系企業、イギリスの企業などです。

いずれ書いていきたいと思いますが、結局、企業の国柄によってメリット、デメリットがあります。私は最終的に、元いた日系メーカーと似た業種のドイツ系メーカーを選択し、働き始めることとなりました。

現在やっていることは、Business Developmentという仕事です。うちの会社は現在中国を含めアジア市場の拡大に注力しているため、そこのSupply Chain Management、商品開発などの業務に携わっています。

チームメンバーは全員ドイツ人、中には中国語や韓国語が堪能な同僚もいますが、日本人はおろか、アジア人もいないような環境です。

ドイツで就職・転職するためのステップ
ドイツに転職したサラリーマンが見た:日本の会社との違い

海外で就職するという選択肢

さて、私は2019年現在32歳、あの4年前、仮に日本に残っている選択をしたのであれば、すでに結婚し、子供がいたかもしれません。先輩方の前例にのっとれば、海外赴任や本社勤務を経験し、真っ当なキャリアを築いていたころでしょう。

その、安定した、居心地の良い環境と未来を、私は自ら破棄しました。

なぜかは分かりません。恐らく、当時の彼女の勧め、というのは、一つの言い訳でしょう。いい大学に進学し、いい企業に進学し、それなりに安定した人生を歩みながらも、心のどこかで、そのように引かれたレールの上から逸脱するきっかけを望んでいたのかも知れません。

私は、「バタフライ・エフェクト」という映画が大好きです。タイムスリップできる力を持った主人公が過去に戻り、恋人が死ぬ未来を阻止しようと奮闘しますが、ちょっと過去を変えるだけで、未来が大きく変わってしまい、多くの人々の人生に影響を与えてしまう話です。

我々の人生も同様に、ちょっとしたきっかけ、ちょっとした関係が、将来に大きく影響してくるのでしょう。

私は、海外、ヨーロッパで多くの日本人に会ってきました。話を聞くと、彼ら、彼女らがヨーロッパにきたきっかけは、やはり、その人々の持つ過去や人格形成に多かれ少なかれ影響されているように思えます。

恐らく、小さいころに手にとった洋書、旅先で会った素敵な男性、美味しいと感じた異国の料理、そうした無意識の経験たちが、より糸のようにあわさって、ある日「海外に移住しよう」という大きな決断をくだすにいたったのではないでしょうか。

そうした運命のいたずらが決定論的なものか自由意志的なものかどうかは知りませんが、一生を同じ国で過ごすのも人生、異国を渡り歩き、常に不安定な生活を送るのもまた人生です。