ヨーロッパ留学したい人にドイツの大学院をお勧めする「4つ」の理由

私はプライベートな理由でドイツに流されてきて、現地で大学院に通うことになったため、ドイツ語ができたからとか、ドイツが好きだから、といった理由でドイツの大学院に通ったわけではありません。

ただし、実際に就学し、大学院を卒業してみると、将来ヨーロッパに永住を考えるのであれば、ドイツの大学・大学院を卒業しておく、というのは、かなり便利な方法であったことに気が付きました。

今回は、元々なんの変哲もないサラリーマンだった私の目線から、ドイツの大学院をお勧めする理由をまとめていきます。

[word_balloon id=”5″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]ドイツ歴5年の村上です。ドイツの大学院を卒業後、ドイツの某有名メーカーで働いています。今回は、日本人がドイツの大学院を卒業するメリットを解説していきます[/word_balloon]

ドイツにおける大学院の位置づけ

日本では、文系が大学院に進学する率というのは、あまり高くありません。文部科学省(令和2年)の調べによると、日本の文系大学院進学率はわずか4%前後で、理系の40%に比べ大きく差がついています。※ただし、理系と文系を合計すると大学院進学率は全体の11%のみ

日本の文系での大学院進学率が極端に低い理由は、そもそも、日本の文系の主な就職先である日系企業の間では、人が育つのは会社を通してである、という考え方がまだまだ深く根付いていて、方向性としてはいろいろな部門に適合できるジェネラリストの育成です。つまり、専門知識などは、一部の特殊な業種を除けばあまり求められていないからです。

日本の低い文系大学院進学率とは反対に、ドイツの場合、文系、理系合わせて50%以上が大学院に進学しています(日本とは文系、理系のカテゴリが異なるため、一概に同じ括りでは測れないものの)。

[word_balloon id=”5″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]基本的に、将来高給取りやマネージャーポジションを目指すのであれば、大学院進学は当たり前なのがドイツ社会です[/word_balloon]

[word_balloon id=”3″ position=”R” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]確かに、大学で優秀だった学生はほとんど大学院に進学したわね。逆に、成績が悪かったり、すぐに働きたい人は大卒で働き始めていたけど[/word_balloon]

ドイツでは、大学院への進学は、一つのステータスで、データ上でも、大学卒と、大学院卒とでは、ポジションや年収に大きな差が出てきます。

その理由の一つとして、そもそもドイツの会社システムが、日本のようなどこでも通じる「ジェネラリスト」ではなく、一つの分野に特化した「スペシャリスト」の育成を目指したもので、大学では広範な勉学全般を、大学院ではその中でさらに専門的な分野を勉強し、自分の専門性を生かす、という流れになっています。

簡単に、ドイツの教育システムを要約すると、ドイツでは大学へ進学できるのはギナジウムという形式の高校を卒業した、いわば「エリートの卵」たちだけが入れるところで、その他の「勉強ができない」とみなされた人々は、職業訓練学校に通い、シェフや美容師になります。

それゆえ、ドイツの大学にいる人間というのは、ドイツ人の中でも選ばれた子供たちであって、その中でもさらに大学院に進学できる生徒というのは、さらに優秀な人々たち、というわけです。

[word_balloon id=”5″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]効率を重視するドイツ社会にあっては、将来大学にいく子供は小さいときにすでに選定されています。ドイツ社会の上澄みだけが大学に行き、さらにその中の優秀な学生だけが大学院に進学します[/word_balloon]

そんなわけで、ドイツで良い大学院に進学するのは、割とドイツ人にとっても難しいことなのですが、私たち日本人の場合、日本で同じ専門の大学を卒業していると、特に試験もなしに、入学することが可能です(いくつか細かい要綱などが設けられていますが)。

それでいて、ドイツのエリートたちと同じ、優秀な人々の一員に入らせてもらえるわけで、日本人である我々にとっては割とおいしいシステムなのです。

[blogcard url=”https://uueuro.com/uni-ranking/”]

どんなメリットがある?ドイツの大学院

さて、私は運良くもそんなドイツの大学院を卒業したわけで、はからずともいくつかのメリットを享受できることになりました。

以下、私が感じた、他のヨーロッパ諸国と比べた際の、ドイツの大学院を出るメリットです。

[word_balloon id=”5″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]海外留学といえばアメリカ、イギリス等英語圏が有名ですが、実はドイツの大学院にはメリットがたくさんあります。[/word_balloon]

メリット1. ヨーロッパ社会でエリートの仲間入りできる

第一に押しておきたいポイントは、上述の通り、ドイツの大学院は、ドイツ社会で一種のステータス、エリートとみなされており、卒業しておくと、かなり将来の就職の間口が広くなり、つぶしが利くようになる、ということです。

ドイツだけでなく、イギリスなど、他のヨーロッパ各国でも、西欧で経済水準の高いドイツの大学院を出た、というステータスは広く受け入れられており、就職などでも、なにかと優遇されることがあります。

例えば、私の場合、ドイツの大学院を卒業する際にポーランドやチェコなどいろいろな国の企業を受けましたが、ドイツ語が話せる、ドイツの大学院を卒業した、というステータスはかなり高く評価され、ドイツ以東で職を探すのには苦労しませんでした。

また、以下の記事でまとめてありますが、ドイツの有名な大学院を卒業した場合、初任給は500万円~700万円程度と、20代中盤ですでに日本でいう中~高所得者の仲間入りを果たすことが可能です。

[blogcard url=”https://uueuro.com/europa-uni/”]

もちろん、いいキャリアにつくには、学歴プラス、仕事上の経験などが必要になってきますが、スタート地点の段階で、かなりアドバンテージを貰えるといって良いでしょう。

メリット2. 一生涯の友人、優秀な人脈が増える

上述のように、ドイツの大学院は、エリートのたまり場のような性質を持っているため、中にいる生徒たちも、優秀であり、将来的に学問、あるいはビジネスでなにかしら良いポジションにつくような者ばかりです。

例えば、私の大学院のときの友人は、ある者は博士号をとるために大学に残り、教授になるための道を邁進しています。ある者は、一流のドイツ企業で働いており、以前にはそこを経由でして仕事を紹介してもらったこともありました。

[word_balloon id=”5″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]大学院にいるようなドイツ人は、やはり洗練された人間が多いですね。一生モノの付き合いになれる人間関係もここで形成できます[/word_balloon]

元々、貴族社会であるドイツでは、エリート同士の同族意識、というものが、表立っては周知されていないものの、広く根付いており、ドイツ人の就活生の3割は、大学時代の友人などの紹介で職を得ているという統計データがあります(いわゆる、ドイツでVitaminBと呼ばれるもの)。

ドイツといえども、やはり田舎や職業訓練所にいけば、英語を話せないような者たち、日本人に差別意識を見せるような者もいますが、大学院にいる人たちは、基本的に知的で、英語も堪能、異文化に対して心が広く、友達になりやすいキャラクターの者が多いと思いますので、一生物の友人をつくるには向いていると思います。

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メリット3. 他のヨーロッパより学費が安い(無料)

ドイツの州立大学への進学は、他のヨーロッパ諸国と比較しても、かなり値段を抑えられます。

年間の授業料はわずか5万円ほどで、これはSemester Ticketというものがセットでついてきて、街中の公共機関や同じ州の鈍行列車を無料で使用できたり、学食が安くなるなど、特典がたくさんついてきます。

このため、ドイツでは欧米先進国以外でも、インドや東欧など、所得があまり高くない家庭が好んで留学する先として知られており、リーズナブルな学費は、多くの優秀な研究者を招聘するのに一役かっています。

ただし、ドイツの場合、これとは別に当然自腹で生活費を賄わなくてはならないため、なんだかんだで、通年では100~120万円くらいの費用が必要になってきます。

[word_balloon id=”5″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]ドイツの州立大学の学費は表向きは無料です。実際には施設維持費とかで年間5万円くらい徴収されますが[/word_balloon]

[word_balloon id=”3″ position=”R” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]あとは、外国人でも学費無料で有名なのはノルウェーね。ノルウェーは物価が高くて代わりに生活費がかさむけど・・[/word_balloon]

メリット4.ファシリティが充実

ドイツの大学・大学院は、勉強に励むようたくさん試験を課す一方で、スポーツ施設や植物園など、気晴らしになるようなファシリティにも力を入れており、学生割引で様々な機関を扱えるようになります。

例えば、私の大学院では、スポーツ施設は、月20ユーロ払えば、プールとジムが使いたい放題なのに加え、サッカーやテニスなどのクラブごとにも無料で参加できる、と大変お得でした。

他にも、夜遅くまで開いている図書館、コンピュータールームに加え、博物館、植物園など大学の施設は使いたい放題で、割と有意義な大学院生活を過ごすことができました。

[word_balloon id=”5″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]キャンパスの近くには緑が豊かで、施設も充実しています。よく学びよく体を動かせ、がモットーのドイツ社会においては、スポーツも教育の一環で、安くスポーツ施設を享受できます[/word_balloon]

[word_balloon id=”3″ position=”R” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”false” box_center=”false”]中国の学生はよくバトミントン部に所属して友人の輪を広げているわね。あとは、テニス、サッカーあたりがポピュラーなスポーツかしら[/word_balloon]

ちなみにですが、ドイツ大学院留学徹底ガイドなるページを作成しました。大学全般の情報から大学院入学プロセスや大学院生活、そしてその後の就活まで記事をまとめてあるので、ぜひ参考にしてみてください。